2024年に公開された映画『MaXXXine マキシーン』。
本作はタイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演によるホラー映画。
『X エックス』『Pearl パール』に続く三部作の完結編で、舞台は1985年のハリウッド。前作までの農場を離れ、映画業界で成功をつかもうとするマキシーンのその後を描く。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:MaXXXine マキシーン
原題:MaXXXine
公開年:2024年
製作国:アメリカ合衆国
上映時間:103分
監督:タイ・ウェスト
脚本:タイ・ウェスト
原作:なし
出演:ミア・ゴス
ジャンル:ホラー/スラッシャー
あらすじ

1985年、ロサンゼルス。テキサスで起きた猟奇的殺人事件から6年後、マキシーン・ミンクスはポルノ女優として活動しながら、本格的な映画スターになる夢を追い続けていた。
新作ホラー映画『ピューリタンII』のオーディションに合格し、念願の主演を手にするマキシーン。しかしその頃、街ではナイト・ストーカーによる殺人事件が世間を騒がせ、彼女の身近な友人たちも次々と犠牲になっていく。
さらに、6年前のテキサスでの惨劇を知る謎の人物や私立探偵がマキシーンへ接近。過去を暴かれる危険とスターへの道が交錯する中、彼女は自らの未来を守るため、再び暴力と狂気の渦へ踏み込んでいく。
実話?ラストは結局どういうことだったのか?
本作のラストは、かなり混乱する人も多いと思う。
というのもマキシーンの妄想なのか現実なのかはっきり明確な答えを明かしていないからだ。
終盤でマキシーンは父親を銃で殺そうとする時点で上空のヘリコプターから警察が「マキシーン、銃を下ろせ」とはっきり名前を呼んでいる。
つまり警察はすでに彼女が誰なのか把握しているし、銃を持って父親を狙っている現場まで押さえられている。
そもそも彼女はケビン・ベーコン演じる探偵も殺しているわけだ。彼女の周りで次々と死人が続出していることを考えれば警察は絶対にマキシーンを徹底的に調べ上げるに決まっている。
そこから実際に父親を撃ち殺すわけで、この時点で彼女は警察から射殺されるか、逮捕されているのが現実的だろう。
無抵抗の男を銃で殺せば逮捕され、社会復帰なんてできるわけがない。
無論、一カ月で出てこられ、そのまま映画の撮影なんてできるわけがないのだ。
ところが映画はその場面を一切描かず、マキシーンは何事もなかったように映画撮影へ戻り、女優としての道を歩み続けている。
違和感しかない。
だからこの「1か月後」から先はマキシーンの妄想と考えるのが自然だろう。
彼女の頭の中では、「私は女優として成功する」「私はこの人生を終わらせない」という願望が続いている。
最後の「私はこれを終わらせたくないだけよ」という言葉も、その執着を表しているように見えた。
その意味では少し『マルホランド・ドライブ』っぽい構造にも感じる。
もちろんこれは自分なりの解釈で、映画として明確に「ここから妄想です」と説明しているわけではない。
ただ、警察に完全に包囲され、名指しまでされ、その場で殺人を犯しているのに、1か月後には普通に女優を続けている不自然さを考えると、妄想として受け取るのが一番しっくりくる。
ちなみに本作のナイト・ストーカーは、1985年のロサンゼルスを恐怖に陥れた実在の連続殺人鬼(リチャード・ラミレス)である。
この実在のナイト・ストーカーによる恐怖や実際の逮捕ニュースなどが背景として巧みに取り入れられているものの、マキシーン自身やメインの殺人事件の展開は架空のもの。
金玉潰し以外、ずっと盛り上がらない
前作『X エックス』では、老人たちの若さや性欲への嫉妬というテーマがあった。
『Pearl パール』では、なぜパールが狂気に満ちた人生へ向かったのかを描いていた。
では『MaXXXine マキシーン』は何を描いているのか?
『X エックス』で生き残ったマキシーンが、女優としてさらに上を目指す一方で、彼女の過去を知る人物が現れ、周囲では殺人事件が起きる。
半分以上観たところでいつ面白くなるんだろう?と思っていたが、残念ながら終始盛り上がりにかける話だった。
ケビン・ベーコン演じる私立探偵に延々と追いかけられ、その後マキシーン自身が彼を殺す。
女優としてもっと売れたいと言っている人間が、自分で殺人まで犯してしまう(実際には自分では殺してないが)ってこの人、何がしたいんだろう?
まぁ、それほど夢に執着しているというキャラクターを描きたいんだろうけど、そもそもマキシーンに対して「助かってほしい」とは思えない。
主人公というより、痛快なアンチヒロイン、アクションヒーロー的に描きたいのかな。
襲ってきた男の金玉を潰す場面以外大きな盛り上がりはない。
1985年らしい音楽や、昔の映画を意識した編集、映像の質感は分かるがそもそもストーリーそのものが面白くない。
映像や音楽で時代感を作っても、肝心の中身が退屈なら刺さりもしない。
夢に執着するシリーズ
三部作を続けて観ると、パールとマキシーンは意外と似た者同士であることがわかる。
二人とも、自分の夢に対する執着がものすごく強い。
しかもそのためなら平気で人を殺めてしまう。
つまり二人ともだいぶ自分勝手な人間なわけです。
『X エックス』は、チープなB級スラッシャーホラー。
『Pearl パール』は、パールがなぜ狂気に満ちた人生へ進んだのかを描く人物劇。
『MaXXXine マキシーン』は、一人の女性が女優へ執着し、逆境を押し切りながら固執し続ける話。
でも、そもそも三部作にする必要があったのかと聞かれるとかなり疑問。
そもそも人物描写も薄いし、物語も薄い最初の作品『X エックス』が面白くなかったので、無理に横展開しなくてもよかったのでは。








