【映画】交渉人 真下正義(2005)|ひどい…交渉しない交渉人。結局犯人は?ムロツヨシがいる。【ネタバレ考察】

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映画『交渉人 真下正義』をイメージした画像 アクション

2005年に公開された映画『交渉人 真下正義』。

本作は、『踊る大捜査線』シリーズ初の本格的なスピンオフ映画。『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の事件後を舞台に、ユースケ・サンタマリア演じる真下正義を主人公として描く。

はい、実はこの映画、色んな映画の丸パクリなんです。

しかも主人公の真下正義は交渉人なのに全然交渉しないというツッコミどこ満載の映画。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:交渉人 真下正義
原題:NEGOTIATOR
公開年:2005年
製作国:日本
上映時間:128分
監督:本広克行
脚本:十川誠志
原作:なし(原案:君塚良一)
出演:ユースケ・サンタマリア、寺島進、小泉孝太郎、柳葉敏郎、水野美紀、ムロツヨシ、東根作寿英、高杉亘、松重豊、石井正則、西村雅彦、金田龍之介、八千草薫、國村隼
ジャンル:サスペンス/クライム/アクション

あらすじ




映画『交渉人 真下正義』をイメージした画像

台場会社役員連続殺人事件から約1年後のクリスマスイブ。警視庁のホームページが「弾丸ライナー」を名乗る人物にハッキングされ、葛西第二公園の爆破と同時に、東京の地下鉄をモデルとした地下鉄網で最新鋭試験車両「クモE4-600」が何者かに乗っ取られる。

警視庁は大規模テロの可能性を警戒し、捜査第一課の室井慎次管理官は、日本初の犯罪交渉人となった真下正義を中心とする交渉チームを招集。真下たちは、姿も目的も分からない犯人との交渉を続けながら、暴走する地下鉄車両を止めようとする。

『ダイ・ハード』『サブウェイ・パニック』『パトレイバー』




本作を改めて見ると、いろんな作品から影響を受けていることがよく分かる。

「クリスマス×テロ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やっぱり『ダイ・ハード』だろう。

そして1974年公開の『サブウェイ・パニック』は、地下鉄車両が乗っ取られ犯人側の要求によって都市全体が混乱していくサスペンス。この作品もかなり頭をよぎる。

ただそれ以上に「もうめちゃくちゃ似てるな」と感じたのが『機動警察パトレイバー』。

・不穏さを象徴するカラス

・刑事が犯人の痕跡を追って東京中を走り回る。

・通常は使われていない「脇線」が事件の鍵になる。

・暴走していたはずの車両が、東京の地下システムの中から突然消える。

・犯人につながる人物を追っていった結果、「その人物はすでに死んでいる」というところまで出てくる。

ここまで揃うと、もはや実写版『パトレイバー』みたいなものじゃねぇか?とすら思ってしまう。

そもそも本広克行監督は押井守作品への強い思い入れを公言しているので、押井守的なテイストが出てくること自体は分かるが、ここまで共通点が多いと、リスペクトという言葉だけで片づけていいのかな、という引っかかりも正直ある。

ものづくりとして、作り手としてのプライドはないのかな?なんて思ってしまう。

もともと『踊る大捜査線』シリーズ自体が色んな映画や作品の要素を取り込んで成立してきたシリーズでもあって、「パクリだからダメ」とまで言う気はない。

むしろ元ネタを知らずに見れば、『交渉人 真下正義』単体でもかなり楽しめるが、パクった元作品が面白いので、そりゃそこそこ面白くなるよね、という少し卑怯な作品でもある。

全然交渉してない。




いや、タイトル詐欺やん。

交渉人 の真下正義は、劇中で犯人との本格的な心理戦や高度な「交渉」はほとんど行われない。

犯人の正体や目的も最後まで掴めず、真下は翻弄されながらシステム対応や状況の維持に追われるだけである。

ケビンスペイシー主演の『交渉人』みたいな「駆け引き」みたいなのを想像すると早大に肩透かしを食らわされることになる。

真下は相手と心理戦や条件闘争をする余裕がなく、言われるがままシステムに振り回されただけなのだ。

実態は暴走する地下鉄をダイヤとシステムで止めるための「タイムリミット謎解きサスペンス」に過ぎない。

「メリークリスマスだ、バカ野郎」




本作でかなり光ってるのが寺島進演じる木島丈一郎だ。

「メリークリスマスだ、バカ野郎」と言って登場するシーン。

「メリークリスマス」と「バカ野郎」は本来ほとんど正反対の言葉である。

季節の挨拶くらいは一応する。

その直後には、多分口癖なんだろう。「バカ野郎」。

まったくクリスマスを祝っている人間の姿じゃないが、この短い登場シーンだけで木島丈一郎という人間がよく分かる。

真下正義のパートは基本的に室内での交渉劇で、どうしてもアクション要素が欠如してしまう。そこで木島である。

真下が「室内で頭を使う人間」なら、木島は「外で身体を動かす人間」。

この二人のパートを行き来することで、交渉劇だけでは出せないスピード感が生まれている。

ここにも少し『ダイ・ハード3』的な都市型アクションの匂いも感じるが。

そして今見ると、出演者の顔ぶれにも懐かしさがある。

真下のチームには若い頃のムロツヨシもいる。

実はムロツヨシは本広克行監督の『サマータイムマシン・ブルース』にも出演していて、かなり昔から本広作品に顔を出しているけれど、当時ここまで活躍する俳優になるとは思わなかった。

今見返すと、「あ、この人こんなところに出てたんだ」という発見もあって、それもまた面白い。

犯人も動機も分からないまま終わる




最終的には真下たちはコンサートホールの爆発を阻止することに成功したので、実質ゲームの勝敗だけを見れば、真下の勝ちということになる。

ところが本作では、最後まで犯人が誰なのか分からない。

これほど大規模なテロを一人だけで実行できるとも思えないので、複数犯なのだろう。

終盤の爆発で犯人は死んだのか。そもそもあの場所に犯人はいたのか。ビックリするくらい明らかにならないんです。

だから事件って実は解決したようで全然解決してないんですよね。

犯人をあれだけ曖昧なまま残しているんだから、続編なんていくらでも作れたはずなのにそれが実現しなかったのは残念だ。

真下正義というキャラクターは『踊る大捜査線』の中で「交渉人」というポジションになったのも、もしかすると最初からこの映画を作るために、ネゴシエーターになったんじゃないか。

ツッコミどこしかないけど、何も考えずに観る分ならそこそこ楽しめる映画でした。

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