2022年に公開された映画『オールド・ピープル』。
本作は、アンディ・フェッチャーが監督・脚本を務めたドイツ製ホラー映画。老人ホームの高齢者たちが凶暴化して人々を襲うというスラッシャー的な設定を軸に、高齢化社会、老人の孤独、家族や社会から切り離されていく高齢者への扱いといった問題を重ねて描く。
めちゃくちゃつまんねぇです。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:オールド・ピープル
原題:Old People
公開年:2022年
製作国:ドイツ
上映時間:101分
監督:アンディ・フェッチャー
脚本:アンディ・フェッチャー
原作:なし
出演:メリカ・フォルタン、シュテファン・ルカ、アンナ・ウンターベルガー、ビアンカ・ナヴラート、オットー・エミール・コッホ、マクシーネ・カジス
ジャンル:ホラー/スラッシャー
あらすじ

妹の結婚式に出席するため、2人の子どもを連れて故郷の村へ戻ってきたエラ。久しぶりに家族が集まり、穏やかな時間を過ごすはずだった。
ところが、村の老人ホームで暮らしていた高齢者たちが突如として凶暴化。施設を抜け出した老人たちは若者や村人を次々と襲い始め、平穏だった村は一夜にして惨劇の舞台へ変わっていく。
エラたちは家族を守るため逃げ続けるが、老人たちの暴力は止まらない。外部から孤立した村で、生き残るための過酷なサバイバルが始まる。
老人の奇行を恐怖に変えるだけでは、もう怖くない
まず感じたのは、老人をホラーの対象にする難しさ。
白髪の老人が暗闇から現れる。四つん這いになる。認知症のように何をするか分からない動きを突然し、突然こちらに襲いかかってくる。
この手の演出はM・ナイト・シャマランの『ヴィジット』なんかもそうだったけれど、「老人の奇行=怖い」という構図そのものに既視感がある。
しかも老人をフィジカルな恐怖として成立させるのはそもそも無理がある。
だって若者が本気で抵抗すれば勝てるんじゃん?という感覚がどうしても出てくる。
終盤に登場する大柄な爺さんくらい見た目も怖くて喧嘩も強ければ話は別だけれど、それでも一度倒したところで主人公側が中途半端に攻撃を止めるパターンも、また起き上がって襲ってくるために手加減しているようにしか見えない。
だから作り手としては体力ではなく「次に何をするか分からない」という精神的な恐怖へ持っていくしかないのだろう。
でもそれって結局、認知症や老いそのものを恐怖の記号として使っているわけで、自分はあまり気持ちのいいものには感じなかった。
僕ら全員、いずれ老人になるわけで。もしかしたら認知症になるかもしれない。
それを四つん這いにさせて怖いでしょう?と見せられても恐怖より複雑な気持ちの方が先に来てしまう。
怒りはわかるが矛先が違う
劣悪な環境に置かれた老人たち。孤独。介護施設の人手不足。家族から見放されたという感覚。そして幸せそうに暮らしている若い世代への嫉妬や怒り。
本作が描きたいことはわりと明確だ。
要するに「高齢者をもっと大切にしましょう」という話なのだと思うが、そもそも老人たちの怒りの矛先がおかしい。
冒頭で殺される介護の女性なんて、ほとんどただの被害者じゃねぇか。
介護の仕事をしている人間を殺してどうするのか。さらに自分たちを施設へ追いやった家族や制度そのものではなく、とりあえず目についた若者を次々と襲っていく謎展開。
それってもう復讐ではなく、ただの無差別テロに近い。
しかも「施設で苦しむ老人」と「結婚式で幸せそうな若者」を対比して、お前たちは何も苦労していないというような憎悪を向ける。でも、あなたたち老人だって昔は若かったでしょう?
恋愛もしただろうし、楽しい時間だってあったはずだ。
今の若者が幸せだから憎いという話にしてしまった瞬間に、老人側にも全く感情移入できなくなる。
結果として、「老人を大切にしないとこうなるぞ」という説教臭さだけが残る。社会問題を扱いたいのは分かるけれど因果関係が雑すぎて誰にも同情できない映画になってしまった。
何も残られない映画
そして致命的なのが単純に映画として面白くないということ。
前半から中盤までとにかくテンポが悪い。不気味な雰囲気だけはあるものの、ストーリーが薄く、なかなか話が動かない。老人が変な動きをしている、老人ホームが不穏、若者と老人の間に何かありそう。その繰り返しが長い。
ところが終盤に入ると突然、畳みかけるように展開が速くなる。
父親も母親も死ぬ。家族は次々と追い詰められる。子どもたちが生き残る方向へ一気に話が進んでいく。
前半はあれだけ時間を使ったのに終盤だけイベントを詰め込みまくる。このテンポ配分の極端さもかなり気になった。
しかも老人たちがなぜここまで凶暴化したのか、最後まで明確な答えは出ない。
ホラーなのに怖くないし、既視感はあるし、ストーリーも薄いし、最後だけ急に忙しいし。
全部見終わって残ったのは、「老人をホラーにするって難しいんだな」ということくらいだった。






