2003年に発表された短編映画『その男狂棒に突き』。
調べたら本作品の記事を取り上げてる記事がほとんどない。なぜだろう?こんなに面白いのに。
いや、いまの日本ではこれを面白いと言ってはいけないような気がする。だけど私は好きだ。
だからこっそりこの記事では本作品を取り上げてみようと思う。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:その男狂棒に突き
・公開年:2003年
・監督:山下敦弘
・脚本:山下敦弘
・音楽:―
・ジャンル:フェイクドキュメンタリー/コメディ
・上映時間:75分
・製作国:日本
・主なキャスト:山本剛史、里見瑶子、山下敦弘
あらすじ

主人公の尾崎充は、本職は刑事でありながら副業でAV男優を務めるという奇妙な男。ある日、新人AV女優との撮影に参加することになるが、持ち前の強引な性格と刑事らしい振る舞いによって現場は次第に混乱していく。
やがて撮影現場そのものが予測不能な方向へ暴走。ドキュメンタリーのように見せながら虚構と現実の境界を曖昧にし、観る者を奇妙な世界へ引きずり込んでいく。山下敦弘監督特有の脱力感と不条理な笑いが全編に漂う作品である。
人に勧められるものじゃないけど、好き。
当時、『リアリズムの宿』が好きで山下敦弘監督の作品を片っ端から漁っていた時に発掘したDVD。
この作品、レビューしといてなんなんだけどあまり人に勧められるシロモノじゃない。
タイトルだって北野武監督のデビュー作『その男凶暴につき』のパロディでギリギリだろ。
いわゆるフェイクドキュメンタリーで本業は刑事で副業は汁男優という奇抜すぎる設定。
そして山下監督の中学からの友人の山本剛史の怪演がハンパじゃない。
もう全編キレまくり。
マジでヤバイ人なんじゃないかと一瞬演技を忘れてさせてくれるくらいだ。
話としては汁男優しかやってこなかった尾崎(主役)がついにAVの撮影で本番をするというもの。
もうストーリーとしてはこれだけ。
そして全編ほとんど山本剛史のアドリブが続く。
唯一ラストだけがグダッてるけどトータル悪ふざけにしては面白い。
マジメに作った作品もある中で山下監督には申し訳ないが、私はこの作品が一番衝撃を受けたし山下監督の中で一番好きだ。
尾崎という男について
尾崎という男はやたらと自尊心やプライドが高い。
本当は(おそらく)童貞だけど女優を目の前にしてどうしていいかわからない。
だからこそその怒りの矛先を他者に向ける。
非常に不器用な男なのだ。
普段はその怒りやパワーを犯人逮捕に注いでいる。しかしAVの撮影ではその感情を他者に向けるしかない。
だからこそあの破綻したかのようなラストになったのだ。
と、勝手に書いてるけど
おそらく本作品は刑事で副業で汁男優という設定が先行して作られたものの、ラストまでしっかり決まって作られてはいないと思う。
ただし尾崎の心理状態を想像すればあとは壊れるしかないのは必然か。
一番面白いのはコメンタリー
奇しくもこのDVDで本編よりも面白いのが主演である山本剛史によるコメンタリーだ。
本作品に対して解説も何もないだろう。
しかし1人でこの作品を解説するという無茶振りをやらされている。
本人も言ってるけど「あんま話すことがないですね」って聞いて、そりゃまぁそうだろうなと納得。
しまいには山下監督についてボロクソにダメ出ししている。
「この作品がいいとは思わないんですけどね」とか「最近妙に演出してきてウザい」とか「彼は真面目な人間ではない」とか後半にいたっては作品というより山下監督を全否定しにかかっている。
もうこのコメンタリーがいちいちつぼって仕方がない。
この作品の後にも似たような感じで『不詳の人』という作品もあるので気になった方はご覧ください。
当然こちらも山本剛史の怪演をたっぷり観ることができる。





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