2019年に公開された映画『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』。
2018年にテレビ朝日系で放送され社会現象化したドラマ「おっさんずラブ」の劇場版。ドラマ版のその後を描く完全新作。
監督はドラマ版でも演出を担当した瑠東東一郎、脚本は徳尾浩司が続投。主演の田中圭、林遣都、吉田鋼太郎ら主要キャストも再集結した。
が、出来上がった作品はあまりにもめちゃくちゃで、コメディ映画なら何してもいいのだろうか?
まったくとんでもないものをみせられてしまった。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜
・公開年:2019年
・監督:瑠東東一郎
・脚本:徳尾浩司
・音楽:河野伸
・ジャンル:ラブコメディ/ドラマ
・上映時間:114分
・製作国:日本
・主なキャスト:田中圭、林遣都、内田理央、沢村一樹、吉田鋼太郎
あらすじ

上海勤務から帰国した春田創一は、久しぶりに天空不動産第二営業所へ戻ってくる。
牧凌太との関係も落ち着いたかに見えたが、本社の大型プロジェクト「Genius7」が始動。さらに新入社員・山田ジャスティスの加入や、黒澤武蔵の記憶喪失騒動まで巻き起こり、営業所は再び大混乱へ突入する。
しかも記憶を失った黒澤は、“春田だけ”を忘れてしまっていた。
春田、牧、黒澤の複雑な関係はさらに加速し、やがて天空不動産を巻き込む巨大騒動へ発展。恋愛、友情、嫉妬、そして男たちの執着が入り乱れる中、それぞれが本当に大切な相手を見つめ直していく。
テレビ版の世界を見事にブチ壊す
家内がドラマを観てて流し見してたら不覚にも思わずハマってしまった「おっさんずラブ」の劇場版。
率直な感想としては日本のエンタメにありがちな「ドラマから映画になるとやらかしちゃうパターン」のザ・王道。
本作の特徴はドラマ以上に「全部盛り」になったテンションの高さ。恋愛だけでなく、記憶喪失、企業ドラマ、アクション、爆破、コメディまで詰めこみ、もはやなんでもありの映画。
興行収入は26億円超を記録し、深夜ドラマ発の映画作品としては異例のヒットとなった。
もう冒頭の香港でのアクションシーンとか絶対いらんでしょ。
映画版だからって気合い入れるのはいいんだけどサービスしすぎる事が必ずしも観客にとってはサービスではないんだよね。
視聴者はあくまでドラマ版のあの世界観の続きを観たいだけなんだから。
製作陣が「映画だから」といって力を入れようとすればする程どんどんシラけていく自分がいる。
そもそもドラマ版では春田が黒澤部長を振り、牧と結ばれるという物語としてはキチンとしたラストを迎えたはずである。
すでに完結した話に続きを作る方が色々と無理があり、言うなれば一度成仏したキャラクター達を無理矢理墓から引きづり出す様なものである。
何してもいいのだろうか?
黒澤部長は男である春田に猛アプローチする為、十数年間寄り添った妻との結婚生活にピリオドを打つ。
結果的に、春田から振られてしまうんだけど最後には「いい恋だった」と自分の中で決着をつけ、ドラマ版の話は終わったはずである。
ところが映画版ということで、再び春田に思いを向かせないといけないという都合上、苦肉の策として黒澤部長が記憶喪失となりまた春田に恋をするというあまりに安っぽい設定に思わず呆れてしまった。
あのドラマの世界観がなんだか一気にチープなものになってしまった気がする。
そして今回は新たに新人君が春田の部署にやってくるんだけどこの新人君がまるで物語の相乗効果になっていないのも残念だった。
なよなよしててちょっとリアルっちゃリアルなんだけどね。結果、いらんかった。
それから紅一点だった内田理央の出番がめちゃめちゃ少なかったのも不満だ。
男同士の恋愛の中で唯一の女性である内田理央が幼馴染の春田に恋をするという物語のスパイスとしても重要な存在だったはずが今回ほとんど物語にタッチしてない。
つまりただ男達がわちゃわちゃやってるだけでノンケの男の観客からすれば何のドキドキ感もないのだ。
前半は限りなくダラダラなんだけど後半になると春田が提携していた企業に拉致監禁される話になりさらに今までの世界観を壊しにかかる。
真正面から作品をブチ壊す。
ハリウッド映画さながらの爆発シーン。
からの炎の中での男同士の愛の告白。
雄叫びを上げる吉田鋼太郎たちの迫真の演技。
一体何見せられてるんだ?と誰しもが思う事だろう。バカバカしいんだけどそれを真面目にやる美学というのか。
正直あのままダラダラな前半を観せられ続けるならいっそのことこのくらいぶち壊してくれた方がまだ清々しいと言えよう。
特に吉田鋼太郎はドラマ版よりもかなりテンション高くキレキレでこの映画ではめちゃめちゃ際立っていたと言える。
記憶喪失となり靴を履かせてもらうことで全ての記憶が戻る瞬間のバカバカしさといったら…
バカバカしさをとことん突き詰めた、だけど本人たちは必死、そして何より楽しんでやってるのが伝わるのという意味ではなんか、ほっこりとしました。
ある程度お客さんは入ったみたいなので映画会社としては儲かったかもしれないが、ファンの想いや今まで作り上げてきた世界観を見事にぶち壊す作品となったのでした。





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