1997年に公開された映画『フィフス・エレメント』。
『フィフス・エレメント』は、『レオン』や『LUCY/ルーシー』などを手掛けたリュック・ベッソン監督によるSFアクション映画。
公開当時は大ブーイングの嵐だったが、今観返してみるとこれ、傑作じゃね?
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:フィフス・エレメント
原題:The Fifth Element
公開年:1997年
製作国:フランス
上映時間:126分
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
出演:ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム、クリス・タッカー、ルーク・ペリー
ジャンル:SF、アクション、アドベンチャー
あらすじ

23世紀。300年ごとに現れる邪悪な存在が地球へ接近し、人類は滅亡の危機を迎えていた。元軍人で現在はタクシー運転手として暮らすコーベン・ダラスは、謎の少女リールーと出会ったことをきっかけに、人類を救う「五つ目のエレメント」を巡る戦いへ巻き込まれていく。宇宙を舞台に、政府、軍、異星人、そして悪の組織が入り乱れる壮大な戦いが始まる。
評論家からは酷評されたのに大ヒット
SF映画というと難しい設定や専門用語を並べがちだけど、この映画は最後に「世界を救うのは愛」という、超普遍的で王道のテーマを持ってきたからこそ、誰でも楽しめる作品になっている。
そして、この映画がフランス映画だということにも改めて驚いた。リュック・ベッソン監督作品だから当然ではあるんだけど、ここまでハリウッド大作のような作りなので、てっきりアメリカ映画だと思っていた。
実際、本作は製作費約9,000万ドルをかけた当時としては超大作だった。しかし公開当時、カンヌをはじめとする映画評論家からはかなり酷評されている。
「色彩は豊かだけど中身がない」「エンターテインメントに振り切りすぎている」「ストーリーに深みがない」といった批判が相次ぎ、芸術性を重視する映画人からはあまり評価されなかったのだ。
でも今考えるとリュック・ベッソンはB級映画のようなアイデアを、本気の予算と本気のスタッフで、とことん真面目に作った。それだけなんだ。
その潔さこそ、この映画最大の魅力なんじゃないだろうか。
結果として作品は世界的な大ヒットを記録した。評論家の評価と観客の評価がここまで分かれた作品も珍しい。
アナログなSF世界と強烈すぎるキャラクターたち
まず今だからこそ感じるのが、アナログな特殊造形の良さ。
今なら宇宙人もモンスターも全部フルCGで作ってしまいそうなところを、この作品は着ぐるみや特殊メイク、人形のような質感をしっかり残している。このちょっとB級映画っぽいチープさが逆に味になっていて、最近のリアルすぎるCGにはない温かみを感じた。
そしてなんといってもあの青いオペラ歌手の圧巻のオペラシーン。一気に引き込まれるくらいこのシーンに力入ってます。その歌声に合わせてのミラ・ジョヴォヴィッチの格闘シーンがシンクロする。
キャストも本当に豪華。ブルース・ウィリスはとにかく華がある。金髪にオレンジ色の衣装という派手な格好なのに、不思議と違和感がない。のちに『バイオ・ハザード』で活躍するミラ・ジョヴォヴィッチもまだ初々しく、美少女っぽいあどけなさがある。
そして忘れてはいけないのがクリス・タッカー。終始ハイテンションで叫びまくる演技は、この映画でしか見られないレベル。
ぶちキレまくっててこの演技だけでもこの映画を観る価値があると思うレベル。
さらにゲイリー・オールドマンも独特すぎる髪型と圧倒的な存在感がすごい。ただしこの役がめちゃ嫌いだったとのちに語っている。
『ダイ・ハード』と『スター・ウォーズ』を掛け合わせたような王道SFアクション
最後まで観て思ったのは、この映画は完全に『ダイ・ハード』と『スター・ウォーズ』を足したような作品だということ。
ブルース・ウィリス演じる主人公は、軍を辞め、タクシー運転手としてボロアパートで暮らしている。離婚も経験し、決して完全無欠のヒーローではない。
この若干やさぐれた主人公像は、ジョン・マクレーンそのものじゃないか。拳銃ぶっ放す姿も『ダイ・ハード』を思わせる。
一方で、舞台は宇宙へ広がり、異星人や巨大宇宙船が登場する世界観は『スター・ウォーズ』そのもの。
しかもCGだけに頼らず、特殊造形やセットを多く使っていて世界全体に「質感」がある。今の映画では逆に味わえない空気感が残っていて、それが作品の魅力になっている。
五つ目のエレメントは「愛」
物語のテーマも実はすごく分かりやすい。
地、水、火、風という四つのエレメントだけでは世界は救えず、最後の五つ目のエレメントは「愛」だった。
SF映画というと難しい設定や専門用語を並べがちだけど、この映画は最後にすごくシンプルな答えへたどり着く。「世界を救うのは愛」という普遍的なテーマだからこそ、誰でも理解できる作品になっている。
ポップアートのような色彩、ド派手なアクション、コメディ、クリス・タッカーのハイテンション、ゲイリー・オールドマンの怪演、圧巻のオペラシーン、そしてブルース・ウィリスのヒーロー像。それら全部を一つに詰め込みながら、最後は「愛」というシンプルなテーマへ着地させる。
まさにエンターテインメントのお手本のような映画だ。






