【映画】ドリーム・シナリオ(2023)|もしも毎日ニコラス・ケイジが夢に現れたら…集団心理を描く怪作の評価は?【ネタバレ考察】

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映画『ドリーム・シナリオ』(2023)の主人公を描いた水彩画風イメージイラスト コメディ

2023年に公開された映画『ドリーム・シナリオ』。

本作は『シック・オブ・マイセルフ』で注目を集めたクリストファー・ボルグリ監督による長編作品。『ミッドサマー』のアリ・アスターが製作に名を連ね、ニコラス・ケイジが主演を務めた。

2023年のトロント国際映画祭で初上映され、公開後は独創的な設定と現代社会への鋭い風刺が高く評価された。SNSによる炎上、承認欲求、集団心理、キャンセルカルチャーをテーマにしながら、シュールなコメディと不気味なホラーを融合させた作品として話題となった。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




・作品名:ドリーム・シナリオ
・公開年:2023年(日本公開2024年)
・監督:クリストファー・ボルグリ
・脚本:クリストファー・ボルグリ
・音楽:オーウェン・パレット
・ジャンル:コメディドラマ/ホラー/風刺映画
・上映時間:102分
・製作国:アメリカ
・主なキャスト:ニコラス・ケイジ、ジュリアンヌ・ニコルソン、マイケル・セラ、ティム・メドウス

あらすじ




映画『ドリーム・シナリオ』(2023)の主人公を描いた水彩画風イメージイラスト

大学教授のポール・マシューズは、ごく平凡な生活を送っていた。

しかしある日、世界中の人々が見る夢の中に彼が現れ始める。

何もしていないのに一躍有名人となったポールは、メディア出演や出版の話まで舞い込み人生が一変。だが夢の中のポールが徐々に暴力的な存在へ変化すると、人々の視線は尊敬から嫌悪へと反転していく。

本人には何の責任もないはずなのに、社会は彼を「悪者」として扱い始める。

もしも毎日ニコラス・ケイジが出てきたら




なんともシュールな映画を観た。

ある男が世界中の人の夢に現れるという奇抜な設定の映画だ。

主演は浪費家がたたって借金まみれになり、片っ端から映画に主演しまくっていたニコラス・ケイジ。

ハゲてるのにロン毛で髪の毛を振り乱しながら爆発の中走っていたニコラス・ケイジである(『コン・エアー』より)。

彼が演じるのはごく普通の大学教授ポール。

ちょっと待ってくれ、ニコラス・ケイジってこんなにハゲてたっけ?もちろんだいぶ上がってたけどいくら何でもハゲ過ぎじゃないか?

最近の写真を色々と探したがなかなか核心に迫る写真を見つけることができなかった。

そう、本作のポールのハゲ頭は何よりもアイコンになっている。そしてニコラス・ケイジの演技がなんとも哀愁に満ちているのだ。

いつもしょうもないB級アクション映画ばかりに出演しているが、本作で彼はちゃんと演技ができる男だということを印象付けた。

話をもとに戻そう。

ポールは世界中の人々の夢に現れるようになる。しかもシュールなのか別に何かをするわけじゃなくてただ現れるだけ。

歩いているだけだったり、遠くで立っているだけだったり。

それなのに世界中で「私も見た」「私も夢に出てきた」と話題になる。

めちゃくちゃハゲてるおじさんが世界規模のミームになるのである。

発想だけなら近年の映画でもトップクラスに面白い。しかしだ、このような発想勝負の物語の課題は帰結の仕方にある。

観ながら「これどうやって終わらせるんだろう?」。そればかりが気になっていた。

SNSの炎上




というか、夢に出る人と出ない人の差は何なのか?

なぜポールなのか?

そのような説明は一切ない。いわゆる理不尽系だ。

夢に出てくるポールは何もしていないが、人々は彼に親近感が湧き、ポールはすっかり有名になっていく。

ポール自身も最初は戸惑いながら、その状況を受け入れていく。

ところが次第に夢の中のポールが暴走し始め、夢の中で人を襲うようになる。

ポールは「恐怖の象徴」になってしまうのだ。

映画の中で「俺は何もしていない!」というセリフを何度聞いたことか。

そうすると人々はポールを忌み嫌うようになる。

こうしてポールは気づけば街では避けられ、時に暴力を振るわれたりするようになる。

矢が刺さるシーンなんてかわいそうだけど、笑ってしまった。

これってSNSのイメージをまさに象徴してるかのようだ。

なんとなくもてはやされて、何かあると一気に株が急降下して炎上騒ぎになる。人々の心理なんてずいぶんいい加減なんだよ。

本作で描かれる民衆の集団心理は昨今のSNSのまさにそれを表現しているようで、ポールの悲劇は現代社会の縮図そのものだった。

最後のオチは




しかし次第に人々はポールの夢を見る人がいなくなっていく。まるでネットの炎上と同じ性質のもので、人々の関心が長続きせず、あっという間にブームが去ってしまうようだ。

ポールは世間を騒がせた一発屋のような存在として、完全に過去の人として処理されてしまう。

そして他人の夢に自分を出現させることができるデバイスが開発されるようになる。

企業が夢の中に広告を流し、夢そのものがマーケティングの場になる。

実際に現代の広告業界を考えれば、人間の深層心理に直接アクセスできるなら企業は喜んで金を払うだろう。だけど疲れそうだけどね。

ラストシーンではポールもまた夢の世界で炎に囲まれた嫁を救い出す夢を見ていた。

「もしもこれが現実だったら・・・」

うわぁ、なんて救いがないエンディングなのでしょう。このブログではさんざんニコラスケイジをイジりまくってきたわけですが、本作ではさすがに彼が可哀そうになってしまった。

まぁ、物語としては少し散漫にはなっているし、やっぱり「世界中の人の夢に出る男」という設定のわくわく感のまま走り切ることはできなかったかな。

その結果、最初に感じた不気味さや皮肉が少し薄まった印象もある。

結局何だったんだろう?と振り返るとやはり浮かぶのは、SNS社会の恐怖や人間の承認欲求がテーマだったんだろうと思う。

最近観た映画の中ではだいぶ異質であり、個人的にはこのような責めた作品は嫌いじゃない。

ちなみにニコラス・ケイジは本作の演技で第81回ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされている。これだからニコラス・ケイジものはやめられない。

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