2026年に公開された映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』。
『踊る大捜査線』劇場版第5作。副題の「N.E.W.」は「NEXT EVOLUTION WORLD」に由来する。
初日(2026年9月18)に観てきました。

いやぁ、ひどい映画でした。
予想はしていたけど、なんで作ったんだろう?というレベル。
そもそも劇場版第3作、第4作が僕にはあまり面白くなかったので、その続編となる本作にも大きな期待はしていなかったが、その予想のまま劇場を出ることになった。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!
原題:THE ODORU LEGEND STILL CONTINUES
公開年:2026年
製作国:日本
上映時間:142分
監督:本広克行
脚本:君塚良一
原作:なし
出演:織田裕二、趣里、白洲迅、佐々木蔵之介、増田貴久、野呂佳代、玉井詩織、藤吉夏鈴、齊藤なぎさ、佐藤二朗、ユースケ・サンタマリア、真矢ミキ、水野美紀、甲本雅裕、寺島進、伊藤淳史、滝藤賢一、松重豊、松下洸平、斉藤暁、小野武彦、北村総一朗
ジャンル:刑事/ドラマ/サスペンス
あらすじ

東京都内で「225事案」と呼ばれる誘拐事件が発生する。犯人は身代金の期限が切れれば街を爆破すると予告し、その運び屋として青島俊作を名指しする。
同じ頃、3Dプリンターで製造された拳銃を使った連続殺人事件や、猛毒性ウイルスの拡散をめぐる脅威も発生。警察組織ではAIが捜査の優先順位や逮捕状請求を判断するシステムが導入されるなど、青島がかつて駆け回った現場も大きく変化していた。
58歳になった青島は、近代化した警察組織と新たな犯罪を前に、再び巨大都市・東京を駆け回る。
冒頭から間延び、そもそも話そのものが面白くない
特にきつかったのが序盤。新宿を舞台に青島が街中を走り回りながら指示に翻弄されていく。もはや『ダイ・ハード3』のような既視感だらけの展開。
しかも劇中のネット内では「『ダイ・ハード3』みたい」と映画内で言ってしまう時点で卑怯というかなんというか。パクリを開き直ってるやん。
しかもこのシーンがとにかく長い。緊張感があるわけでもなく、途中にはスリーアミーゴスが登場したりいらん小ボケが何度も挟まり、だいぶしんどい。
結局これは実演演習だったことが判明しその結果として青島が有名になるのだが、その設定がその後の物語で大きく生きるわけでもない。だったらあの長い導入は何だったのか。
この導入シーンが、青島の格好を真似する人間が大量に現れるくだりにつながるのだが、これは「ちょっとしたことで一般人が有名人になってしまう」みたいな現代のネット社会を象徴してるのかな。
山本高広が織田裕二のモノマネするシーンも思いっきりやればいいのになんだか元気がなく、中途半端。(過去に怒られたから遠慮してる?)
小ネタを入れること自体はいいけれど、それが全く面白さにつながっていないんです。
野呂佳代演じるキャラクターとの絡みとか、本筋とほとんど関係のないやり取りも長い。
自分が観た回では劇場もかなり静かで、笑いが起きるというより苦笑いに近い空気に感じた。
見ていてしんどくなって画面から目を逸らしたくなるくらいだった。
142分という上映時間以上に長く感じたのは、事件そのものより、事件とは直接関係のない場面に時間を使いすぎているからだと思う。
とは言え、唯一良かったのは佐藤二朗ですかね。いつもの佐藤二朗だけど、ちゃんと盛り上げてくれていた気がします。それ以外はノイズ。
ファンサービスを詰め込みすぎて、過去作から前へ進めない
シリーズが長く続いている以上、歴代キャラクターを再登場させたい気持ちは分かる。観客の多くも『踊る大捜査線』を知ったうえで観に来ているはずなので、「あの人が帰ってきた」という楽しみ方も当然ある。
ただ今回はそれをやりすぎている。
スリーアミーゴスをはじめ、水野美紀演じる柏木雪乃など、懐かしい人物が次々と登場するが、その人物が今回の物語に必要なのかと考えると疑問が残る。
ファンサービスのために登場人物を増やし、そのたびに本筋が止まる。特に前半から中盤にかけて、それが映画のテンポをかなり悪くしていた。
さらにしんどかったのが、過去作そのものを何度も擦ること。
和久さんをAI音声で復活させる演出も、「もういいよ」と思ってしまった。AIで声を再現したところで、それは和久さん本人ではない。みんな和久さん懐かしいでしょ?和久さんの声聞きたいでしょ?感が絶妙に鼻につくのだ。
すみれさんは今回登場しないのに過去映像を見せ、室井が雪の中でいなくなった場面まで再び持ち出す。今は過去を振り返っている場合じゃないだろうと思ってしまう。
セルフオマージュらしき演出も多い。エレベーターの中で若手刑事たちが「青島作戦」「カプセル奪還作戦」と作戦名を考えるくだり過去の戒名のシーンのオマージュ。
ちなみにクソすべってた。
青島が犯人から再び背後から刺され、今度は防護していて助かるというくだりも劇場版第1作を意識している。
さらにラストで青島がタクシーに乗って湾岸署へ向かう場面で、いびきをかくタクシーのバックショットもそれ。いちいち鬱陶しい。
「七つの大罪」はデヴィッド・フィンチャーの『セブン』を連想したし、序盤には『ダイ・ハード3』的な既視感もある。
以前から『踊る』にはさまざまな作品を引用する遊びがあったけれど、今回はそこへ自分たちの過去作まで加わった印象。だから余計うざい。
色々足し過ぎていて完全に逆効果です。もっと引き算にしないとただごちゃごちゃしてる映画になってしまっている。
懐かしさを否定するつもりはないが、新しい物語を観に来たのに何度も過去へ引き戻されるのはしんどい。ラストはまだシリーズが続きそうな終わり方だったけれど、ここまで過去作に依存するなら、正直もう終わってもいいんじゃないかな。
前作までは警察内部の闇を暴く話で完全にフィニッシュだったのに、本作は完全なる蛇足である。
最先端を描いているのに、『踊る』そのものがアップデートできていない
本作で一番皮肉に感じたのがここだ。
AI、インターネット、3Dプリンターなど、扱っている題材は現代的なのにそれを描いている『踊る大捜査線』そのものが全然アップデートできていないように見える。
若い世代はネットやAIを使い、年配の上層部は「ネットの情報なんて信用できない」という態度を取る。
この対比がまず古い。
2026年にもなればおっさんだって普通にAIを使う。そこを「新しい技術を使う若者」と「理解できない年配者」に分けて見せられても、今さら感のほうが強かった。
作品的には「やっぱり現場」「刑事は足で稼ぐ」という方向へ持っていきたいように見えるのだが、実際の事件解決を見ると逆になっている。
犯人特定につながったのはネット掲示板だし、最後に犯人がお台場へ現れると推理したのもAIだった。
むしろAIとネットがめちゃくちゃ優秀なのである。
その一方で人間側は、「命令するまで待て」と止めたり、組織の中で意見を対立させたりしている。これでは人間の刑事の価値を描くどころか、AIのほうが合理的で、人間の警察組織のほうが邪魔をしているように見えてしまう。
「捜査は足で稼ぐ」と言われても、今回の事件はAIとネットがなかったら解決できなかったんじゃないのか?
犯人についても弱かった。
今回の犯人は女子高生だが、「大人が憎い」という動機も、なぜそこまでの犯罪をするほど大人を憎むのかが見えてこない。
そして「今の若者には明確な動機がない」という方向で説明されると、動機を作り込まなかったこと自体を現代の若者像として処理しているようにも見えてしまう。なんでもありやん。
さらに捜査会議では、青島が突然自分が刑事を続けている理由を語り始める。
いや、今は事件の捜査中じゃないのか?
なぜ忙しいはずの刑事たちが全員黙って青島の自分語りを聞いているのか?
こうした場面が積み重なり、事件が進んでいるはずなのに緊迫感がどんどん失われていく。
笑いも、世代対立も、刑事ドラマとしての価値観も、演出も過去を引きずったまま。
本作を観て一番感じたのは、新しい題材を入れることと、作品そのものを新しくすることは全く別ということだった。
すみれさんはおそらく次回作で出てくるんでしょうけど、そこまで引っ張るキャラでもないでしょ?
一つだけ言えば、水野美紀はいい歳のとりかたしててめちゃ綺麗でした。







