【映画】半世界(2019)|つまらない?池脇千鶴のリアルな中年女性像・人生の後半戦で描かれる再生と友情を考察【ネタバレ】

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映画『半世界』をイメージした画像 人間ドラマ

2019年に公開された映画『半世界』。

『顔』『この国の空』『団地』などで知られる阪本順治監督によるオリジナル作品。

舞台は地方の小さな共同体で家族を抱える中年男性たちの日常を通して、「人生の後半戦をどう生きるのか」という普遍的なテーマを描いている。

派手な事件や劇的な展開よりも、日々の暮らしの中にある孤独や後悔、友情、家族との距離感を丁寧に積み重ねていく作品。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:半世界
原題:Another World
公開年:2019年
製作国:日本
上映時間:119分
監督:阪本順治
脚本:阪本順治
出演:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、竹内都子、杉田雷麟、菅原あき、牧口元美、信太昌之、堀部圭亮、小野武彦、石橋蓮司
ジャンル:ヒューマンドラマ

あらすじ




映画『半世界』をイメージした画像

地方の山間部で炭焼き職人として暮らす紘。父から受け継いだ仕事を続けながらも、将来への不安や家族との距離を抱えたまま日々を過ごしていた。

そんなある日、中学時代の同級生だった瑛介が地元へ戻ってくる。元自衛官の彼は多くを語らないが、どこか深い傷を抱えている様子だった。

さらにもう一人の同級生・光彦も交え、三人は久しぶりに再会する。それぞれ異なる人生を歩んできた男たちは、中年という人生の折り返し地点で、自らの生き方や家族との関係、そして残りの人生について改めて向き合っていく。

稲垣吾郎と池脇千鶴のリアルな夫婦像




主演は元SMAPの稲垣吾郎。本作で彼が演じるのは、田舎町で父親から受け継いだ炭焼きの仕事を続ける39歳の男・紘。

風俗も映画館もないような地方(あとで三重県だということがわかる)で、妻と反抗期の息子と暮らしながら、どこか人生を諦めたような毎日を送っている。

これまでの稲垣吾郎が持っていたスター性をあえて消しており、妙にオラオラ系なちょっと嫌なやつを演じている。狭い世界で生きてるとこうなるよねみたいな典型的なキャラクターだ。

妻との会話もぶっきらぼうで、息子にも関心がなさそうに見える。

どこにでもいそうな愛想のない父親を自然体で演じており、これまでのナルシストや知的なイメージとは大きく異なるのが新鮮。

でも39歳の設定ってちょっと若くね?

さらに、妻役の池脇千鶴は劇中では30代後半の設定だけど生活に疲れた地方の主婦の感じが凄くリアル。

いるよね、こういう人。ちょっと樹木希林を彷彿とさせる野暮ったさみたいな感じ。

正直都会の30代後半ってもっと若々しいんだけど、めちゃめちゃ顔の疲れや体型も含め、アンチエイジングとは真逆の方向へ振り切ってて、実際に田舎で暮らしている主婦のような説得力があった。

近年は俳優も女優も若々しさを保ってるけど、本作の稲垣吾郎と池脇千鶴の自然体の歳の取り方に好感が持てました。

タイトルの「半世界」が意味するもの




タイトルの『半世界』には、「人生の半分を過ぎた男たちが見ている世界」という意味だけでなく、自分が知っている世界は全体の半分にも満たないという示唆も込められている。

三重県の田舎町で暮らす紘たちは、限られた人間関係と生活圏の中で毎日を過ごしており、外の世界を知らずその小さな共同体だけが自分たちの世界になっている。

その「半世界」の外を知っている唯一の存在が、長谷川博己演じる同級生・瑛介。

自衛隊に入り、海外で壮絶な経験を積み、心に深い傷を抱えたまま故郷へ戻ってくるんだけどその過去の詳細は最後まで細かく説明されることはなく、「何か大きな出来事があった」ということだけが断片的に語られる。だからこそ人物像にはどこか謎が残り、正直彼の本当の姿を掴み切れない。

一方で、彼の存在は物語全体を大きく動かしていく。いじめを受ける紘の息子・明は、彼との出会いを通じて立ち向かう勇気を得る。

そして父・紘もまた、息子との向き合い方を少しずつ変えていく。瑛介はまさに閉ざされた「半世界」に外の価値観を持ち込む重要なキーパーソンになっている。

でもこの瑛介のキャラがどうにも苦手。

というのも確かに自衛隊で色々あったのは理解できるが、いきなり戻ってきてかつての仲間にもぶっきらぼうで、かと言えばみんなで酒を飲めば突然声が大きくなったり、突然泣き出したり、キレ出したり、

まぁまぁ、不安定なキャラクター。

こういう人いるけど、苦手なんだよなと思いながら観てました。自分ならあまり近づきたくないタイプかな。

退屈・演出面での違和感




映画全体としては決してテンポが良い作品ではない。親子関係、瑛介の過去など複数のエピソードが並行して描かれるものの、大きな起伏は少なく全体的には淡々と進んでいく印象。

ラスト付近では炭焼きの仕事をしながら妻が作った弁当を食べていた紘が、何の前触れもなく突然倒れてしまう。

それまで病気を抱えているような描写は全くなく、結構突然なんです。

まぁ、とは言っても人生って実際こういうものなのかもしれない。昨日まで元気だった人が突然亡くなることは現実にもあるのでこの唐突さ自体はリアルなのかも。

人っていつどうなるか分からないからいま自分の周りの世界にいる家族や友人との関係はちゃんとしておいた方がいいよねっていうメッセージが隠されるのかもしれない。

さらに演出面でも違和感がある。

明をいじめていたリーダー的存在の彼は突然「俺も前の学校じゃお前みたいだった」と語りだすシーンがあるんだけど、いや、だから何でイジメてたのかの説明にはなってないよね。むしろイジメられていたのであればイジメられる側の痛みがわかるはずなのにこのキャラクターの行動と言ってることが嚙み合ってない感が凄かった。

そして池脇千鶴演じる妻が葬儀で旦那のお棺に「私もこの中に入りたい!」と口にする場面など、感動を盛り上げようとする意図は伝わるものの、少し演出が前に出過ぎていて芝居っぽさを感じてしまったのも違和感だ。

それぞれのエピソードや人物描写が一つの大きなテーマへ十分につながり切れておらず、どこか散漫な印象も受けた。

だからこそ一本の映画としては少し消化不良が残る作品だった。

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