2012年に公開された映画『ジャンゴ 繋がれざる者』。
クエンティン・タランティーノがマカロニ・ウエスタンとアメリカ奴隷制度を掛け合わせた異色作。セルジオ・コルブッチ監督の「続・荒野の用心棒」などから強い影響を受けているとされています。
タランティーノは「歴史に忠実な映画ではなく、ジャンル映画として描きたかった」と語っており、本作では西部劇の爽快感と、アメリカの奴隷制度という重い歴史を融合。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:ジャンゴ 繋がれざる者
・公開年:2012年
・監督:クエンティン・タランティーノ
・脚本:クエンティン・タランティーノ
・音楽:エンニオ・モリコーネ、RZA ほか
・ジャンル:西部劇/アクション/ドラマ
・上映時間:165分
・製作国:アメリカ
・主なキャスト:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン
あらすじ

1858年、南北戦争前夜のアメリカ南部。ドイツ人賞金稼ぎのキング・シュルツは、奴隷として売られていた黒人男性ジャンゴを解放する。ジャンゴには、生き別れた妻ブルームヒルダを救い出すという目的があった。
賞金稼ぎとして経験を積んだジャンゴとシュルツは、妻が囚われている大農園「キャンディランド」へ潜入する。そこを支配していたのは冷酷な農園主カルヴィン・キャンディ。さらに奴隷頭スティーブンも加わり、2人を追い詰めていく。
カルヴィン・キャンディの汚い歯が意味するもの
監督は映画オタクの奇才クエンティン・タランティーノ。
タイトルの「ジャンゴ」とは主人公の元黒人奴隷の名前。
ひょんなことから差別を嫌うドイツ人の歯医者であるシュルツに救われ共に、賞金稼ぎの相棒にされてしまう。
賞金稼ぎとして悪党を殺しながら「生き別れになってしまったジャンゴの最愛の妻を2人で探す」というのが大枠のストーリー。
ちなみに映画内でレオナルド・ディカプリオが演じた残忍な農園主カルヴィン・キャンディは、虫歯や歯周病で歯がボロボロという設定。
この汚い歯は、彼の「腐敗した道徳観」や「奴隷所有者としての醜悪さ」を視覚的に表現する重要な演出でした。
一方、道徳的に良い人であるシュルツ先生は歯医者で、道徳的に悪い人であるキャンディは歯が悪い。
この対比設定もよくできてました。
さらに黒人差別真っ只中のこの時代にあえて黒人を西部劇のヒーローとして扱ったかなり画期的な作品だと思いました。
というか、タランティーノって相変わらず大胆なアイディア打ち出すよね。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でもマンソンファミリー事件の最後を大きく変えてみせたし。
彼の型破りで「常識に囚われるな」精神は好きです。
本作ではアカデミー賞で脚本賞とクリストフ・ヴァルツの助演男優賞を受賞。興行的にも『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に次ぐヒットとなり、「イングロリアス・バスターズ」を超える成功を収めることになる。
特にレオナルド・ディカプリオ演じるカルヴィン・キャンディの狂気的演技は高く評価され、現在でもタランティーノ作品を代表する一本として語られている。
敵が弱い
ジャンゴを自由の身にしたシュルツは巧みな話術と射撃の腕の良さを発揮し冒頭からなかなか爽快なシーンの連続だ。
ややこしい話は特にないので全体的に何のストレスもなくあっという間に話に引き込まれる。
一応ラストはスカッとする終わり方ではある。
だけど強いて言えば…敵役が弱い。
確かにディカプリオは存在感があり黒人奴隷同士を闘せるシーンなんかはかなり狂気性を秘めていた。
黒人のジャンゴに対して常に何をしでかすかわからないと言ったドキドキ感はさすが。
だけどね、意外にもサクッとやられてしまうんですよ。
せっかくディカプリオ使うならもっと膨らませてもよかったのではないかな?
ただでさえ2時間越えの長い作品だからこれ以上引き延ばすのは厳しかったのかしれないがちょっと勿体ない気はする。
ディカプリオに仕えてたサミュエルLジャクソンも結構あっけない。
多分最後の爆発シーンをやりたいが為にサミュエルLジャクソンを残したんだと思うけど憎悪を掻き立てる演出が足りないせいでカタルシスが消化しきれてない感じがする。
とは言え、サミュエルLジャクソンに関してはなかなか興味深いキャラクター設定だった。
白人に仕えていて極めて立ち位置的には白人寄り。
例えが間違っているかもしれないけど「ドラえもん」で言うところのスネ夫みたいな。
白人のディカプリオにはヘコヘコするが黒人奴隷にはやたらと厳しく管理する。
黒人差別真っ只中のこの時代、サミュエルLジャクソンみたいな立ち位置の人間って実は結構いたんだろうなと妙に納得してしまった。
逆に主人公のジャンゴに関しては最後まで魅力を感じなかったのが残念だった。
批判される理由
暴力シーン好きのタランティーノなので一部グロいシーンはあるもののわかりやすい勧善懲悪ものでストーリーも王道ということで誰が観ても楽しめる作品となっている。
スパイク・リーがこの映画を「奴隷制度は娯楽にしていいものじゃない。祖先に対して冒涜だ」と批判したみたいだけど個人的には奴隷制度の残酷さを存分に知るきっかけとなるという事に関しては意義のある作品だと思うんだけど。
歴史をエンターテインメントの消費財として軽薄に扱っているという声が、主に黒人コミュニティや知識層から挙がり、また作中では、当時の時代背景をリアルに再現するという意図のもと、Nワード(蔑称)が非常に頻繁に使用されていたため、「リアリティを越えて、観客を不快にさせるために意図的に悪用されている」との批判が絶えなかった。
まぁ、単純に黒人からしたら不愉快になったんでしょうね。
多少感情論みたいなものはあるのかもしれないが事実は事実なのでここから学ぶ事ってたくさんあるとは思うんですが日本人の考えと黒人の考えはやっぱり違うのでなんとも言えない部分ではあります。






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