1973年に公開された映画『仁義なき戦い』。
飯干晃一の実録小説を原作に、深作欣二監督が映画化した作品で長い長いシリーズの第一作にあたる。
本作以前のヤクザ映画は、高倉健や鶴田浩二に代表される「任侠映画」が主流だった。そこでは義理人情を重んじるヒーロー像が描かれていたが、「仁義なき戦い」はその価値観を完全に否定している。
登場人物たちは平然と裏切り、欲望で動き、抗争で無惨に死んでいく。暴力はヒロイックに描かれず、泥臭く、生々しい。
手持ちカメラの激しい映像、ドキュメンタリー調のナレーション、実在人物をモデルにした群像劇によって、戦後日本の混乱そのものを映し出している。
だから凄くリアルで、カッコよくも悪くもない。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:仁義なき戦い
・公開年:1973年
・監督:深作欣二
・脚本:笠原和夫
・音楽:津島利章
・ジャンル:実録ヤクザ映画/クライム/ドラマ
・上映時間:99分
・製作国:日本
・主なキャスト:菅原文太、松方弘樹、渡瀬恒彦、田中邦衛、金子信雄
あらすじ

敗戦直後の広島・呉。復員兵の広能昌三は、偶然の殺人事件から刑務所に送られ、そこでヤクザの世界へ足を踏み入れる。
出所後、山守組の一員となった広能は、組同士の抗争、裏切り、権力争いに巻き込まれていく。兄弟分だった者たちは次々に敵へ変わり、昨日まで味方だった男が今日には殺される世界。
義理や仁義を掲げながらも、実際には金と保身で動くヤクザ社会。その中で広能は何度も利用され、刑務所と抗争を繰り返していく。
会社で言えば上司に恵まれなかった部下の話
舞台は広島の呉市なんですね。
呉市と言えばアニメ映画の『この世界の片隅に』の舞台でした。
本作はそのちょっと後の戦後の時代が舞台です。
ちなみにこの「仁義なき戦い」は広島の暴力団抗争の渦中を生きた元組長・美能幸三が、刑務所の獄中で5年間を費やして綴った手記をベースに、作家の飯干晃一が執筆したノンフィクション小説が原作となっている。
実在の事件や人物がモデルとなっており、非常にリアリティの高いノンフィクション作品として知られており、東映による映画化にあたっても、脚本家・笠原和夫が広島へ長期出張して関係者への徹底した取材を重ね、凄惨な実録路線として結実した経緯がある。
そして今作は11作あるシリーズの記念すべき一作目。
- 『仁義なき戦い』(1973)
- 『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973)
- 『仁義なき戦い 代理戦争』(1973)
- 『仁義なき戦い 頂上作戦』(1974)
- 『仁義なき戦い 完結篇』(1974)
- 『新仁義なき戦い』(1974)
- 『新仁義なき戦い 組長の首』(1975)
- 『新仁義なき戦い 組長最後の日』(1976)
- 『その後の仁義なき戦い』(1979)
- 『新・仁義なき戦い。』(2000)
- 『新 仁義なき戦い/謀殺』(2003)
オープニングの衝撃からお馴染みのテーマ曲。
よくコントやちょっとしたテレビのBGMなんかに使われたりしてるので聞いた時は少し笑ってしまいました。その後も映画内で何かある度にあのテーマ曲が仰々しくかかります。
深作監督は笑わせる気がないので現代テレビに毒された僕が悪いんですね。
話はわりとスピーディです。裏切り、シマ争いなど定番の内容だけどこれが結構引き込まれます。
名前をちゃんとインプットしていないとややこしく感じるところはありますがハラハラさせられます。
この話ってヤクザでなくても世間一般でもよくある話だと思います。
画策して、裏切って、裏切られて。
極端な話で言えば政治の世界でも、会社の中でも、学校にだってこういう戦いってあると思うんです。そりゃ拳銃はないけど。
今作を会社で例えると自分の事しか考えて上司に嫌気がさす部下の話。
菅原文太は終始組長に振り回されて刑務所にはいったり。可哀想っちゃ可哀想ですね。
ラストシーンについて
内部抗争の末に惨殺された松方弘樹演じる坂井の葬儀にて、菅原文太演じる主人公の広能が単身で乗り込み、自身を利用し仲間を次々と死に追いやった山守組長に激しい怒りをぶつけ、弔問客が見守る中祭壇に向けて銃を乱射するシーン。
驚き怯える山守に対し、広能が静かな口調で放つのが映画史に残る以下のセリフ。
「山守さん、弾はまだ残っとるがよう」
このセリフには、
「お前をいつでも殺せるぞ」
「まだまだお前の悪事を知ってるぞ」
そして深作欣二監督から東映という製作会社に向けた、
「まだ自分たち映画人には反骨精神(弾)が残っているぞ」というメッセージや、
制作中に続編が決定した経緯もあって、
「まだ続編はあるぞ」という番宣的なメッセージが込められているとファンからは色んな受け取り方をされました。
その後、広能は会場を立ち去り、虚しさを抱えたままの表情でエンディングを迎えます。
時代が変わっても同じことしてる
棒読みの菅原文太も実直な性格なんだなと解釈。キャストは他に梅宮辰夫、松方弘樹、田中邦衛など名だたる俳優陣がそろっています。
「北の国から」が大好きなんですけど田中邦衛の役が狡猾な役で180度違うところもよかったです。
菅原文太が指を詰めるシーンで切った後の指が転げ落ちてみんなで探すシーンはブラックユーモアがあって好きです。北野武の映画にもこんなのありますね。
あと広島の方言がすごくリアルでした。みんな広島出身?ってくらい馴染んでた。
広島の人が観たらどういう印象なんですかね。
全体を通して骨太な作品なんだけど観始めたら意外と観てしまう。
やった、やられた、メンツがとう、仁義がどうだのとヤクザも不良高校生の喧嘩と大して変わらないんだなと言った印象。クローズZEROも同じやん。
間違いなく面白いです。名作と言われるだけあります。
少しグロイシーンなんかもあるので血しぶきが苦手な人は控えた方がいいですね。








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