2003年に公開された映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は、テレビドラマ『踊る大捜査線』から続く劇場版シリーズ第2作。
和久さんこと、いかりや長介が主演した最後の作品ということでなんだか別の感情が湧いてくる方も多いのではないでしょうか?
撮影当時、いかりや長介の病状は公表されていなかったが、後に織田裕二は撮影時にいかりや長介の顔がかなり浮腫んでおり、彼が病気であることを察したと言います。
初日の舞台挨拶で、退院したばかりのいかりやがファンの前で挨拶し、その席で深津絵里が涙ぐむ一幕もあったが、踊る大捜査線の仕事においては、いかりやが公の場に姿を見せた最後の場所となった。
だから本作を観るとちょっと違う感情が湧いてくるんですよね。自分は、いかりや長介が俳優として活躍した踊る大捜査線シリーズの一つの区切りにもなった作品だと思っています。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
原題:―
公開年:2003年
製作国:日本
上映時間:138分
監督:本広克行
脚本:君塚良一
原作:―
出演:織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、ユースケ・サンタマリア、真矢みき、筧利夫、小泉孝太郎、岡村隆史、いかりや長介、北村総一朗、小野武彦、斉藤暁
ジャンル:刑事/ドラマ/コメディ/サスペンス
あらすじ

観光地として急速に発展したお台場で、会社役員が殺害される事件が発生する。警視庁は本庁から女性管理官・沖田仁美を派遣し、湾岸署に特別捜査本部を設置。青島俊作や室井慎次らも捜査に加わるが、徹底した管理と効率を重視する沖田の指揮に、現場の刑事たちは次第に反発していく。
その一方、管内ではスリ事件も発生。大規模な殺人捜査が優先される中でも、青島たちは「事件に大きいも小さいもない」という姿勢で目の前の事件を追う。やがて殺人事件はさらに拡大し、湾岸署の仲間たちにも危険が迫っていく。
今観るとかなり時代を感じる
本作は、自分も当時映画館で観た作品で、シリーズ最大級のヒットとなった一本でもある。
ただ、2003年の映画を今あらためて見ると、「これ大丈夫?」と思う場面が結構多い。
例えばスリーアミーゴーズが飲食店から賄賂を受け取るシーンとか。コメディとして描かれているのだが、今見ると公務員がそれを受け取って大丈夫なのか?という意識が先に立ってしまう。
青島の「噛みついただけ?」「どうせならとっていけばいいのに」のような軽い発言も、現在なら「被害者に寄り添っていない」とクレームが来そうだ。
やっぱり「今の時代ってコンプラだの色々と過剰なんだな」という感覚と、「すっかりそのコンプラ観に慣れてしまった自分がいる」と本作を観て感じました。
逆に面白いのが監視カメラの扱いだ。当時は警察が市民を監視する最先端のハイテクシステムとして描かれる。
しかし今では街頭の防犯カメラ、ドラレコ、スマホ映像は当たり前で、事件解決にも普通に使われている。
当時は「監視社会の未来」に見えたものが、今では完全に日常のインフラになった。
昔は普通だった表現が今では危うく見え、逆に昔は危険視されていたものが今では普通になっている。
この映画を見ると、時間の変化がかなり分かりやすく見えてくる。
真矢みき演じる沖田仁美も描き方がかなりデフォルメされていて、現場の刑事への見下し方まで強いのはドラマの特性上仕方がないとして、警察にも男女の差はないということを示すキャラクターとして登場するのも時代を感じる。
時代で言うと、捜査会議で佐々木蔵之介が出てましたね。まだこの時代はほぼ無名の俳優だったんだ。
青島も室井も自由過ぎる
本作の一つのテーマとして面白いのが、殺人事件とスリの対比だ。
本庁からすれば当然、殺人事件のような重大事件に人員を集中させたい。しかし青島たち所轄の刑事にとっては、目の前でスリが起きている以上、それも無視できない警察の仕事になる。
大きな事件を追うことだけが正義でもなければ、小さな事件だけを優先すればいいわけでもない。
「事件に大きいも小さいもない。目の前の市民を守るために、すべての事件に向き合う」これは『踊る大捜査線』らしいテーマだ。
ただ、その一方で青島はやっぱり自由に動きすぎだ。
所轄の一刑事なのに、SATより前を走っているような場面まである。なんで青島がリーダーみたいに先頭を走っているんだ?
室井の指揮もかなり理想論だ。沖田のやり方に反発して指揮を執り、「上も下も関係ない、役職も階級も関係なく情報を持っている者は持ってきてくれ」という方向へ進む。
警察という組織で本当にそんなことができるのかと言われれば、相当難しいはずだ。
「責任は俺が取る」と言われても、いや、そんな簡単に責任取れないだろ。
でも、まぁこの辺は映画だからいい。
現実の警察組織を忠実に再現しているわけではなく、「本庁と所轄」「階級と現場」という『踊る』がずっと描いてきたテーマを、分かりやすい理想論に落とし込んでいる。それが多少現実離れしていても、このパート2まではまだ素直に乗ることができた。
和久さんの涙
すみれが犯人に捕まって撃たれる展開にはかなり既視感がある。
何でよりによってすみれが捕まるんだ?という偶然もあるし、何より前作でも「身内が撃たれる」という展開を大きな泣きどころにしていたからだ。
泣かせるための手段として、同じカードをもう一度切ってきたようにしか見えない。完全な焼き増しだ。
ただ、その後の「これ以上若いもんを傷つけないでくれ」と訴える和久さんの姿、いかりや長介の演技にはもう味しかない。
和久さんが男泣きするシーンは、やっぱりズルいというか、もらい泣きさせられる。
現実離れした部分も、ご都合主義もこの作品まではなんだか許せてしまうのは和久さんの説得力などがあるからなのかな。何を伝えたいのかは分かるし、和久さんを含めた初期メンバーの空気感にもまだ乗れる。
作品ってご都合主義でも自分がそれに乗れるかどうかのテンションかどうかのが大事なのだ。
映画シリーズはこのあと『THE MOVIE 3』まで大きく間が空き、自分は3から一気に面白くなくなったと感じた。4もかなり厳しい。
そう考えると、『踊る大捜査線』が映画として持っていた勢いは、やっぱりこの『レインボーブリッジを封鎖せよ!』までだったのかもしれない。






