【映画】グリーンブック(2018)|ケンタッキーが食べたい!じんわり泣ける実話ベースの王道ロードムービー【ネタバレ考察】

スポンサーリンク
スポンサーリンク
映画『グリーンブック』をイメージした画像 アメリカ映画

2018年に公開された映画『グリーンブック』。

本作は、1962年に実際に行われたピアニスト、ドン・シャーリーのアメリカ南部コンサートツアーを題材にした映画。監督はピーター・ファレリー、主演はヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリ。

題名は、当時の黒人旅行者が安全に利用できる宿泊施設や飲食店などを掲載していた旅行ガイド「The Negro Motorist Green Book」に由来する。

第91回アカデミー賞では作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞した一方、人種問題の描き方やドン・シャーリーの描写をめぐって議論も起きた作品となっている。

ドン・シャーリーについては全くの無知なので、そこには触れず、あくまでこの映画を観た考察とさせていただきます。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:グリーンブック
原題:Green Book
公開年:2018年
製作国:アメリカ合衆国
上映時間:130分
監督:ピーター・ファレリー
脚本:ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・ヘインズ・カリー、ピーター・ファレリー
原作:―
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ
ジャンル:ドラマ/伝記/ロードムービー

あらすじ




映画『グリーンブック』をイメージした画像

1962年のニューヨーク。ナイトクラブで用心棒として働くトニー・ヴァレロンガは、勤務先の休業をきっかけに新しい仕事を探していた。そこで紹介されたのが、アフリカ系アメリカ人の天才クラシックピアニスト、ドン・シャーリーの運転手兼ボディガードだった。

ドンは人種差別が根強く残るアメリカ南部を巡る8週間の演奏ツアーを予定しており、トニーは黒人旅行者向けのガイドブック「グリーンブック」を手に旅へ同行する。育ちも性格も価値観も正反対の二人はたびたび衝突するが、差別やさまざまなトラブルを乗り越える中で、少しずつ互いを理解していく。

王道のロードムービー




もうこの映画の食べ物といえば、自分の中では間違いなくフライドチキンだ。

とにかくケンタッキーフライドチキンが食べたくなる。

はい、のっけからすいません。

物語自体ははっきり言えばめちゃくちゃ王道です。

黒人の天才ピアニスト・ドクと、粗暴で下品なイタリア系アメリカ人の運転手トニー。性格も育ちも価値観も正反対の二人が旅をしながら、少しずつ打ち解けていくロードムービー。

こういう白人と黒人のバディものには相当な既視感があるんだよね。

ただロードムービーって必ずしも大事件が連発する必要はなくて、むしろ大事なのはダラダラと旅を見続けられる心地よさ。

最初は完全に対極にいた二人の距離が、少しずつ縮まっていく。その変化を眺めているだけで最後まで見られてしまう。本作はその基本をものすごく丁寧にやっている印象。

ドクは非常にモラルを重んじる人物で、どこかおぼっちゃま気質でもある。フライドチキンすら手で食べたことがなく、トニーに勧められて恐る恐る食べる。

一方のトニーは、そんな作法なんてお構いなし。ハンドル、絶対ベタベタだろ。マジ無理。

ドクの孤独




本作で一番のテーマは黒人差別。

スーツ店へ行っても黒人というだけで、試着すらさせてもらえない。

白人の上流階級を相手に演奏するためレストランへ招かれているのに、自分はそこで食事することができない。

演奏は歓迎するのに同じ場所で食事をする人間としては認めないってのはあまりに理不尽だね。

彼は白人上流階級の前でピアノを弾き、拍手を浴びて金をもらう。一流の芸術家として評価されているが、ステージから降りれば、ただの黒人として扱われることになる。

かといってドク自身は一般的な黒人社会にも完全に溶け込めているわけではない。

だからトニーが「俺のほうが黒人だ」といった趣旨のことを言った時、ドクは「自分は黒人でも白人でもない。それなら俺は一体何なんだ」と感情を爆発させる。

トニーは警官から侮辱されると殴ってしまう。

でもドクはそんな屈辱に毎日のように耐えている。

同じ差別を受けても、反撃してしまうトニーと、耐え続けなければならないドク。

この対比によって、ドクが抱えてきた悲しみや孤独が一気に見えてくる構造が秀逸だった。

最後には前向きになれる




終盤の演奏シーンも素晴らしかった。

ドクが「金ではなく、またやりたい」といった趣旨の言葉を口にするのもいい。

音楽ってすごい。

立場も人種も関係なく、その場にいる人たちの心をガッと一つにしてしまう力があるからだ。

そして終盤でもう一つ印象的だったのがパトカーに止められる場面だ。

ここまで散々、警察による理不尽な差別を見せられてきたから、「また捕まるのかよ」と身構えるが、警官は車がパンクしていることを教えてくれただけだった。

ここで少しハッとした。

今まで嫌な警官をたくさん見てきたからといって、すべての人間を最初から疑ってはいけない。

差別や偏見を描いた映画の中で、今度は観客側の先入観をひっくり返してくる。

そのあと、眠くなったトニーに代わって、本来は雇い主であるドクが車を運転し、トニーを家まで送り届ける。自分にはこれが、ドクなりの「今までありがとう」に見えた。

そしてクリスマス当日、ドクがトニーの家を訪れる。

そこで妻のドロレスがドクに「素敵な手紙をありがとう」と耳打ちして伝える。

あぁ、ちゃんと分かってたんだ。

途中で感じていた「いや、奥さん、急に文章うまくなったの気づかないの?」というツッコミまで、最後にきれいに回収された。

奥さんもこっそり耳打ちってのが優しいね。トニーに聞かれないようにトニーの顔を立ててあげる粋さ。

もちろん当時の差別を見るのは本当に心をえぐられるが、そんな時代の中でも、白人のトニーと黒人のドクの間に生まれる友情だったり人の親切さも同時に気づかせてくれる。

映画をたくさん見てきたけれど、結局、感情がちゃんと入れば細かい整合性なんてどうでもいいと思っている。

見終わったあとに前向きになれるそういう映画が好きだ。

『グリーンブック』はまさにそういう一本だった。

実話をベースにした映画3選