【映画】浅草キッド(2021)|実話?大泉洋が主役?劇団ひとりによるビートたけしと深見千三郎の師弟の絆を描いた泣ける良作【ネタバレ考察】

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映画『浅草キッド』をイメージした画像 Netflixオリジナル

2021年にNetflixで公開された映画『浅草キッド』。

師匠がいて、弟子がいて、やがて別れが来る。そして残された弟子が師匠の思いを受け継いでいく。かなり普遍的な物語だ。

だが素晴らしいのは、その王道を最後まで飽きさせずに見せ切っているところだ。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:浅草キッド
原題:浅草キッド
公開年:2021年
製作国:日本
上映時間:123分
監督:劇団ひとり
脚本:劇団ひとり
出演:大泉洋、柳楽優弥、門脇麦、土屋伸之、中島歩、古澤裕介、小牧那凪、大島蓉子、尾上寛之、風間杜夫、鈴木保奈美
ジャンル:ドラマ/伝記

あらすじ




映画『浅草キッド』をイメージした画像

大学を中退し、浅草フランス座へ飛び込んだ北野武は、そこで伝説の芸人・深見千三郎と出会う。厳しくも愛情深い師匠のもとで芸を学び、仲間たちと過ごす日々の中で、武は芸人として成長していく。しかし時代は舞台からテレビへと移り変わり、師匠と弟子の立場も少しずつ変化していく。

テレビに奪われた師匠と、テレビで羽ばたいた弟子




本作は単なる師弟愛の映画ではない。時代の変化を描いた映画でもある。

深見千三郎が輝いていた時代、かつて芸人にとっての主戦場は舞台だった。客の前に立ちその場で芸を披露する。目の前の客を笑わせることこそが芸人のすべてだった。

しかしテレビが登場したことでその価値観は大きく変わっていく。

人々は劇場に足を運ばなくなり、草の舞台に立つ芸人たちは少しずつ時代から取り残されていくわけだ。

深見千三郎はまさにその変化に飲み込まれた人間であった。

時代が変われば、必要とされる場所も変わる。残酷ですね・・・

一方で弟子のビートたけしはテレビの時代に乗って一気にスターになっていく。

ここが非常に皮肉で、師匠が愛した舞台の時代は終わり、弟子がテレビで羽ばたいていく。

師匠と弟子の立場が、時代によって逆転してしまう。

この構造が非常に秀逸なのです。

才能があるから売れるとは限らない。芸があるから生き残れるとも限らない。時代に選ばれるかどうかという残酷さが、この映画にはちゃんと描かれている。

それでも深見千三郎は、最後まで芸人としての粋を捨てない。

印象的なのは、お金がないにもかかわらず弟子のビートたけしを飲みに連れて行くシーン。

妻からもらった金を使い、後輩たちに振る舞う。余裕があるわけではないのにそれでも芸人として見栄を張る。

この粋がいい。浅草芸人としての美学が詰まっているのだ。

主役は大泉洋?




本作の中心にいるのはぶっちゃけ、深見千三郎を演じた大泉洋だと思う。

深見千三郎は、浅草で名を馳せた芸人であり、ビートたけしに芸を叩き込んだ師匠である。

あの「バカヤロー」というのも深見千三郎の口癖でビートたけしはその影響を受けているんだとか。

厳しくて、口が悪くて、不器用。けれど芸に対する信念は誰よりも強い。

大泉洋の醸し出す哀愁が、まぁ歳をとったというのもあるんだろうけど、目元のしわ、疲れた表情など年齢を重ねた俳優だからこそ出せる味がある

深見千三郎はかつては売れっ子だったが時代が変わり、居場所を失っていく。

その栄光と盛衰を大泉洋が見事に演じ切っていた。

別に柳楽優弥が弱いんじゃなくて、大泉洋が主役を食ってるようなオーラがあるのだ。

劇団ひとりの脚本も秀逸で芸人という職業の哀しさ、格好悪さ、そして格好良さをきちんと描いており、これまでの『陰日向に咲く』『青天の霹靂』よりしっくりとくる内容だった。

モノマネではなく演じていた




柳楽優弥といえば、やはり『誰も知らない』の印象が強い。でもあの作品ってとある少年の自然な画を切り取ったような演出だったので当時は彼がどれほど演技ができるのか未知数な部分があった。

それからキャリアを積んでさまざまな作品で主演を務める俳優になり、そして本作ではついにビートたけしを演じるようになった。これはなかなかハードルが高い。

ビートたけしって誰もが知っている人間であり、喋り方も、間も、雰囲気も、独特の存在感も、多くの人の中にすでにイメージがある。

だから似せすぎると単なるモノマネになるし、逆に似ていないとビートたけしには見えないって難しさがあって、

その意味で、本作の柳楽優弥はかなり絶妙なラインを攻めていたと思います。

完全に本人そっくりというわけではないし、声もそのままではない。けれど雰囲気は十分伝わる。それで十分なのだと思う。

この手の実在人物を描く映画は、モノマネ大会ではない。大事なのは、本人にどれだけ似ているかではなく、その人物が持っていた空気や欲望を観客に感じさせられるかどうかだ。

若き日のたけしが持っていた野心や売れたいという焦り、師匠への尊敬と反発。

柳楽優弥はそれらをしっかり表現していた。

特に師匠を慕っていながら同じ場所には留まらず、やがてテレビという新しい時代に選ばれていく。

それでも柳楽優弥が若き日のビートたけしをきちんと成立させていたからこそ、師弟関係が生きていたのだ。

本作は誰の胸にも届く普遍的な話だと思う。しかしこのあとに公開された『かくかくしかじか』という映画はまさにこの映画をなぞるような映画だったな・・・

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