【映画】かくかくしかじか(2025)|実話?恩師・日高先生との物語から見える昭和の教えの大切さ【ネタバレ評価】

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映画『かくかくしかじか』をイメージした画像 人間ドラマ

2025年に公開された映画『かくかくしかじか』。

本作は漫画家・東村アキコが自身の半生と恩師への思いを描いた同名漫画を実写映画化した作品である。

原作は2012年から2015年まで連載され、マンガ大賞など数々の賞を受賞した代表作。東村アキコ自身が脚本にも参加し、長年映像化を断っていた作品を自らの監修のもとで映画化した。

物語の核となるのは、美大受験や漫画家デビューではなく、人生の節目ごとに現れ、時に理不尽なほど厳しく、それでも誰よりも生徒の将来を信じ続けた恩師・日高先生との関係だ。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:かくかくしかじか
公開年:2025年
製作国:日本
上映時間:126分
監督:関和亮
脚本:東村アキコ、伊達さん
原作:東村アキコ『かくかくしかじか』
出演:永野芽郁、見上愛、畑芽育、鈴木仁、神尾楓珠、森愁斗、河村花、青柳翔、長井短、津田健次郎、大森南朋、大泉洋
ジャンル:ドラマ、青春、実話

あらすじ




映画『かくかくしかじか』をイメージした画像

宮崎県で育った林明子は、自分には漫画家の才能があると信じていた。しかし美術大学受験を目指して通い始めた絵画教室で、鬼教師として知られる日高健三と出会う。竹刀を持って怒鳴りながら指導する日高に反発しながらも、明子は次第に絵を描くことの厳しさと向き合っていく。

浪人生活や美大時代の挫折、恋愛、就職活動を経て、やがて漫画家への道を歩み始める明子。しかし夢を追う中で恩師との距離は少しずつ離れていく。そんなある日、日高から思いもよらない知らせが届く。明子は人生を変えてくれた恩師との時間が、永遠ではなかったことを知るのだった。

目新しいものは全くない




師匠と弟子の関係を描く作品は昔から数多く存在する。本作もまさにその系譜にある作品だった。

正直言って何か目新しいものがあるかと言われるとほぼない。

厳しく指導する師匠がいて、その背中を追いかける弟子がいる。時に理不尽とも思えるほど厳しい言葉を浴びせながらも、その奥には弟子への愛情がある。そして物語の終盤で師匠は去り、残された弟子がその教えを胸に生きていく。

またこのパターンか・・・

見ていて真っ先に思い出したのはNetflixオリジナル映画の『浅草キッド』。

厳しいが愛情深い師匠と、未熟な弟子の成長。

師匠の死後も、その言葉が弟子を支え続ける。

細かな違いはあっても、大枠としては非常に近い。

良くも悪くも王道であり、先の展開もある予想できるし、予想を大きく裏切るような仕掛けもない。

ストーリーを聞いた段階でおおよその結末が想像できるタイプの作品だ。

ではここから何を学ぶのか。

とにかく、描け。




ただ、その中で印象に残ったものもあった。

「とにかく描け」という昭和的な教え。

本作で一番印象に残ったのは、師匠が弟子に向かって語る「とにかく描け」というセリフ。

生徒からしたら理不尽に思うかもしれない。

でも描かなければ描けるようにはならない。

この考え方は文章に限らず、あらゆる芸事や技術に通じるものだろう。

イチローも大谷翔平も毎日の継続の努力による成果だ。才能やセンスを活かすにはとにかく継続することが大事。

最近は効率化や最短ルートばかりが語られる時代だが、本作が描いているのは真逆の世界だ。

近道などなく、毎日続けるしかない。サボれば腕は鈍るし、努力を止めれば成長も止まる。

何かを極めた人の話を聞くと、結局は地味な反復練習に行き着くことが多い。本作の師匠もまさにそういう人間だった。

現代的な価値観から見ると古臭く映る部分もあるだろうが、何かを身につけるということに関しては、今も昔も本質は変わらないのかもしれない。

昭和のスパルタ指導は今の時代には敬遠されがちだが、「考える前にまず動け」「続けろ」というメッセージには一定の説得力がある。

その代わりに彼女の両親や先生はめちゃめちゃ甘やかしてるんです。

でも結果的に師匠の厳しい指導のおかげで絵が上達したことを考えると、「時には理不尽な厳しさって必要だよね」ということになる。

韓国ドラマの『鉄槌教師』しかり、結局、「昭和を見直すフェーズ」に入ってるのかもしれない。

安定感はあるが驚きはない作品




正直言って漫画的な演出とキャラクターは好みが分かれるところ。

本作は漫画原作ということもあり、全体的に演出やキャラクターの動きがかなり漫画的だ。

師匠の竹刀をマトリックスのように避けるシーンとか。もう結構使い古された表現なので、「またか」という印象でした。

主演の永野芽郁についても確かに学生時代から20代まで違和感なく演じられるのは素直にすごいと思うがちょっとあざといかな。

もともとの童顔もあるが、若い年代を自然に演じられるのは大きな強みではあるけど、どこか「私かわいいでしょ」感が、少々鼻についた部分があった。まぁ、これは演出のせいなのでしょう。

永野芽郁のファンであれば、彼女の魅力を十分に堪能できる作品だと思う。

しかし冒頭のアシスタントに言う「都会っ子にはわからないかな」みたいなセリフは気になりました。

「あ、これ私やるね」と永野芽衣がアシスタントの仕事を奪うシーン。

一体どの部分が都会っ子にはわからないのか具体的に指摘してくれないと・・・と思ったけど、もしやこの後に出てくる師匠のイズムを受け継いでるのかな?

師匠役の大泉洋も安定した演技を見せている。

ただ、正直なところ彼の役柄も既視感はかなり強かった。

厳しいが愛情深い師匠。ぶっきらぼうだが弟子思い。

そんな人物像は、これまで大泉洋が演じてきた役柄とも重なる部分が多い。

もちろん求められている役をきっちり演じているとも言えるものの、役者として見ると似たような役柄が続いている印象もあり少々もったいなく感じた。

作品全体を振り返ると、決して駄作ではないがこの素材でやるなら一つくらい何か目新しい要素がほしかったかなというのが感想です。

一方で安心して見られる人情ドラマや王道の成長物語が好きな人には十分刺さる作品だと思う。

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