2025年に公開された映画『35年目のラブレター』。
本作は西畑保・皎子夫妻の実話を原作に映画化したヒューマンドラマ。
読み書きができなかった夫が、35年間支え続けてくれた妻へ感謝を伝えるため、夜間中学で文字を学びラブレターを書くまでの歩みを描くといういかにも「感動させまっせ」的な作品で、
私は全然感動に至りませんでした。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:35年目のラブレター
公開年:2025年
製作国:日本
上映時間:120分
監督:塚本連平
脚本:塚本連平
出演:笑福亭鶴瓶、原田知世、重岡大毅、上白石萌音、安田顕、徳永えり、ぎぃ子、辻本祐樹、本多力、江口のりこ、笹野高史
ジャンル:ドラマ、ヒューマン
あらすじ

読み書きができないまま大人になった西畑保は、長年支えてくれた妻・皎子へ感謝を伝えたいという思いから、定年後に夜間中学へ通い始める。文字を一から学び、35年間連れ添った妻へ人生初のラブレターを書こうと奮闘する姿を、実話をもとに描いた夫婦の物語。
笑いをユーモアとして流せるか、ノイズになるか
本作を観ていて最初に引っかかったのは、会話でのちょっとした「笑い」である。
しょうもないボケやツッコミが何度も入ってきて、それが人によっては単なるユーモアとして流せるんだろうけど、自分にはノイズとして映ってしまい、正直邪魔でした。
「ラブレター食べた?白ヤギさん?」
みたいなクソしょうもない小ボケなのかよくわからないセリフまわしが何度も挿入されるから、だいぶストレスでした。
これ面白がって言ってのかな?「ゆるい笑い」というか、「ユーモアでしょ」と言われたらそれまでだけど、あまりセンスがないセリフの連続に辟易させられてしまった。
鶴瓶さんが奥さんのために書いたラブレターを奥さんが読んで「63点」と言われた手紙が実は「億が抜けとる!63億点や!」というセリフのセンスのなさよ。
65億点って・・・
一応感動シーンなのにこのセリフのせいで引き戻されるんです。
邪魔だろ。
あとは鶴瓶さんがたこ焼きを8個のうち5個食べただけで奥さんがいきなりブチ切れ出したりするシーン。
これを「可愛らしいでしょ?」「いつもは真面目な奥さんだけどこんな小さい可愛らしい一面もあるんだよ?」的な演出のあざとさを感じてしまい、このノリにもついていけなかった。
このようなほっこりさせられると勘違いしたような演出は邪魔であり、普通に泣ける話を描けば十分魅力になるはずなのに、わざわざ小ボケを挟んでくる。
その笑いが物語を豊かにするどころか、「今のセリフ、絶対邪魔」という余計な感情が生まれてしまい、見事にノイズになってしまっているのだ。
もうこれは相性の問題なのでなんともしようがない。
物語があまりにも無難すぎる
本作品ってタイトルとあらすじ読んだだけでなんとなく想像できるし、泣かせにかかってるのが見え見えである。
さぁ、泣かせますよー!とうたってるようなもので、これってめちゃ損じゃないですか?
そして感動できなかった一番の理由は、物語があまりにも無難だったからだ。
なんでしょう、あまり起伏がないんです。夫の鶴瓶さんが文字が書けなくて学校に行くんだけど、普通に努力して字が少しづつ書けるようになってくる。
そしてそこから特に何も大きな展開がなくて、そんなときに奥さんが病気になる。
なんとなく奥さん亡くなるんだろうなと思ったら、その通りになる。
実話だから大きく脚色できないのは分かる。でも、映画として見た時に「ああ、やっぱりそうなるよね」という展開ばかりで、驚きも発見もほとんどなかった。
極端な話、この内容なら映画じゃなくても、『奇跡体験!アンビリバボー』の再現ドラマでも成立するような気がしてしまった。
もちろん夫婦愛というテーマは伝わるだど、映画だからこそのスケール感やドラマ性はあまり感じられなかった。
主人公が成長する物語としても、フックが弱かった
鶴瓶さんは文字が読めないことで苦しみ、学校へ通ってラブレターを書けるようになる。
だけどこの主人公は普通に鮨職人として働いててちゃんと仕事できてるんです。
そりゃ色々不都合はあるけど、特に字が書けないことで死ぬほど苦しむとかってないんです。
字が読めないくらいならまわりがサポートしてやれば済む話でもあるんですよ。
主人公の苦悩がいまいちこちらにつたわってこないし、妻に対しての劣等感やラブレターを書きたいという想いだけで動いている。
妻は別に夫が字が書けないからと言って嫌いになったりするわけでもないからやっぱり夫のメンタルの問題なだけでどうしても学校にいかないといけないという必然性があまり見えない。
そしていざ、入学したあとも主人公が何か大きな壁にぶつかり、それを乗り越えていくようなドラマがほとんどない。
普通に主人公はh家族に囲まれ、先生にも恵まれ、子どもや孫にも囲まれた環境で物語が進んでいく。
安田顕演じる先生も本当にいい人だし、周りもいい人ばかり。
だから、主人公が何かを必死に勝ち取るというより、「気づいたら文字を書けるようになっていた」という印象になってしまう。
ラブレターを書くというゴールは素敵なんだけれども、そこへ至るまでのドラマが平坦なので、感情移入しきれなかったというのが感想だ。





