1997年に公開された映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』。
本作は、『ジュラシック・パーク』の続編。前作に続きスティーヴン・スピルバーグが監督を務め、ロスト・ワールドを原作に映画化された。
主人公をイアン・マルコムへ変更し、恐竜が生息する第二の島を舞台に、人間の欲望と自然との対立を描く。
しかし本作、公開当時は散々ディスられまくった作品なのをご存知だろうか?なぜそんなに駄作とディスられたのか。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
原題:The Lost World: Jurassic Park
公開年:1997年
製作国:アメリカ
上映時間:129分
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:デヴィッド・コープ
出演:ジェフ・ゴールドブラム、ジュリアン・ムーア、ピート・ポスルスウェイト、ヴィンス・ヴォーン、リチャード・シフ、ヴァネッサ・リー・チェスター、アーリス・ハワード、ピーター・ストーメア、リチャード・アッテンボロー
ジャンル:SF、アドベンチャー、パニック
あらすじ

ジュラシック・パーク事件から4年後、恐竜たちが自然繁殖を続けるイスラ・ソルナ島の存在が明らかになる。数学者イアン・マルコムは恋人を救うため島へ向かうが、恐竜を捕獲しようとする企業チームも上陸。人間の欲望が再び恐竜たちを刺激し、島は再び大混乱へと陥っていく。
前作が完成されすぎていた
本作は、世界的大ヒットとなった『ジュラシック・パーク』の続編として制作された作品だが、前作を超える新しさを生み出せなかった映画という印象。
そもそも1993年公開の『ジュラシック・パーク』が歴史的名作と呼ばれる理由は、絶滅した恐竜を現代に蘇らせるという荒唐無稽な設定を、驚くほど説得力を持って描いたことにある。
蚊に残された恐竜のDNAからクローンを復活させるという説明にじっくり時間を割き、「もしかしたら本当にあり得るかもしれない」と観客を納得させる。
その丁寧な積み重ねがあったからこそ、後半の恐竜に襲われるシーンには圧倒的なリアリティが生まれていた。
さらに前作は、人間の科学への過信や傲慢さというテーマもしっかり描いていた。
自然を支配しようとした人間が、その力によって逆に追い詰められていく。この皮肉こそが『ジュラシック・パーク』最大の魅力だったと思う。
一方、『ロスト・ワールド』はスティーブン・スピルバーグ監督が続投しているにもかかわらず、そのテーマの延長線上から大きく飛び出すことができなかった。
恐竜に襲われる展開も基本的には前作と同じで、新しい驚きや発見がない。
終盤には恐竜が都市部で暴れ、街を破壊するという展開まで用意されているが、これは恐竜映画というより怪獣映画に近い。言ってしまえばゴジラやん。
おかげでシリーズ本来の魅力だった「科学によって蘇った恐竜」というリアリティより、「巨大生物が暴れるパニック映画」という色合いが強くなってしまった。
だからこそ、本作が前作ほど高く評価されなかった理由も理解できる。続編として方向性を変えようとしたことは伝わるが、一作目の完成度を超えるだけの新しいテーマを提示できなかったのは残念なところだった。
つまらなくはない
とはいえ、本作を駄作だとは思っていない。
というかめちゃめちゃ批判されるまで酷くはないと思う。
自分が初めてこの作品を観たのは1997年。当時はまだ小学生だったので、シンプルなパニック映画として十分楽しめた記憶がある。
正直、当時は前作が描いていた生命倫理や科学への警鐘なんて理解できる年齢ではない。だから純粋な娯楽作品として見れば、本作の方が子どもには分かりやすかったのはある。
しかし、大人になって見返すと、どうしてもキャラクターの弱さが気になってしまう。
主人公を演じるジェフ・ゴールドブラムは前作から続投しているが、本作では数学者という設定がほとんど生かされていない。
結局は恐竜から逃げ回る時間がほとんどなので別に彼でなければならない理由があまり感じられない。単にファンサービスとしてしか見えない。
ジュリアン・ムーアも同様で人物としての魅力や成長がそこまで描かれていない。
前作のアラン・グラント博士には「子ども嫌い」という明確な人物設定があり、子どもたちと過ごす中で少しずつ子供たちん愛着がわいてくるという人間ドラマも魅力だった。
一方、本作にはそうした人物描写が少ない。恐竜パニックとしては十分楽しめるものの、人間ドラマという面では前作ほどの深みは感じられなかった。
恐竜パニック映画としては十分面白い
つまり「ジュラシック・パーク」という名前が付いていたからこそ評価が難しくなった作品だったように思う。
もしこれがまったく別の恐竜パニック映画として公開されていたなら、ここまで厳しい評価にはならなかったのではないだろうか。それくらいエンターテインメントとしての完成度は十分高い。
恐竜から逃げるスリル、映像の迫力、スピルバーグらしいテンポの良い演出は、今見ても色褪せていない。だから子どもが観れば、間違いなくワクワクできる作品だと思う。
ただ、続編というものは常に前作を超えることを期待されるし、『ジュラシック・パーク』という歴史的名作があまりにも偉大だったため、どうしても比較されてしまうのは仕方がないですな。
恐竜を現代へ蘇らせるという衝撃は一度しか使えない。だから本作は怪獣映画のような方向へ舵を切ったのだろう。
しかし、その結果としてシリーズ本来の魅力であった科学的リアリティやテーマ性は薄れ、「恐竜が暴れる映画」という印象が強くなってしまった。
しかしだ、この次の『ジュラシック・パーク3』はもっとひどいことになるからまだマシだが。




