2000年に公開された映画『バトル・ロワイアル』。
本作は、高見広春の同名小説を原作に、深作欣二監督が映画化した作品。「中学生同士の殺し合い」という前例のない設定で大きな議論を呼び、R-15指定ながら社会現象となる大ヒットを記録した。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:バトル・ロワイアル
原題:Battle Royale
公開年:2000年
製作国:日本
上映時間:114分(劇場公開版)
監督:深作欣二
脚本:深作健太
出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、安藤政信、ビートたけし
ジャンル:アクション、サスペンス、デスゲーム
あらすじ

近未来の日本では、少年犯罪の増加や学級崩壊を背景に「BR法(バトル・ロワイアル法)」が制定される。毎年、中学3年生の1クラスが無人島へ送られ、最後の一人になるまで殺し合いを強制されるという過酷な制度だった。
今年選ばれたのは城岩学園中学3年B組。修学旅行中だった生徒たちは突然島へ連れて行かれ、元担任・キタノからゲームの開始を告げられる。極限状態の中で友情や恋愛、恐怖、裏切りが交錯し、それぞれが生き残るための選択を迫られていく。
発想だけで伝説になった作品
『バトル・ロワイアル』の原作小説は1999年に発売され、映画は翌2000年に公開された。
このスピード感にも驚かされるが、ちょうど私が中学3年生だった頃に、小説も映画も世に出た作品であり、主人公たちとほぼ同じ年代を生きていた世代だ。
だからこの作品には、単なる映画以上の思い入れがある。
まず当時感じたのは、「中学生同士が最後の一人になるまで殺し合う。」という発想。今ではデスゲーム作品は数え切れないほどあるが、当時はそんな発想自体が衝撃だった。
映画も凄いんだけど、私は映画よりも先に原作小説を読んでいる。
そしてこの小説が神がかったクオリティなのだ。
あの小説は本当に分厚い。しかも1ページが二段組になっていて666ページと文章量もだいぶ多い。

それなのに夢中になって、あっという間に読み終えてしまった。
そして一番驚いたのは、クラス全員(40人)という大人数を描いているにもかかわらず、一人一人の心情がものすごく丁寧に描かれていることだった。
こんなに多くの生徒が登場するのに、「これ誰だっけ?」と混乱することがほとんどなく、全員にちゃんと役割があり、それぞれの人生があり、それぞれの恐怖や葛藤が描かれている。
高見広春という作家の構成力は本当に感心させられた。
しかも驚いたことに、後にも先にも高見広春が発表した作品は実質この『バトル・ロワイアル』だけである。
これ一本で伝説になった作家なのだ。一体どれくらい稼いだのか・・・
しかも何が凄いかって、第5回日本ホラー小説大賞の最終選考で「残酷すぎる」という理由で落選したにも関わらず奇しくもそれが空前のベストセラーとなったわけだ。
もはや選考委員たちもタジタジである。
というか他にも世に出るべきだった面白い作品がお前らのせいで落選させられた作品も数多くあるんだろうなと思ってしまう。
もちろん映画も深作欣二監督の代表作であるが、小説の方が人物描写は圧倒的に濃いのは明白だ。
教師役も映画ではビートたけし演じる「キタノ」になっているが、小説では「坂持金発」という教師で、明らかに『3年B組金八先生』の金八先生をモチーフにしたキャラクターだ。
正直言って小説のこのキャラクターが強すぎて、武田鉄矢が演じる姿が観たかったのが本音である。
R-15指定が社会現象を生み、世界中へ影響を与えた作品
公開当時は少年犯罪が社会問題として大きく取り上げられていた時代で、内容が内容なので本作はR-15指定となり、主人公たちと同世代の中学生が劇場で見られないという状況になった。
国会でも取り上げられるほどになるが、皮肉にもそれが逆に話題になってしまう。
「見てはいけない」と言われるほど見たくなるのは人間の心理である。
私も中学3年生だった頃、新宿の映画館でこの作品を見た記憶がある。当時は普通に入れてくれたのだ。
卒業証書を劇場へ持参すると料金が1,000円になるキャンペーンも行われていて、当時の盛り上がりをよく覚えている。
クエンティン・タランティーノが本作を絶賛し、栗山千明を『キル・ビル』へ起用したことは有名な話だ。
その後も世界中でデスゲーム作品が数多く作られるようになった。
特に『ハンガー・ゲーム』はこの作品の影響を色濃く受けており、タランティーノも「『バトル・ロワイアル』こそオリジナル。日本人はもっと怒るべきだ」と怒ってたのも記憶にある。
今では当たり前になったデスゲームというジャンルだが、その原点は間違いなくこの作品だと思う。
映画では描き切れなかった部分も多い
今改めて出演者を見ると、藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、安藤政信と本当に豪華である。
ただ自分は小説を先に読んでいたこともあり、映画を見た時には「やっぱり説明不足だな」と感じた部分も多かった。
小説では思春期特有の不安定さや疑心暗鬼、人間関係のドロドロした感情まで細かく描かれている。
一方映画版はテンポを優先していることもあり、全体的に少しカラッとした印象になっており、そこがどうしても物足りなく感じてしまう。
だから個人的には、この作品は前編・後編の二部作くらいで作っても良かったと思っている。
本作は「中学生同士を殺し合わせる」という発想、その一点だけで物語を最後まで引っ張ってしまう。
理屈ではなく、発想そのものに力がある作品なのだ。
しかしやっぱり映画にするなら武田鉄矢に演じてもらいかった。長い髪の振り乱し「さぁ、殺し合いをしてもらいます」と言って欲しかった。
AIならできそうだな・・・






