2024年に公開された映画『告白 コンフェッション』。
「死を覚悟して殺人を告白した直後に助かってしまう」という状況から始まる密室サスペンス。
物語の中心となるのは、生田斗真演じる浅井啓介と、ヤン・イクチュン演じるリュウ・ジヨン。猛吹雪に閉ざされた山小屋を舞台に、告白した側と聞いてしまった側の疑念や恐怖が膨らんでいくというなんとも設定だけ聞くとよくできた話。
監督は『リンダ リンダ リンダ』『カラオケ行こ!』などの山下敦弘。約74分という短い上映時間と、限られた登場人物、ほぼ山小屋だけで展開する構成によって、二人の表情や心理の変化を凝縮して描いている。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:告白 コンフェッション
原題:CONFESSION
公開年:2024年
製作国:日本
上映時間:74分
監督:山下敦弘
脚本:幸修司、高田亮
原作:福本伸行、かわぐちかいじ『告白 コンフェッション』
出演:生田斗真、ヤン・イクチュン、奈緒
ジャンル:サスペンス、スリラー
あらすじ

大学山岳部のOBである浅井啓介とリュウ・ジヨンは、16年前の登山中に行方不明となり、事故死したとされる同級生・西田さゆりの慰霊登山へ向かう。
しかし、二人は猛吹雪に見舞われて遭難。片脚に重傷を負い、死を覚悟したジヨンは、浅井に「自分がさゆりを殺した」と告白する。長年抱えてきた罪を打ち明け、死を受け入れようとするジヨンだったが、その直後、二人の前に山小屋が現れる。
設定勝ち
まず本作は設定勝ちである。どうしたって面白くなりそうな設定だ。
山下敦弘監督は、『リンダ リンダ リンダ』や『その男狂棒に突き』など、独特の空気感を持った作品を撮ってきた監督で、個人的にも好きな作品が多い。
物語は生田斗真演じる浅井と、ヤン・イクチュン演じるジヨンが吹雪の雪山で遭難するところから始まる。
片足を負傷しもう助からないと覚悟したジヨンは、「実は自分が山岳部の仲間・さゆりを殺した」と浅井に告白する。
ところがその直後に山小屋が見つかり、生き延びる可能性が生まれる。
ジヨンからすれば「自分は死ぬと思ったから最後に話せた秘密だったのに、何してくれてんねん。」という感じである。
もっとシュールな笑いにもってこれそうだけど、山下監督はスリラーで押し通す。
罪の告白をしたジヨンが助かってしまったことで、今度はその秘密を知っている浅井の存在が脅威になる。
もし浅井が誰かに話せば自分は逮捕されるかもしれない。
一方の浅井も、「こいつは口封じのために自分を殺すんじゃないか」と疑い始める。
「死ぬから告白した」という一つの出来事が、「助かったからこそ恐怖になる」という真逆の状況へ変わるこの設定だけで最後まで引っ張れるのは非常に秀逸だった。
原作では罪を告白するのは石倉という日本人だが、ヤン・イクチュンの起用に伴い、韓国人留学生のジヨンに設定が変更されている。
この改変は見事で、ジヨンの韓国語のブツブツとした恨み言が一層ホラーチックな演出となっている。
高山病という都合の良さ
案の定、ジヨンは浅井へ襲いかかるんだけど、そもそもジヨンは片足を大きく負傷しているわけで、普通に考えればシャベルでも棒でも武器になりそうな物を持って戦えば、浅井の方が有利なんだよね。
だから結構長く山小屋の中を延々と逃げ回る展開には、少し違和感も残る。
さらに浅井は高山病によって視界が悪くなっている。
片足を引きずる男と、高山病でまともに見えない男が山小屋で追いかけ合う構図は、外から見ると少しシュールでもある。
あまりにジヨンが不利なので浅井は高山病設定にしてバランスを取ったようにしか思えない。
そしてジヨンがドアを破壊しようと迫ってくる場面はまるで『シャイニング』を思わせる演出。
ただこの一連のシーンは最後まで観ると印象が変わる。問題はここからだ。
まさかの夢オチ?
実は浅井がジヨンに襲われ、最後にジヨンを殺す展開は現実ではなく、浅井が見ていた夢、あるいは自分の頭の中で膨らませた恐怖だったというのがわかる。
おいおい、ここまで来て夢オチかよ。
そう思ったけど、これは浅井自身が生み出した恐怖なのである。
浅井はジヨンからさゆりの殺人を告白された瞬間、自分の中へ封じ込めていた罪を思い出してしまう。
ジヨンは確かにさゆりの首を絞めた。
しかしその時点ではさゆりはまだ生きていて、妊娠していたさゆりを「面倒な存在」だと感じた浅井が、その後に自ら首を絞め本当にとどめを刺してしまっていた。
つまり、実際にさゆりを殺したのは浅井自身だったのだ。
だから浅井はジヨンを責めることもしないし、その動揺や罪悪感、不安が、「ジヨンに殺される」という悪夢になって表れたという仕組み。だから夢オチでも別に納得させられてしまう。
彼がどれだけ自分の罪に怯え、動揺していたのか。その心理状態を映像として見せるための夢だったと考えると、非常によくできている。
ラストについて
エンディングでは救助隊が駆けつけるが、そこにはジヨンをめった刺しにする血まみれの浅井がいてエンドロール。
でもこの時の浅井の顔にはナイフで切られた傷があるんです。
つまり浅井がジヨンを殺そうと格闘したようなのを匂わせてるんですね。
実は夢オチだったと思われたあのシーンは実際に起こったことだったのか?という疑問が残る。
これは作者のトリックで、あえて夢オチと実際の出来事どっちなのかわからないようにしております。
まぁ一見、善人だと思っていた浅井こそが真犯人だったというよくあるパターンなんだけど、助けたと思ったら状況が一変するシチュエーションとしてはよくできた作品だと思いました。
あと上映時間74分というのもいいよね。サクっと観れて。






