【映画】アウトレイジ(2010)|なぜ配信停止に?ヤクザ社会は巨大企業の組織そのものだった。【ネタバレ考察】

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映画『アウトレイジ』をイメージした画像 サスペンス

2010年に公開された映画『アウトレイジ』。

北野武監督・主演によるヤクザ映画で、従来の任侠映画のような義理人情を前面に押し出すのではなく、組織内の権力争いや裏切りを中心に描いた作品。

その後、『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)、『アウトレイジ 最終章』(2017年)へと続くシリーズの第1作として、多くの映画ファンから支持を集めている。

なお、本シリーズは配信が停止状態となっており、そこについてもふれていこうと思います。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:アウトレイジ
原題:Outrage
公開年:2010年
製作国:日本
上映時間:109分
監督:北野武
脚本:北野武
出演:ビートたけし、西田敏行、三浦友和、加瀬亮、椎名桔平、小日向文世、國村隼、塚本高史、中野英雄、杉本哲太 ほか
ジャンル:クライム、ヤクザ、サスペンス

あらすじ




映画『アウトレイジ』をイメージした画像

関東最大級の暴力団・山王会では、会長の思惑によって系列組織同士の緊張が高まりつつあった。そんな中、大友組の組長・大友は、組織内の勢力争いを背景に、村瀬組への圧力を強めるよう命じられる。

小さなトラブルをきっかけに報復の連鎖が始まり、組織同士の抗争は次第に激化。裏切りや駆け引きが複雑に絡み合う中、暴力はさらなる暴力を呼び、誰も止められない争いへと発展していく。

ヤクザというより高校生のケンカだった




本作を見て最初に感じたのは、高校生やヤンキー同士のケンカをそのまま大人に置き換えたような世界だということだった。

物語の発端は、大友組の人間だと知らずに、塚本高史がぼったくりバーで金を巻き上げてしまったという小さな事件だった。

本来であれば、木村がケジメをつけてそこで話は終わるはずだったが、それぞれの思惑によって徐々に雪だるま式に抗争が激化するという設定がなかなか面白い。

「やられたからやり返す」「筋を通せ」「面子が潰れた」というまるで子供がそのままこじらせた大人になったせいで報復が繰り返され、どんどん抗争が拡大していく。

結局、彼らが守ろうとしているのは命でも金でもなく、プライドや面子である。

その姿は、巨大な暴力団というより、意地の張り合いを続けるヤンキー集団に近い。

普通にもっと冷静になれば済む話なのに、それができない人間ばかりが集まっている世界なのでどこか滑稽さも感じる。

そう、北野武って決してヤクザをカッコよく描いていないんですよね。彼はよくヤクザ映画を撮ってましたけど、必ず「ヤクザってバカだね」と思わせる作風なんです。

ヤクザ社会は巨大企業の組織そのもの




本作を観ていて感じたのが、ヤクザ社会は意外なほど会社組織に似ているということだ。

北野武演じる大友は組長ではあるものの、決して自由ではない。その上には池元がいて、さらに関内会長がいる。上から命令が下り、その命令を現場で実行するしかない。

本人が納得しているかどうかは関係なく、「ちょっと村瀬を痛めつけろ」という曖昧な指示一つで、抗争は取り返しのつかないところまで発展していく。

実際に血を流すのは現場の組員たちだが、裏で糸を引いているのは上層部。

この構図を見ていると、ヤクザというより大企業の派閥争いそのもの。

組員たちは中間管理職のように板挟みになり、自分の意思よりも組織の都合で動かされるのだ。

暴力団という特殊な世界を描きながら、実は組織論としても非常に面白い作品だった。

暴力をエンターテインメントへ昇華した北野武




本作で最も特徴的なのは、暴力描写そのもの。

現実的に考えれば、拳銃で撃てば数秒で終わる話なのにあえて遠回りな殺し方を選ぶ。

歯科用ドリルを使った拷問なんかがめちゃめちゃ印象的ですな。最初映画館で観た時はめちゃめちゃ痛そうだったけど、いま観るとちょっとコントじゃないか。

中華料理店のタンメンの中に指が入ってるシーンに至ってはもはやブラックコメディ。

つまりこの映画は「殺し方」を見せる映画なのである。

その意味では暴力そのものが一つのエンターテインメントになっていて、観客が思わず顔をしかめるような痛みを演出しながらも、どこか笑ってしまうという北野武監督ならではのブラックユーモアが全編に漂っていた。

最後まで先が読めない展開




一方で、小日向文世演じる片岡だけは、この暴力の世界の中で異質な存在だった。

劇中で大友が放つ、「いいよなぁ、喧嘩弱くてもヤクザにたかれるんだからよ」というセリフは非常に印象的だった。

ヤクザは暴力でしか上下関係を築けないが、警察は腕力ではなく、法律や立場を武器にヤクザと渡り合うことができる。

暴力だけが強さではないことを象徴する存在として、小日向文世の役柄は強いアクセントになっていた。

「あいつが気に入らない」「裏切った」「筋を通せ」と、報復と裏切りが連鎖し、状況は二転三転していって誰が味方で誰が敵なのかが刻々と変わり、最後まで展開が読めないからこそ約2時間、まったく飽きることがなかった。

彼らは「暴力こそ強さ」という価値観から最後まで抜け出せてないんです。学生時代なら腕っぷしの強さを誇る人もいるが、多くの人は社会に出て、特に喧嘩が強くてもプラスに働くことはないと気づく。

しかしヤクザの世界だけは、その勘違いした価値観のまま生き続ける世界である。

だから本作は、「暴力だけを信じた人間たちが迎える末路」を描いた作品としても見ることができた。

『アウトレイジ』シリーズが動画配信されていない理由




ちなみに『アウトレイジ』シリーズは、Amazonプライム・ビデオやU-NEXTなどの主要な動画配信サービスで視聴できない状態が続いている。

その背景として大きいのが、北野武監督の事務所独立後に生じた著作権や契約関係をめぐる問題である。

北野武監督が2018年に旧所属事務所(現・TAP)から独立して新会社を設立した際、作品の著作権が映像会社へ譲渡されました。

その後、北野監督側が「海外展開などの契約が著作権侵害にあたる」として、映像会社を相手取って損害賠償を求める訴訟を起こしており、現在も係争中である。

この権利関係の未解決状態が、配信停止の大きな要因とされています。

そのため、現時点ではサブスクリプションや都度課金での視聴は難しく、DVDやBlu-ray、宅配レンタルなどを利用するのが現実的な方法となっている。

本作の続編の『アウトレイジ ビヨンド』の考察記事はこちらから。

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