【映画】雪の花 ―ともに在りて―(2025)|ひどい?天然痘と闘った実在の医師の物語がちょっと勿体ない理由【ネタバレ考察】

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映画「雪の花 ―ともに在りて―」の松坂桃李と芳根京子をイメージした水彩画風イラスト 人間ドラマ

2025年に公開された映画『雪の花 -ともに在りて-』。

『雨あがる』『博士の愛した数式』などで知られる小泉堯史監督が、吉村昭の同名小説を映画化した作品。

主人公は、江戸時代末期に実在した福井藩の町医者・笠原良策。天然痘によって多くの命が失われる中、日本に伝わり始めた種痘を広めようと尽力した人物として知られている。

本作は「一人でも多くの命を救いたい」という良策の信念と行動力を描いた人間ドラマです、松坂桃李が誠実な町医者を演じ、芳根京子、吉岡秀隆、役所広司ら実力派キャストが脇を固めている。

また、第37回東京国際映画祭ガラ・セレクション選出作品でもあり、撮影監督・上田正治の遺作となったことでも話題を集めました。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




・作品名:雪の花 -ともに在りて-
・公開年:2025年
・監督:小泉堯史
・脚本:齋藤雄仁、小泉堯史
・原作:吉村昭『雪の花』
・音楽:加古隆
・ジャンル:時代劇、ドラマ
・上映時間:117分
・製作国:日本
・主なキャスト:松坂桃李、芳根京子、三浦貴大、宇野祥平、沖原一生、吉岡秀隆、役所広司

あらすじ




映画「雪の花 ―ともに在りて―」の松坂桃李と芳根京子をイメージした水彩画風イラスト

江戸時代末期。死に至る病として恐れられていた天然痘が福井藩を中心に猛威を振るっていた。

町医者の笠原良策は、多くの命を救いたいという思いから、天然痘の予防法である種痘の存在を知る。京都の蘭方医・日野鼎哉に教えを請いながら、良策は私財を投げ打って種痘の苗を入手しようと奔走する。

しかし、未知の医療への偏見や周囲の反発、数々の困難が立ちはだかる。それでも良策は人々の命を守るため、信念を貫いて前へ進み続ける。

まず本作を観るうえで疱瘡についての予備知識が必要になってきますので調べてみました。

疱瘡(天然痘)とは?




疱瘡(ほうそう)は天然痘ウイルスによって引き起こされる感染症で、人類史上最も恐れられた疫病の一つとされています。

感染すると高熱や頭痛、全身の倦怠感に続いて発疹が現れ、やがて膿を持った発疹が全身に広がる。致死率は20〜30%に達し、生き延びても顔や体に「あばた」と呼ばれる痕が残ることが多かった。

「あばた」とは、感染後に回復した際、皮膚に残るブツブツとしたクレーター状の瘢痕(痘痕)のこと

本作でも生き残った女性の顔に「あばた」ができて嘆いてたけど、結果的に旦那と子供にも恵まれてよかったね。

ちなみに「麻婆豆腐」の発明者は顔に顔に「あばた」があって、「麻」はあばた(天然痘の痕)のことのようです。

日本でも古くから流行を繰り返し多くの死者を出したが、ワクチン(種痘)の普及によって感染は激減。

1980年にWHO(世界保健機関)が世界根絶を宣言し、人類がワクチンによって根絶した唯一の感染症となった。

教科書的・テンプレキャラ




本作品、何かと酷評が多いんだけど自分はそこまで悪い作品だとは思いませんでした。

例えば失恋した時にラブストーリー観たら刺さるだろうし、むしゃくしゃしてる時に小難しい映画みたらイラつくだろうし、多分映画ってその時の精神状態とか状況でも評価は変わるものだと思っている。

その点で言えば自分は本作品を観るときに割といい精神状態で観れたのかもしれない。

何が良かったのかというと一つ一つの台詞がキマってるということ。キマってるってのは格言っぽくて一言一言の言葉の意味はズシンと心に響くものばかり

「漢方医学だけが優れたものとして、蘭方医を蔑むのは医師にとって適切なことではない。」

「一生不足不足と思いながら思い死にするのが医師の道だ。」

セリフの一つ一つは全てキメ台詞の集合体。

いい台詞なんだけど、人によってはこれが教科書的と捉えられる台詞だと思う。

あと主演の松坂桃李役が妙に真面目。女遊びをするでも、博打をするでもなく、医者としてはこのうえなく超優等生的な人間で、おまけに喧嘩も強い。

というかあの絡まれてチンピラの骨を折っていくシーンは必要なのだろうか?

本作品にあのようなバイオレンスなシーンを求めてる人はいるのだろう?

医者のくせしてあんなに骨折っていいのだろうか?

彼は漢方医を学んだ人間だけど、吉岡さんから「蘭方医が優れている」と力説されてムッとするシーンがあるんだけど、風呂入ったら「もっと蘭方医のこと教えてください!」ってコロッと変わってしまう。

結構柔軟性あるのね。まぁ、そこがいいとこだけど、会話のなかでもっと見せ場作ることもできたよな。

松坂桃李はいい奴で真面目で柔軟性があって喧嘩が強くて、なんだかキャラクターとしては全くもってリアリティがないキャラクターです。まぁ、こんな医者いたらいいよねっていう理想を込めたキャラクターなのでしょう。実際にいた人物といっても性格まではわからないもんね。

そして松坂桃李の奥さんも旦那を支える献身的な妻で、テンプレキャラ炸裂です。おまけに喧嘩も強い。

この夫婦、謎に喧嘩が強いのなんなんだろう?

ドラマ性は弱い




この時代に病気を治すというのはとんでもないことだったんだろう。

本作はいわゆる「プロジェクトX」なんだけど、もっとドラマチックにみせることもできたはず。だけど妙に一歩引いて作られている。

役所広司のキャラクターは熱くて、日曜の夜くらいにやってる池井戸潤原作のドラマみたいなテンション。でもこのテンションでいっていい内容だと思うんだけど。

「あばた」などもカットされてましたね。もっとグロってもよかったのに。じゃないとあの病気の怖さって伝わらないと思う。

しかし雪山のシーンの長まわしはなんの意味があったのだろう?「助けてくれ~」って妙に長いなぁと思ってしまった。

そのくせ次の瞬間、福井から京都にいたり、江戸にいたり結構その道中のシーンが端折られてる。だって移動手段は徒歩なわけで結構距離あるよ?

まぁ、ただ歩いてるだけなので不必要なんだろうけど、そこはえらくポンポンと進んでいくんだ。と思ってしまった。

なんだか書いてるうちにディスりばかりになってしまったが、あくまで気になった部分という意味で、自分的にはそんなに悪くなかったんです。色々言ってもう遅い?

冒頭シーンは確かにテンポが悪くてダルかったけど、そこ乗り越えると吉岡さんが出てきて西欧医学の可能性を説き始めてから一気に引き込まれました。

悪い作品ではないけど、なんだかところどころ勿体ないなという印象です。

同じ題材で違う監督さんが作ったらどうなるんだろう?今だったら誰だろう?

人間ドラマに定評ある『ALWAYS三丁目の夕日』とか『ゴジラ-1.0』撮った山崎貴監督ならどう撮るだろうとか想像してしまった。

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