1977年に公開された映画『八つ墓村』。
横溝正史の同名小説を野村芳太郎監督、橋本忍脚本で映画化した作品で、萩原健一が寺田辰弥、渥美清が金田一耕助、小川眞由美が森美也子、山崎努が多治見要蔵を演じる。原作の時代設定を映画製作当時へ移し、辰弥の職業を航空機誘導員に変更するなど、大胆な脚色が施された。
名作とされている本作ですが、現代の感覚で観るとどうしても退屈に感じてしまいました。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
作品名:八つ墓村
公開年:1977年
製作国:日本
上映時間:151分
監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍
原作:横溝正史『八つ墓村』
出演:萩原健一、小川眞由美、山崎努、渥美清
ジャンル:ミステリー/サスペンス/ホラー
あらすじ

首都圏の空港で航空機誘導員として働く寺田辰弥は、新聞の尋ね人欄をきっかけに大阪の法律事務所を訪れる。そこで自分が岡山県の八つ墓村にある多治見家の後継者であることを知らされるが、辰弥を確認した母方の祖父・井川丑松が突然苦しみ出し、そのまま死亡する。
故郷へ向かった辰弥を待っていたのは、多治見家と八つ墓村に残る凄惨な過去だった。戦国時代に村へ逃れてきた8人の落武者が惨殺され、さらに辰弥の父・多治見要蔵も28年前に村人32人を殺害して失踪していた。
辰弥の帰郷と呼応するかのように村では新たな連続殺人が発生。やがて私立探偵・金田一耕助が村を訪れ、過去と現在を結ぶ事件の真相を追い始める。
2時間半かけて見せられる村の内輪揉め
1977年の『八つ墓村』。現代の作品と同じテンポを求めるのは酷なのかもしれないが、それを差し引いても、151分はとにかく長かった。
誰が誰の子供なのか。誰がどこの家の血を引いているのか。誰が跡取りで、誰に相続する権利があるのか。
とにかく血縁関係をゴネゴネと説明していく。
誰の子供かなんてもうどうでもいいんだよ。それより、この鬱屈した狭い世界で延々と揉めてるこいつらは何なんだよ?
最後まで観れば、祟りやら落武者やら大量殺人やらと大層な話を広げながら、結局は閉鎖的な村の中で繰り広げられる内輪揉めにしか見えなかった。
もちろん、この閉塞感そのものが『八つ墓村』の世界観なのだろう。
実際、多治見要蔵による村人32人殺しは、1938年に岡山県で都井睦雄が30人を殺害した津山事件をモチーフにしている。
山奥の閉鎖的な共同体、血筋への執着、積み重なった怨念。
そうしたものを描くにはこの重苦しさも必要だったのかもしれないが、いかんせん長かった。
2時間半見た末に「結局、村の内輪揉めじゃん」と思ってしまった。
ときどき志村けんのコントに見えてくる
それにしてもこの映画、口から何か吐きすぎ。
毒を飲む。苦しむ。吐く。
また誰かが毒を盛る。苦しむ。また口から何か出る。
吐血や嘔吐の描写が妙に多く、「この映画、とにかくみんな毒を盛りがち。そしてとにかく口から何か出がち」という印象が残った。
一方で、殺戮そのものはかなり容赦ない。
多治見要蔵による32人殺しでは、大人だけでなく赤ん坊にまで刃が向けられ、ここまでやるのかと思うほど凄惨な場面が繰り返される。
ところがこれだけ大真面目に恐怖を描いているのに、ときどき妙な笑いが生まれてしまう。
特に双子の老婆。
顔を真っ白に塗って不気味さを出しているのだろうが、顔そのものは妙に若く見えて、だんだん志村けんのコントに見えてきた。
さらに水中で死んだ老婆を発見する場面。
渥美清演じる金田一耕助が「現場検証があるからそのままにしておきましょう」という趣旨のことを言って手を戻すと、死体の腕が水面へプカーッ。この演出合ってる?
流暢に喋る大滝秀治が一番新鮮だった
『男はつらいよ』の寅さんとしてあまりにも有名だった渥美清が金田一を演じる。そのキャスティング自体にはインパクトがあったが、結局は萩原健一演じる寺田辰弥を中心に物語が進むため、金田一は時折現れて状況を説明したり、辰弥に助言したりする程度。
もちろん最後には事件を整理するのだが、「金田一耕助が難事件を解決する映画」を期待すると、思った以上に脇にいて、あまり活躍していないような気がする。
それより目を奪われたのは、小川眞由美。
とにかく色気がある。
森美也子という人物の妖艶さも含め、この鬱屈した村の中で彼女だけが妙に艶っぽい。物語そのものには最後までそれほど乗れなかったが、小川眞由美の存在感は強烈だった。
そして、もう一人驚いたのが大滝秀治。
『北の国から』を知っている僕には、あの少したどたどしく、独特の間を置きながら喋る大滝秀治のイメージが強いが本作では、普通にスラスラ喋っている。
大滝秀治って、こんなに流暢に喋れるんだ。
2時間半観て最終的に強く残ったのが、小川眞由美の色気と流暢に喋る大滝秀治だった。





