【映画】去年の冬、きみと別れ(2018)|ラストは?後半から全てが反転するサスペンス【ネタバレ考察】

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映画『去年の冬、きみと別れ』をイメージした画像 サスペンス

2018年に公開された映画『去年の冬、きみと別れ』。

本作は、中村文則の同名小説を原作にしたサスペンス映画で、監督は『犯人に告ぐ』『グラスホッパー』などでも知られる瀧本智行、脚本は大石哲也が担当した。

死刑囚への取材から始まる物語が途中から視点を反転させながら進み、観客の先入観を利用して真相へ導く構成が特徴。

猟奇事件を題材にしながら、人間の執着や愛情、そして「見えているものは本当に真実なのか」を問いかけるミステリー作品である。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:去年の冬、きみと別れ
原題:去年の冬、きみと別れ
公開年:2018年
製作国:日本
上映時間:118分
監督:瀧本智行
脚本:大石哲也
原作:中村文則『去年の冬、きみと別れ』
出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、北村一輝
ジャンル:サスペンス、ミステリー

あらすじ




映画『去年の冬、きみと別れ』をイメージした画像

フリーライターの耶雲恭介は、女性二人を焼死させた容疑で死刑判決を受けた元写真家・木原坂雄大の取材を始める。芸術家として高い評価を受けながら猟奇事件を起こした男の真実を追ううち、姉の朱里や関係者への取材を重ねても事件の全貌は見えてこない。

やがて取材を進めるほどに不可解な出来事が次々と起こり、耶雲自身も事件の渦中へと引き込まれていく。そして最後に待ち受ける真実は、それまで見えていた事件の構図を根底から覆すものだった。

事件を追う主人公が、実は復讐を仕掛けていた




本作品は、前半と後半で主人公の見え方が大きく変わるのが最大の特徴である。

最初は編集者の耶雲恭介が猟奇殺人事件の真相を追い、木原坂雄大という危険な男へ近づいていく物語。しかし途中から事件を追っていたはずの耶雲自身が、実は復讐を仕掛けていた側だったことが明らかになる。

おぉ、これはなかなか斬新。

盲目の元恋人を死に追いやった木原坂兄妹へ復讐するため、耶雲は記者として事件を調べるふりをしながら、最初から木原坂雄大を破滅させる計画を進めていたのだ

追う側と追われる側の関係が反転し、それまでただのライターだと思って見ていた男が、実はもっと危険な人物だったと判明するこの設定には素直に驚かされた。

前半は正直かなりだるく感じていたが、ここまで我慢して見てよかった。ただし主人公の正体と目的が分かった時点が、本作品の最大のピークだったかな・・・。

その後にも仕掛けは続くもののさらに大きな意外性があったかというと、個人的には盛り上がらなかった。

真相が見えたあとは、「やはり復讐劇だったのか」と計画の全体像を確認していく感覚に近かった。

死人を入れ替え、木原坂雄大へ罪を着せる計画のカラクリ




復讐のカラクリは、死亡した人物を入れ替える工作にある。

耶雲は木原坂兄妹へ復讐するため自殺願望を抱えていた小林百合子を計画へ参加させる。そしてその女性が木原坂の姉として死んだように見せながら、実際には木原坂の姉を焼死させるというものだった。

さらにその殺害へ木原坂雄大自身を関与させることで、雄大が女性を焼き殺したという状況を作り上げる。

そして死刑になるであろう雄大へなぜ自分が破滅することになったのかを理解させるため、一連の真相を本にして読ませ、自分が誰に、どのような理由で陥れられたのかを最後に知らせることで、復讐は完成するといういささか漫画チックな展開でした。

北村一輝演じる小林良樹もこの計画に深く関わっていて、小林もまた朱里のためなら何でもする男であり、耶雲も亡くなった元恋人のためなら殺人さえ選ぶ男ということで、立場は違っていても二人とも一人の女性にとらわれ、その執着によって人生を大きく変えた男だったように思う。

そして最後まで見ることで、ようやく『去年の冬、きみと別れ』というタイトルの意味も見えてくる。

単なる男女の別れではなく亡くなった恋人への思いと、そこから始まった復讐そのものを示す言葉だった。タイトルの意味が物語の途中から少しずつ分かり最後に全体像へつながる構成もよくできていた。

人間をここまで動かす、恨みと復讐の力




正直言って計画自体はかなり現実離れしているので、「実は耶雲の復讐劇でした」というタネ明かし以降は一歩引いて鑑賞してました。

しかし本作品を見て改めて感じたのは、恨みや復讐が人間を動かす力の大きさだった。

人は金がないから悪事を働いたり、貧しさから抜け出すために必死で頑張ったりする。それと同じように、「恨み」も人間を長い時間動かし続ける強烈な原動力になる。

耶雲は亡くなった元恋人のために、長い時間をかけて複雑な復讐計画を組み立てた。その執念は普通の感情だけでは到底続かないものだろう。

だからこそ復讐や恨みは何度も映画や小説の題材になるのだと思うし、愛情が強かった分だけそれを奪われたときの憎しみも大きくなる。

女のためなら何でもする二人の男を通して、本作品は、愛情と執着と復讐がほとんど地続きにあることを描いていた。

深く考察したくなる要素が大量に残る作品でもなかったが、復讐によって人間がどこまで行動できるのかという点は『告白』に通ずる要素かな。

「恨み」という感情はそれほどまでに恐ろしいのです。

結局、人から深く恨まれないような人生を送ることが一番なのかもしれない。

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