2020年に公開された映画『サヨナラまでの30分』。
意外と、悪くなかった。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:サヨナラまでの30分
・公開年:2020年
・監督:萩原健太郎
・脚本:大島里美
・音楽:Rayons
・ジャンル:青春 / 音楽 / ファンタジー / ドラマ
・上映時間:114分
・製作国:日本
・主なキャスト:新田真剣佑、北村匠海、久保田紗友
あらすじ

人付き合いが苦手な大学生・窪田颯太は、ある日1本のカセットテープを拾う。再生すると、1年前に亡くなったミュージシャン・宮田アキが現れ、30分間だけ颯太の身体に入ることができると知る。
アキは生前、メジャーデビュー直前に解散したバンド「ECHOLL」のボーカルだった。彼は自分が果たせなかったバンド再結成と、恋人・カナへの想いを残していた。颯太の身体を借りたアキは、かつての仲間たちを再び動かし始める。
30分は死者が生者に席を譲るための猶予
本作、設定だけ聞くとかなり既視感がある。
死んだミュージシャン、残されたバンドメンバー、未練、生きてる者に乗り移る。
あーまたこの感じか。
カセットテープにアキの記憶や魂が刻まれていて、30分だけアキは颯太と身体を共有できるという謎ルール。
まぁ、いいさ。これはファンタジーだ。このルールに乗ろうじゃないか。
にしてもアキと颯太は性格が真逆だ。
だから身体が入れ替わって30分経つと自動的に颯太に戻ってしまうので、アキと正反対の性格の颯太とのギャップがエグすぎる。
でも周りからすればアキが乗り移ってることは知らないわけで、さっきまでタメ語で慣れ慣れしかったのに、颯太に戻った途端急に敬語になってもじもじし出すというカオスキャラに変貌するのがツボだった。
まわりの人は何も思わないのか?不自然すぎるだろ。
まぁ、いいさ。これはファンタジーだ。このルールに乗ろうじゃないか。
細かいこと突っ込むような映画じゃないのは理解してる。
結果から言えば、アキは自分がバンドの中心に戻るために現れたのではなく、自分がいなくてもバンドが前へ進める状態を作るために戻ってきたというわけだ。
しかも、その流れを担うのが北村匠海演じる颯太。
彼は実に素晴らしい。
あのネガキャラが歌うと別人になる。
こんなに歌上手かったんだ。
本作、実はアキの物語で始まって、途中から颯太の物語に上書きされていく。
「ここにもう自分の居場所はない」
最後に乗り移った時には、もう完全にアキはポジションを颯太に譲っている。
これはまさに男の引き際の話である。
タイトルが『サヨナラまでの30分』なのも、単なる時間制限じゃなく、別れを受け入れるための猶予として効いてくるわけだ。
フェス前日に辞める問題
でもね、許せないことがある。
颯太、てめぇメンヘラ発動してフェス前日に「バンド辞めます」はねぇだろ。
バンドって一人でやってるわけじゃないからね?
ライブって、メンバーだけじゃなく、関係者、PA、箱、イベント側、全部動いてるわけよ。無理やりフェスに組んでくれた松重豊さんの気持ちとか踏みにじってんじぇぇよボケ。
そこで前日に「やっぱ辞めます」は、完全に間違ってる。メンヘラとかそういうレベルじゃねぇよ。
人に迷惑かけるメンヘラは最低のメンヘラだ。
って目の前にいたら説教してますよ。
メンバーももっと怒れよ。だからメンタルが弱い若者は…
まぁ、いいさ。これはファンタジーだ。
でも改めて思うけどバンドって、本当に奇跡なんです。
何十年も同じメンバーで続けるなんて、ほぼ奇跡。
だからこないだ観た『ライズ・オブ・レッド・ホット・チリ・ペッパーズ』のレッチリは凄い。
同じ曲を同じテンションでやり続けることなんか一般人には不可能に近い。
人は変わるから。音楽性も変わる。気分も変わる。人生も変わる。
モンパチのギターだって「辞めたい」と言って脱退した。凄く理解できる。
人は変わるから同じ場所にいられないのよ。自分が変わると無性に一緒にいることがじれったくなるのよ。
話が脱線したが、バンドの辞める辞めない事情はバンドをやってた人間からすればあるあるのシチュエーションで共感できました。
カセットテープは「死者の記録」じゃなく、更新される人生そのもの
この映画、結局カセットテープが何かって話なんですよ。
単なるアイテムではなくメタファーです。
アキが残っているようで、実際には颯太が上書きしていくこと。
まさにこれは喪失から再生への本質であり、忘れるんじゃなく、更新していくことである。
生きてるものはいつまでも過去や亡くなった人間にとらわれてるよりも前向いて歩いていかないといけない。
そして颯太の性格も「友達いらない派」だったのにアキを通して、仲間との時間の大切さを理解できるようになる。
まぁ、結果的にお互いwinwinの関係っていうことで。
奇跡みたいに続くはずだったものが、一度壊れて、別の形で再生する話。
そう見るとまぁまぁいい映画なんだと思います。既視感ある設定なのに、ちゃんと着地してる。
でもやっぱりドタキャンはねぇからな?颯太。






