【ドラマ】生きとし生けるもの(2024)|妻夫木聡・渡辺謙W主演。ラストの意味と緩和ケア医の意義を考察【考察】

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生きとし生けるもの(2024)の旅の場面を描いた水彩画風オリジナル画像 人間ドラマ

2024年に放送されたドラマ『生きとし生けるもの』。

「何も考えずに観れるものを」ということでNetflixで観始めた本作。

あとで気づいたけど映画じゃなく、テレビドラマだったのね。

そして観始めたら観始めたで色々と考えることも出てきて・・・

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




作品名:生きとし生けるもの
公開年:2024年
監督:廣木隆一
脚本:北川悦吏子
音楽:大友良英
ジャンル:ヒューマンドラマ/テレビドラマ
上映時間:114分
製作国:日本
主なキャスト:妻夫木聡、渡辺謙、原田知世

あらすじ




生きとし生けるもの(2024)の旅の場面を描いた水彩画風オリジナル画像

人生に迷いを抱える内科医・佐倉陸は、余命宣告を受けた患者・成瀬翔と出会う。成瀬は残された時間の中で「人はなぜ生きるのか」「何を残して死ぬのか」という問いに向き合おうとしていた。
やがて二人は各地を巡る旅に出る。移動の途中でさまざまな人々と出会い、風景に触れ、言葉を交わす中で、佐倉自身もまた自分の生き方を見つめ直していく。
死を目前にした者と、生きる意味を見失った者。その二人の対話を通じて、「生きること」そのものを静かに問いかけるヒューマンドラマ。

心を治すもう一つの医療。




本作は妻夫木演じる医者がメスを持てなくなり患者の「緩和ケア」に向き合うという内容。

手術によって「物理的に治す」だけが医者ではなく、患者の気持ちに寄り添ってあげる「心のケア」も立派な医療なのだ。

妻夫木聡演じる陸はやたらと好青年だし、渡辺謙演じる成瀬もわりと聞き分けのいい素直な患者いい感じにデフォルメされたような綺麗なキャラクター2人のロードムービーは観ていてそんなにストレスがありませんでした。

まぁ、実際はこんな風にはいかないだろと思うことも多々ありましたが、本作の伝えたいことは伝わりました。

「風浴びてみたい。」というおっさん。

そうか、病院では自殺予防の観点から窓が開かないんだ。

風を浴びる。人間なら当たり前のことも病院内では当たり前ではなくなる。

些細な描写だけどハッと気づかされる。

自分は病院にいるのだ。病気なんだ。と自覚させられる。

医学の進歩で平均寿命がのびた現代だけど、果たしてそれは人々を幸せにしてるのか?というなかなかのスケールの話になっていく。

「生きる」とは何か、余命宣告を受けた患者が己に問いかけるような作品は近年だと『春になったら』とかが記憶に新しいけど、こちらはちょっと「医療」に寄った作品になってました。

医者とは、医療とは。




作品のなかでも「スイスに行けば安楽死ができる」って話があったけど、生きるってことは死ぬのと同じくらいしんどいことなので、患者が自分の命を終わらせたいと思うことはすごく自然であり、僕だって余命宣告受けたら安楽死したいなと思います。

安楽死認められるだけで介護問題や医療費など色々な問題が解決するとは思うんだけど、日本では安楽死が認められることはいまのところないのではないでしょうね。

最後の会議での「病院が訴えられるリスクが・・・」というセリフからもわかるように保守的な体質が変わらない限りこの国で抜本的な改革は生まれづらいだろうな。

「医者は患者を治してこそだろ」という緩和ケア医を揶揄する医者のセリフなど、ちょいちょいいまの医療業界に切り込んでるような脚本で、決してきれいごとだけを並べた作品ではないんだなと感じました。

陸や成瀬というキャラクターは特にクセがあるわけではなくどちらかと言えばキャラクターとしては非常に凡庸ではあるもののの、逆にいまの医療の問題の方に意識がいってこれはこれで良かったのではないでしょうか。

緩和ケア医とは。




誰しもが余命宣告受けてまで頑張って生きようとは思えるのか。

「いつでも死ねる」という安心感こそ生きられる。というセリフがありましたが、生きることと死ぬことって本当に紙一重なのかもしれない。

「お前が捨てようとしてる明日は、誰かが喉から手が出るほど欲しい明日だ。」

「幸せにはならないかもしれないけど、幸せって感じる瞬間ってあるんじゃないですかね。」

「幸せってゴールなんですかね?幸せを感じる瞬間って気持ちいい風のようなものなんじゃないかな。」

本作では胸に刺さるようなセリフが結構多くて考えさせられました。

緩和ケアの仕事だって人を救うことに変わりはないわけで、どちらかと言えばカウンセリングのような「心をケアしてあげる」というニュアンスなのかな。

しかし『生きとし生けるもの』ってタイトルもありきたりだし、もっと他に違うタイトル見つからなかったのかな?

BGMも泣けるシーンなのにギター音のポップな曲が流れてきてなんか違和感が。

しかし外で食べるあのウインナーは確かに美味しそうだったな。

最後に女性の患者さんが陸に「手をつないで」とお願いするシーンがある。

なんだよ、高齢女性の恋愛感情とかだったらなんか嫌だな。

そして彼女は言う。

「この手はまるで息子のような、夫のような、母の手のような」

なるほど、手を繋ぐことでこれまでの「生」を感じていたんだな。

このシーンはさっきまで「私は幸せになれない」ってダウナーモードだったのに手を握ってあげる、それだけで患者が「生きる」ことに向き合うというシーン。

これはまさに緩和ケアの仕事を象徴するようなシーンだったのではないでしょうか。

命を救うことは医者にはできても、患者の心をケアしてあげることはできない。

何気なく観始めたら色々と考えさせられる作品でした。

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