1997年公開のハリウッドアクション映画『コン・エアー(原題:Con Air)』。
製作はあのジェリー・ブラッカイマー。『ザ・ロック』や『アルマゲドン』など、いかにも「これぞアメリカ!」な作品を世に送り出してきた名プロデューサーだ。
本作も例外ではなく、爆発、銃撃、そして筋肉とタンクトップで構成された、まさに90年代ど真ん中のバカで最高なアクション映画である。
……のはずなのだが、
なぜだろう。観終わったあとに残るのは、ただただ“ニコラス・ケイジの髪型なのである。
基本情報
公開年:1997年
原題:Con Air
監督:サイモン・ウエスト(『トゥームレイダー』『エクスペンダブルズ2』など)
脚本:スコット・ローゼンバーグ
製作:ジェリー・ブラッカイマー(『ザ・ロック』『アルマゲドン』『パイレーツ・オブ・カリビアン』の製作でも知られる)
音楽:トレヴァー・ラビン、マーク・マンシーナ
上映時間:115分
配給:タッチストーン・ピクチャーズ(ディズニー傘下)
ジャンル:アクション/サスペンス
あらすじ
主人公キャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は、元軍人で戦闘能力の高い男。妻を守るために正当防衛で人を殺してしまい、刑務所送りに。仮釈放となったポーは、自宅に戻るために他の凶悪犯たちと共に囚人輸送機「コン・エアー(Con Air)」に乗せられる。
しかしその飛行機内で、**サイラス・ザ・バイラス(ジョン・マルコヴィッチ)**を中心とする囚人たちが反乱を起こし、機体を乗っ取ってしまう。ポーは仮釈放目前という立場ながらも、乗客の命を守るために奮闘する。
ニコラスの髪型にしか意識がいかない奇跡の映画

妻を守るため正当防衛で人を殺してしまったポー。
それだけでもかなりの悲劇なのにその帰りの空輸機が凶悪犯によって結構簡単にハイジャックされるとかもはや不幸そのものの主人公ポーを演じたのがニコラス・ケイジ。
数ある彼の作品の中でもずば抜けて内容よりもビジュアルに意識がいく稀な作品。
おまけにこの映画、あのジェリー・ブラッカイマーが製作しておりちゃんと観ればそこそこ楽しめる作品なのにニコラス・ケイジの強烈なビジュアル(主に髪型)によって観た後の印象が全て消え去っている。
今回は数年ぶりに観たネタバレ感想を。
モト冬樹、走る。

爆発ドンパチ大好きジェリー・ブラッカイマーの本領発揮といったことろでとにかくド派手。
いや、これが結構テンポと間がよくてまさに90年代のハリウッドといった感じで悪くない。
ニコラス・ケイジもめちゃめちゃ頑張ってるけどとにかく長い髪の毛が気になる。
切れよ。
この髪型で戦い、この髪型で愛する妻と再会し、この髪型で物語を締める。
つまり、一度も切るチャンスを見せないのだ。
ニコラス・ケイジ、やっぱりロックである。
あとずっと走ってます。
タンクトップで。
いや、モト冬樹じゃないです。
ハゲロン毛にタンクトップ、ジーパン姿で終始走り回ってます。
これがびっくりするほどカッコよくない。
カッコよくないのに「何故かいい男」として描かれてます。
日本では「変態」と揶揄されてしまいそうだけどこの頃のアメリカは違ったのかな?
けど誰もこのスタイルに続いてるものはいないのをみるとやはりこれは「無し」ということだろうか。
ハゲてるのにロン毛という矛盾。

個人的にはハゲ上がったなら潔く短髪にしたい派なんだけどニコラス・ケイジは抗ってる。
ロックです。ニコラス・ケイジ、ロックです。
とにかく終始、ハゲてるのにロン毛という矛盾を孕んだ髪型で敵と戦っている。
毎回思うんだけど喧嘩とかの場合ロン毛って不利だと思うんだけど。
それならなぜ8年ぶりの妻との再開で髪の毛切ろうと思わなかったのか?
そこまで意識がいかなかったのか?
いや、彼は少なくともこの髪型を良しとしていたからではないのか?
わからない。
考えれば考えるほど謎は深まるばかり。
とにかく内容がない。爆発に頼りすぎ。

一応、ジョン・キューザックとかジョン・マルコビッチとか名だたる俳優が出てるけど観た後はびっくりするくらいハゲロン毛しか残ってない。
それもそうだ。ジェリー・ブラッカイマーの作品の中でもずば抜けて内容が薄い。
いや、もともとこのジェリー・ブラッカイマーの作品は穴があることで有名だけどいままでそれを感じさせないくらいド派手なアクションで誤魔化してきた。
本作も一応取ってつけたような人間ドラマはあるがただ暴れまわる動機くらいでしかない。
びっくりするくらい内容が薄い。
理由は全部爆発するからである。
燃料切れで墜落したはずの飛行機も何故か爆発する。
一体何に着火したのだろうか?といちいちツッコミを入れるのは野暮ってもんだ。
もはや「燃えること」がこの映画のテーマではないかと思えるレベルだ。
だが、これが逆に心地よい。
ジェリー・ブラッカイマー作品らしく、とにかく派手。とにかく勢い。細かいことは気にするなというスタンスが貫かれている。
だから内容が薄くても許される。そういう映画だ。
とにかくド派手でワクワクする様な映像を徹底して作ったおバカ映画である。
おまけにこの映画ではハゲロン毛は一貫してイケメンとして扱われてるからもう何が何だか…
そのビジュアルで空を舞い、銃を撃ち、走り続ける。
映画の中では真面目にヒーローとして描かれている。このギャップがまたクセになるのだ。
未見の人はとにかく頭を空っぽにして一度観ていただきたい。本当にヒマになった時だけね。
ただし、「内容は記憶に残らない」ことだけは覚悟してほしい。
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