【映画】スリーパーズ(1996)|実話?虐待描写より「裁判の怖さ」が残る傑作【ネタバレ考察】

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「スリーパーズ(1996)」で向かい合って座るブラッド・ピットとジェイソン・パトリックを描いた水彩画風イラスト アメリカ映画

1996年に公開された映画『スリーパーズ』。

子供の頃に観て何十年ぶりの再視聴。

すごいな、非常によくできた裁判劇であり、改めて正義とは何か、裁判とは何かを考えさせられる作品でした。

本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。

基本情報




・作品名:スリーパーズ
・公開年:1996年
・監督:バリー・レヴィンソン
・脚本:バリー・レヴィンソン
・原作:ロレンツォ・カルカテラ
・音楽:ジョン・ウィリアムズ
・ジャンル:ドラマ/クライム
・上映時間:147分
・製作国:アメリカ
・主なキャスト:ケヴィン・ベーコン、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン、ブラッド・ピット、ジェイソン・パトリック

あらすじ




「スリーパーズ(1996)」で向かい合って座るブラッド・ピットとジェイソン・パトリックを描いた水彩画風イラスト

1960年代後半、ニューヨークのヘルズ・キッチン。
貧困街で育った4人の少年、シェイクス、マイケル、ジョン、トミーは、ある悪ふざけによる事故をきっかけに少年院へ送られる。

しかしそこで待っていたのは更生ではなく、看守たちによる暴力と性的虐待だった。

人格を壊されるほどの地獄を味わった4人は、数年後それぞれ別の人生を歩むが、大人になったジョンとトミーは偶然再会した元看守ノークスを射殺。検事補となったマイケルと新聞記者となったシェイクスは、裁判を利用して少年院の虐待を暴こうとする。

実話なの?




看守ノークスを演じたケヴィン・ベーコンが本当に恐ろしいし、素晴らしかった。

それだけ強烈なインパクトを残した役柄だ。

本作が厄介なのは、実話ベースとして作られている点である。

原作者ロレンツォ・カルカテラは自分の体験だと主張していたが、一方で当時から「そのような事件記録は確認できない」という反論も多かった。

つまり、完全な実話とも言い切れないが、完全な創作とも思えないというなんとも気味の悪い立ち位置の作品である。

まぁ、ぶっちゃけこういう事件ってありそうだし、実際に存在した虐待事件を下敷きにしている可能性もあって、この曖昧さが映画全体に異様な後味を残している。

ただ個人的には虐待シーンそのものより、その後の人生が壊れていく描写の方がリアルでした。

ジョンとトミーは暴力から抜け出せず、マイケルは検事になっても復讐を抱え続ける。シェイクスも過去を書き続ける。

つまり彼らは、少年院を出てもあの過去をずっと引きずっており、被害者はその後も壊れ続けるというのが印象的でした。

本作最大の見どころは裁判シーン




本作は確かに未成年者への性的暴行というヘヴィなテーマを扱う作品なんだけど、それよりも個人的に大きな見どころだと思うのが裁判で争うシーン。

証人が4人もいて、人殺しをしていて、「普通なら絶対有罪だろ」という状況から、無罪に持っていくまでのプロセスが非常によくできている。

特にダスティン・ホフマン演じる、酒浸りで負け続きの弁護士が最後に勝つという流れも一応カタルシスに繋がっている。

もちろん彼は、ブラッド・ピット演じるマイケルの描いたシナリオ通りに動いているだけの人形でもあるんだけど。

でも、あのたどたどしい喋りや頼りなさが、逆にリアルでした。

目撃者の女性に「ワインをどれくらい飲んだか」を細かく聞くシーンなんかもかなり上手くて、黒だったのが徐々に、「あれ?白かも?」と思わせるような会話劇が非常によくできていました。

でも最後、裁判に勝ったのに意外とダスティン・ホフマンについてはサラッと流された感じがする。

そしてマイケルの立ち位置が秀逸で、彼が負けないといけないという設定も痺れる。負ければ検事として責任を取らされ、勝ってしまえばジョンとトミーの仲間から殺される。どっちにいっても地獄。

彼は最初から自分のキャリアを投げうるつもりでこの計画に臨んだわけだ。

しかしだ。

こんなによく練られた計画なのに、ボビー神父の証言次第という詰めの甘さはいかがなものか?

ボビー神父が真実を語っていたらこの計画は破綻するわけで、実際この計画甘くないか?

まぁ、その辺は置いといて「法廷サスペンス」としての完成度はかなり高い作品なのは間違いない。

裁判の怖さ




でも本作、一筋縄ではいかないというかちょっと考えさせられるのが「正義とは何か」ということ。

なにしろジョンとトミーは実際に人を殺しているのだ。

看守のノークスは殺されても当然のようなやつだけど、一応こんなやつにも家族がいるだろう。つまり彼は被害者なのに判決では殺した本人たちが裁かれることがなく「無罪」となる。

これってとても怖いしリアル。

事実かどうかは関係なくて、「いかに裁判で有利な話にもっていけるかどうか」で黒から白になってしまうという怖さがある。

そしてもう一つひっかかるのが、ジョンとトミーはいままでもたくさんの人を殺してきたということ。

この設定のせいでどうにも彼らに同情できないんですよ。

ラストはみんなでテーブルを囲んで楽しそうに話してるシーンがあるんだけど、ちょっと複雑でしたね。

お前らさんざん人を殺めておいて「無罪だ!」って呑気に楽しそうにしてんじゃねぇよ。と思ってしまいました。

まぁとは言え、神父が裁判で嘘をつくのかとか、緊張感があったし間違いなく傑作と言われるのには同意します。

ブラッドピットはこの前の年に『セブン』で大ヒットをおさめて一番脂ののってる時期じゃないでしょうか。今観るとずいぶん若いです。

実話ベースの作品