【映画】T2 トレインスポッティング(2017)20年後、誰も幸せになれなかった男たち【考察】

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T2 トレインスポッティングの中年になった4人が公衆トイレの個室にそれぞれ佇む印象的なシーン(水彩画タッチ・16:9) ヨーロッパ・その他の映画

2017年に公開された映画『T2 トレインスポッティング』。

ダニー・ボイルとユアン・マクレガーの確執が和解して完成にこぎ着けた『トレインスポッティング』の続編。

本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。




基本情報

作品名:T2 トレインスポッティング

原題:T2 Trainspotting

公開年:2017年

監督:ダニー・ボイル

脚本:ジョン・ホッジ

原作:アーヴィン・ウェルシュ

音楽:リック・スミス

上映時間:117分

製作国:イギリス

言語:英語

製作費:約1,800万ドル

興行収入:約4,168万ドル(全世界)




あらすじ

T2 トレインスポッティングの中年になった4人が公衆トイレの個室にそれぞれ佇む印象的なシーン(水彩画タッチ・16:9)

かつて仲間を裏切り、大金を持って姿を消したマーク・レントン。

20年後、彼はオランダでの生活を終え、故郷エディンバラへ戻ってくる。

母は亡くなり、父は老い、街も変わった。だが何より変わっていたのは「時間」そのものだった。

かつての仲間たち――

ドラッグ依存から抜け出せないスパッド、

パブ経営で日銭を稼ぐシック・ボーイ、

刑務所を出所したばかりのベグビー。

彼らは相変わらず破滅的な人生を送っている。

だが今回は、若さゆえの衝動ではなく、「後悔」と「未練」が物語を支配する。




20年後の現実

音楽の使い方、テンポ、そして独特なドラッグの表現方法。

金をかけて派手にすればいいというハリウッド全盛期のあの時代にセンスで勝負した革命的な映画『トレインスポッティング』。

前作への思いをここに綴ればきりがなく、『トレインスポッティング』の記事を読んでいただきたいのだが、前に進むため20年ぶりの続編となる今作『T2 トレインスポッティング』の話をしようか。

前作への思いがあまりに強かった私はこの続編を観てあらゆる意味でショックを受けることになる。

前作のラストにレントンは親友たちを裏切り、大金を持ってオランダへわたるが待っていたものはあまりに残酷な現実だった。

オランダで一度結婚はしたが子供に恵まれずに離婚。

仕事もリストラにあい、ついには病気にもなってしまう。

もう幸が薄いとかのレベルじゃない。

まぁ因果応報のような気もするが結局金をつかんでも何も幸せになっていない。

シックボーイもかつては繁盛してたけど今は老人一人ぐらいしかこないバーで働きながら彼女と共にゆすりをして生活してる。

おまけにだいぶ禿げ上がってしまってるしどう見ても幸福感ゼロ。

スパットはサマータイムのせいで遅刻しまくりで仕事もクビ。結婚して子供もいるけど別居状態。ついには絶望して自殺まではかろうとする。

ベグビーは刑務所。この辺しっくりきすぎ。

仲間に自らの腹を刺させて脱走をはかる相変わらず無茶苦茶なやつ。

20年ぶりに彼らを観たけど幸せになっているものは誰もいない。ドラッグやってめちゃくちゃやってても若かったからまだそれがカッコよくみえたが、オッサンになってしまった男達がそれをやってもただただ惨めでイタいオヤジだ。

相変わらずの安定感というか、やっぱこうなるよね。みたいな再会だった。




夢も希望もないラスト

レントンたちは46歳という現実。

未来をつかむためがむしゃらに走りまくってた20年前とは違い彼らには、もう選べる未来が残されていない。

ベグビーの「賢いやつはいい、俺みたいなのはどうりゃいいんだ」というセリフ。

今回ベグビーのセリフが逐一心に響いた。

本作ではベグビーの息子が出てきて一緒に盗みをはたらこうとするも、息子はベグビーのようなありあまるエネルギッシュな感情や行動力はなく、そもそも悪いことなんかしたくないというテンション。

そのギャップがまた良くて前作ではただ狂暴だったベグビーが確実に歳をとってて息子との対比で人間味が見える。

映画としては悪役であるベグビーからの危険を回避してめでたしで終わるんだけど、これが特にめでたくもない感満載だから新しい。

レントンは実家に戻り(母親は亡くなっていた)、シックボーイは彼女に逃げられバーにいつもの老人を迎い入れ、ベグビーは刑務所に逆戻り。

物語が全然前に進んでおらず、状況が何も変わっていなく話は終わってしまうのだ

唯一スパットだけが文才を発揮して小説を書くことに。おそらくその小説こそが前作の『トレインスポッティング』ということなんだろう。

ということは『トレインスポッティング』はスパット作というまた斬新な流れに。

この映画で何も変わっていない彼らをみて安心したと同時に、先が見えないという息苦しさを感じてしまった。何も考えずバカやってた20年前はまだよかった。

「未来を選べ」がテーマだった前作の答えがこれだ。

レントンは昔聴いていたイギーポップの音楽に身を任せて踊りながらこの映画はエンドロールを迎える。

まるで前を向くことを諦め、ひたすら懐古主義に浸るかのようでなんだかあまりに切なくなってくるラストだった。

これほど残酷な物語はないんじゃないかな。




前作との違いと個人的に思う点

歳を取ったことによるテーマ性の違いは散々述べてきた。

他にも前作との違いは結構ある。

たとえば「前作に比べてドラッグ要素は影を潜めている。」

よってあの奇抜な表現方法を楽しみにしてた自分としては少し拍子抜け。

まぁ年齢も年齢だしあんな調子でドラッグやってたら今頃みんな死んでるか。

そして最大の違いは「レントン目線の語り口がない」ということ。

今回は全員に平等にスポットが当てられている。

あの疾走感のあるレントン語りが物語に独特のテンポを与えていただけに今回は随分と間延びしてしまうシーンがあった。

そして個人的に思うことは「ベグビーの扱い。」

いくら金を持ち逃げしたレントンを恨んでいるとはいえただの殺人鬼みたいな扱いはどうなのよ?本気で殺そうとしてたシーンには少し引いてしまった。

仮にも同級生だしなんだかなぁと。

全体のトーンとしては若いがゆえにパワーが溢れていた前作とは違い、やはりみんな歳を取って落ち着いてしまった感がある(それはダニーボイル監督然り)。

こんなみんなを観たくなかったという反面、これが現実だし受け入れるしかないんだよね。

まさに彼らだって仕方ないことの連続なわけだし。

トレスポへの思いが強すぎて色々言ったけどダミアンも弁護士として出てきたりして20年前のキャストがそのままスクリーンで観れたことが同窓会的な感動があった。

また前作を見直してレントンのように過去に浸るとするか。




評価・受賞歴

Rotten Tomatoes:支持率81%(平均7.0/10)

Metacritic:67/100

前作ほどの熱狂的評価には至らなかったものの、

主要キャストの再結集とダニー・ボイルのスタイリッシュな演出は概ね好意的に受け止められた。

英国では公開初週から大ヒットを記録。

ノスタルジーを刺激する続編として商業的成功を収めた。




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