2019年に放送されたドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です』。
原作がないオリジナルのドラマでここまで盛り上がった作品も近年では珍しい気がします。
制作人の意気込みや、伝えたいことが明確でまさに「今の時代」を象徴した作品となっています。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:3年A組 ―今から皆さんは、人質です―
・放送年:2019年
・脚本:武藤将吾
・演出:小室直子、鈴木勇馬、水野格
・音楽:松本晃彦
・ジャンル:学園ドラマ・サスペンス
・話数:全10話
・製作国:日本
・主なキャスト:菅田将暉、永野芽郁、片寄涼太、川栄李奈、上白石萌歌
あらすじ

卒業まで残り10日となった魁皇高校3年A組。担任教師・柊一颯は、突然生徒29人を教室に監禁し、「今から皆さんには、人質になってもらいます」と宣言する。
半年前に自殺したクラスメイト・景山澪奈。彼女は水泳部のスター選手だったが、SNS上に拡散されたフェイク動画によって追い詰められていた。一颯は、生徒たちに「なぜ彼女は死ななければならなかったのか」を考えさせ、事件の真相を暴こうとする。
SNSのあり方を問う
私ごとだけど一応YouTubeの登録者数20万人を超えた動画配信者でもありまして世間からいわゆる「YouTuber」と呼ばれてしまっている者であります…
なので匿名からの批判に常に晒されていると言っても過言ではないわけでSNSに関しては特に色々と思うことがあります。
なのでこの教師が本当に伝えたかった「お前の何気ない一言が人を傷つける」というメッセージには非常に共感したわけですよ。
というかよく考えたらこのテーマって散々語り尽くされているんだよね。
昔から言葉の暴力で自殺しちゃう子はたくさんいたわけだし「言葉の残酷さ」に関しては世間の皆も知っているはずだ。
ではなぜいまこの時代にこのテーマなのか?
アホに殺される
このドラマがあえてこのテーマを持ってきたのはやはりTwitterやインスタなどのSNSがより人々に身近になったことが大きいだろう。
誰でも発信できてしまうこのSNSの時代だからこそのメッセージ性を物語の軸とすることでより多くの人に共感させることに成功している。
SNSはとても身近だけどバカッターやらとかで「実はSNSって危険じゃね?」とその危険性をも薄っすらと感じ始めてた頃だからね。
私が日々SNSを通して思うことは「何も考えずに発言してしまう人」が非常に多いなということ。
これドラマの中にも「まずは発言する前に考えよう」というくだりがあるがまさにそれができない人が多すぎる。
「匿名だから何言ってもいいや」という理由に加えてTwitterの気楽に呟けてしまう機能性がより拍車をかけている気がする。
これが実名なら事態は変わっていたはずだけどいまさら匿名性について批判するつもりはない。
問題はそこではないからだ。
この「考えずに発言してしまう」というのが癖になってしまっている人はとても危険であるということ。
いわば脳で考えて発言せずに脊髄で反射的に思ったままつぶやいて後でとんでもないことになったりする。
いわゆる「アホ」である。
自分の発言や行動が人や社会に与える影響を想像することができないアホが増えているからバカッターみたいなしょうもない事件が起きる。
「自分の行動が誰かの迷惑になるかもしれない」
あの通りで車が走ってくるかもしれないと考えずに道に飛び出すようなものだ。いわば危機管理能力が欠如している状態である。
そんな簡単なことも考えらないのは人間として大問題だ。
極論でも何でもなく、アホの発言や行動が人を殺しかねない。
その危険性がSNSにはある。
正直言って私からしたらこのテーマは「今更かよ!」と言った感じだけどそれをブレずに真正面から取り組んだ制作スタッフの心意気には賞賛したい。
物語の運び方が秀逸
この作品が凄い所ってまず物語の運び方がとにかく上手い。
物凄いいいところで次週に持ち越したり、過去のシーンを絶妙なタイミングで入れたり、最終回前の話ではいきなり数年後に飛んでたり、とにかく人を惹きつける構成となっている。
そして話が進むにつれて対人構造がどんどん変化していくのも視聴者にとっては釘付けになった理由だろう。
冒頭では教師が生徒を人質にし、向かって来た生徒に容赦なく暴力まで振るう「教師理不尽編」はまるで「バトルロイヤル」を彷彿させる。
だけど実は教師にはちゃんと意図があって生徒が教師側につく「生徒も共犯編」に。
生徒が自殺した原因がフェイク動画だった事が判明しその犯人が先生の中にいて一番ないだろうと思われていたオチャラケキャラの武智先生が犯人だった「武智が犯人だった編」。
さらに「実は本当の真犯人がいる」とか言い出して最終回前に「実は私が殺したの」とか爆弾発言をカミングアウトする「実は親友が犯人?編」。
そして最終回では「真犯人はSNSによる匿名の投稿だった」というオチ。
とにかく海外ドラマみたいに話が二転三転し驚かせるのが好きなスタッフだなといった印象。
個人的にはこういう風に話の流れがころころ変わる作品って一度観たらいいやと思ってしまうんだけどとにかく一発目の食いつきはいい。
視聴率を求めるテレビ局はこう言った過激な展開を欲する傾向がある。
「相手の立場に立って考えろ」という当たり前のこと
物語を通して「人の痛みに対して鈍感になってしまった現代人」への痛烈なメッセージが盛り込まれている。
私の様におっさんYouTuberになったいまでこそ色んな視聴者から理不尽なクレームをぶつけられても華麗にスルーできる術と精神力を身に付けてはいるが例えばこれが、それこそドラマにあるような多感な時期に体験してしまった時の心のストレスといったら計り知れないだろう。
そして相手の気持ちになって行動できない一人一人のちょっとした攻撃によって簡単に人を殺せてしまうんだということ。
さらに言えばSNSは単に有名人だけでなく一般人もターゲットになってしまう可能性があるということ。
一人一人が意識することが大事だしその意識するきっかけとしてこれほどいい教材はないだろう。
「言葉は時として凶器である。」
もう使い古された言葉だ。
だけど改めてその言葉の意味を考える機会を与えてくれたこのドラマに感謝である。
しかもそこそこ楽しめたし。
「変わってくれ…」教師の心からのメッセージは観るものの胸に強く刻まれることを祈るばかりだ。





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