2009年に公開された映画『少年メリケンサック』。
脚本・監督は宮藤官九郎、音楽は向井秀徳というなかなかの作品。向井秀徳ってこういうのもやるんだ。全くZAZEN感はなかったけど。
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
作品名:少年メリケンサック
公開年:2009年
監督:宮藤官九郎
脚本:宮藤官九郎
音楽:向井秀徳
ジャンル:コメディ/音楽/ドラマ
上映時間:125分
製作国:日本
主なキャスト:宮崎あおい、木村祐一、勝地涼、田口トモロヲ、佐藤浩市
あらすじ

レコード会社で新人発掘を担当する栗田かんなは、ある日インターネット上で絶賛されている伝説のパンクバンド「少年メリケンサック」の映像を偶然目にする。若き日の荒々しいステージパフォーマンスに衝撃を受けたかんなは、再デビューを画策。だが実際にメンバーを訪ねてみると、そこにいたのはかつての熱量とは程遠い、酒と愚痴にまみれた中年男たちだった。
実はネットで拡散されていた映像は25年前のもの。現在の彼らはすでに解散状態で、生活も荒れ、音楽への情熱も薄れていた。それでも契約が動き出してしまった以上、かんなは引き返せない。彼女はダメ人間ばかりの元パンクバンドを再結成させ、ライブツアーを敢行することになる。
「パンク」とは何か?
「パンク(Punk)」という言葉には「反抗的」「生意気」といった意味がある。その名の通り、パンクロックは既存の音楽や社会のルールに「NO」を突きつけるような、エネルギッシュな音楽ジャンルのこと。
若い時って既存の社会のルールに反発心を覚えたことは誰しもがあるはず。
別にそれは自然な話で、我々はロボットではなく、人間だからだ。人間には感情がある。俺はこう思う、私はこう思う。それをそのまま音楽にした「衝動」がパンクだ。
しかし大人になると徐々にその社会のルールに順応するようになる。
「少年メリケンサック」のアキオ、ハルオ、ジミー、ヤング、彼らは大人になり、何者にもなることはできず結局いまは社会の枠の中で生きている。
人はいくら反抗したところでどこかで折り合いをつけて最後には社会の枠組みの中で生きていく道を選ぶ。反抗するのは若いうち。刹那的だからこそ青春なのかもしれない。
なぜジミーは普通に喋ることができたのか
25年前解散ライヴの時にアキオとハルオがギターとベース振り回し、それがジミーにヒットしたことが原因で後遺症が残り車椅子生活となってしまう。
なかなかの被害者じゃない?
再結成では上手く歌うどころかフラフラの状態だったがライヴが続くにつれ徐々に歌える様になり、更にははねたり走ったり喋れる様になる。
しかし最後の方でスラスラと喋っているシーンがあり、実際は自作自演だったの?思わせるくだりがある。
ライブ活動をしていくうちに昔の自分が戻ったのだろうか?
かんなの揺れないおっぱいを見るシーンなどから察するに彼はおそらく最初からまともだ。
そもそも車椅子にのるような男がアキオとハルオの楽器をかわすことなんて不可能である。
再結成の話をさりげなくしてしまったみたいなリアクションからも彼は仲間にそのことを隠していたのではないでしょうか。
彼は車椅子生活でまともに働くことができないためおそらく生活保護を受けるような男だ。そっち方が働かなくて済むし楽だからね。最もジミーというキャラクターが策士なのではないかと思えてくる。
まぁ、これに関しては明確な答えが用意されてるわけではないので、「それぞれの想像に任せます」と言ったクドカンの演出だ。
格好悪さを抱きしめた人間賛歌
基本的にストーリーはだらだらしたオッサンたちのロードムービー。
クドカンらしいというか特に大きな展開はあまりない。
車の中での下ネタオンパレードの会話、かんなが徐々にオッサンたちに耐性がついてきて頼もしくなってくる。
見どころってこんな程度でしょうか。彼ら中年バンドのゴールってやっぱりテレビとかくらいですもん。
「25年前よりいいライブをやればいい。嘘がバレる瞬間に最高のライブをやれば、その嘘は嘘じゃなくなる」。
何気にいいセリフなんかもちりばめられていて、アキオは実は子供好きというキャラなどクドカン節で最後まで見せてくれる。
ほぼ中身がないけど、なぜか観れてしまうのはやっぱりクドカン節だからか。
「少年メリケンサック」はネット時代に拡散された過去の幻想。それをビジネスとして利用する大人たち。そして、その嘘の中で本気を見つけようとする人間たち。
かんなは格好悪くても転んでも、それでも鳴らし続ける姿こそがパンクだと知る。少年メリケンサックの奇跡は、若さの復活ではない。年を取ってもなお、笑われながらもステージに立つ勇気そのものなのだ。
嘘から始まった再結成は、やがて本物へと変わった。笑いと混乱の果てに描かれるのは、格好悪さを抱きしめた人間賛歌である。
評価
・興行収入:約10.2億円
・宮藤官九郎監督作品として高い話題性を記録
・音楽×コメディの独特な世界観が評価され、カルト的な人気を獲得
コメディとしてのテンポの良さと、登場人物の痛々しさを包み隠さず描く脚本力が支持されている。宮崎あおいの体当たり演技も高く評価され、今なお語り継がれる一作。






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