2025年に公開された映画『劇映画 孤独のグルメ』。
孤独のグルメ、何度か観たことあるけど、誰しもが思ったはずだ。
「なんでわざわざこんなゆるゆるな作品を映画化したんだ?」
もはや観る前から香ばしい香りがプンプンするではないか。
ハードルをだいぶ低めに設定して怖いもの見たさで鑑賞したが、「やっぱね」感が漂うなんとも残念な印象だ。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:劇映画 孤独のグルメ
・公開年:2025年
・監督:松重豊
・脚本:田口佳宏、松重豊
・音楽:Kan Sano、The Screen Tones
・ジャンル:グルメ、ロードムービー、ヒューマンドラマ
・上映時間:110分
・製作国:日本
・主なキャスト:松重豊、内田有紀、磯村勇斗、村田雄浩、ユ・ジェミョン
あらすじ

輸入雑貨商を営む井之頭五郎のもとに、かつてパリで同棲していた“小雪”の娘・千秋から連絡が入る。依頼は、祖父・松尾一郎にある絵画を届けてほしいというものだった。
パリへ渡った五郎は、一郎から幼少期に母が作ってくれた「いっちゃん汁」をもう一度食べたいと頼まれる。しかし、その料理は誰も詳細を知らず、五郎はわずかな記憶を手掛かりに五島列島へ向かうことに。
昆布や深海魚の干物など、断片的な情報を辿りながら旅を続ける五郎。だが、悪天候による漂流や見知らぬ土地でのサバイバルまで巻き込まれ、いつもの“食べ歩き”とは違うスケールへ発展していく。
井之頭五郎より、久住さん派。
ぶっちゃけると酒飲みの自分は、井之頭五郎がそんなに好きではない。
いや、嫌いになる要素がないのっぺらぼうみたいなキャラクターなんだけど、彼は下戸であるので食事と一緒に酒を飲むシーンが一切出てこない。グルメ番組として料理だけにフォーカスしているんだろうけど、どうにもそれが物足りない。
だから本作だけに限らずテレビドラマ版も、料理とお酒を合わせることを徹底して排除している点が気に入らないのだ。
下戸の人や酒が好きじゃない人からたまに「酒で料理の味がわからなくなるでしょ?」というわけわかめな発言を言われたりする。
「酒と合わせることで味わいが開く」感覚を知らない人間の戯言だ。
そりゃ普段飲む量を大幅に超えれば味がわからなくもなるだろう。だから料理の味がわからなくなるほど飲まなければいいだけの話なのだ。自分はいくら飲んでも料理の味がわからなくなることはないけど。
本作の冒頭のフレンチのシーンだって、彼はワインを飲まないのだ。
フレンチにはワインありきでしょ?
当然下戸の人はそうではないんだろうけど、やっぱりフランス料理に合わせてワインをたしなむのが文化だ。グルメ番組なのでそこはワインを飲んでほしいと思うのは自然ではないだろうか。
そして韓国編も、マッコリでしょ。キムチとマッコリなんて乳酸発酵食品同士の相性がぴったりなのに彼は下戸なのでマッコリもスルーされている。
原作者の久住さんは酒飲みでテレビドラマ版の最後に久住さんがビール飲みながら実際のモデルになったお店で飲んでる映像が流れるけど、そっちの方が自分はよっぽどそそられるのだ。
だから私は井之頭五郎より久住さん派である。
ツッコミどころ
しかしこのフランスのシーンの合成画像感は一体何なんだろう?
合成に見えるシーンがある一方、パリの小さなビストロのシーンは現地ロケだったり、実写と合成が入り混じる構造になっているのが疑問でした。ようわからん演出。
あと細かいんだけど、長崎のちゃんぽんシーンも麺からいくのではなくて、出汁を感じるためにスープからいってほしい。ちゃんぽんって具材や麺も魅力だけど、まずは出汁でしょ。細かい?
それに長崎から目の前の島に渡るためにSUPで行くってバカなのか?
案の定嵐が来て韓国へたどり着いてしまう強引で漫画的な設定。
さらにたどり着いた島で自炊の鍋にキノコを入れて泡吹いてぶっ倒れるというビギナー的な大失態。
まぁ、全部自業自得だし、今までのドラマ版と差別化したい気持ちはわかるけど正直苦笑いです。
申し訳ないが全くハラハラドキドキなんてしない。
だって井之頭五郎がここで死ぬわけがないのを観てる者は全員わかりきっているからだ。
だから井之頭五郎がいくら危機に瀕していても彼を心配する観客は皆無である。彼が八つ裂きにされているシーンを観るまで観客は彼が溺れそうになっていてもほんわかした気持ちで映画を観ている。
彼が苦しんでいるところを薄ら苦笑いで観ているだけなのだ。
役者としてこんなに悲しいことはない。
まぁ「井之頭五郎の新しいリアクション見れた」くらいにしかみんな思ってないのがつらいところだ。
最後だけいい感じ
スケール感を出すために、わざわざフランスと韓国ロケを入れたわけだけど、ぶっちゃけスープを作るだけの話なのでフランスと韓国ってあまり必要じゃないですよね。
韓国の出汁(ファンテ)じゃなきゃダメって理由がわからない。日本にだって旨味の強い魚あるでしょ。スケトウダラの干物なんていくらでも代用できそうだけど、それを言っちゃあおしめぇよ。
まぁそれはいいとしても、最後らへんのオダギリジョーが出てくるあたりから急に良くなってくる。
彼は内田有紀の旦那で原価高で店がまわらなくなったラーメン店主の役。
井之頭五郎のスープがきっかけで店がまた繁盛するという復活劇が繰り広げられるんだど、この映画ってこの部分だけで良くね?
と考えたらスペシャルドラマで十分だったのでは。
ちょっと厳しい匂いがプンプンする映画だったので映画公開当時に観に行くことはなかったが、劇場へ足を運んでいたらと考えると恐ろしい作品だ・・・




