2011年公開の映画『モテキ』。
完全に公開当時もスルーだったし、ドラマ版も実視聴な私が本作を観た感想を綴っていきます。
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
作品名:モテキ
公開年:2011年
監督:大根仁
脚本:大根仁
原作:久保ミツロウ
音楽:岩崎太整
ジャンル:恋愛/青春/コメディ
上映時間:118分
製作国:日本
主なキャスト:森山未來、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子
あらすじ

藤本幸世、31歳。
一年前に訪れた「モテキ」の余韻も消え、実家暮らしから再び上京。ニュースサイトで働き始めた彼は、ようやく社会の歯車として回り出す。
だが、人生はまたしても加速する。
ツイッターを通じて出会った編集者・松尾みゆき。
彼女に恋をし、揺れ動く感情。
しかし彼女には恋人がいる。
一方で、みゆきの友人・るみ子からの突然の告白。
普通の三角関係の話
オープニングやエンディングなどやたらと凝って作られていて、全体的に音楽が活きてる作風。さらに主人公の幸世目線でひたすら一人の美女に翻弄される流れとか、もろに『(500)日のサマー』から影響受けたんだろうと容易に推測できる。
とは言え日本のカラオケのミュージックビデオ風な映像とか一応はオリジナル要素も入れたりしつつ、かなりポップな恋愛妄想映画みたいな感じになってました。
別に話とはしてはよくある感じです。
ドラマ版からの話の続きみたいなのであくまでこの映画版だけの話ですが、
ぶっちゃけ、藤本幸世はそんなにモテ期でもなくね?と思ってしまいました。
だって、本作では麻生久美子演じるるみ子からアプローチを受けるだけなので複数の女性から好意を向けられるわけではありません。まぁ、ドラマ版を観てないのでその辺なんとも言えないけど、ちょっと騙された気分。
てっきり仲里依紗や真木よう子が恋愛模様に絡むかと思ったら、長澤まさみと麻生久美子との三角関係が話のメインじゃん。森山未來含めて5人がそろう映画ジャケットは誤解を生じさせると思うんですが。
もっといろんな女性からアプローチ受けたりするものだと思ってたら普通の三角関係の話に落ち着いておりどうにもその辺がモヤモヤしてしまった。
幸世とみゆきの恋愛とは
幸世が惚れた女・みゆきには彼氏がいた。別に結婚してないんだし奪っちゃえばよくね?
何を「彼氏がいるからどう」とか童貞みてぇなこと言ってんだよ。って作品で当たり前のように使われていた「セカンド童貞」って何ですかね?
本作は『(500)日のサマー』と同じ構造で、とことん幸世目線で話が進んでいく。幸世に共感できない身としてはまぁまぁストレス溜まるんだけど、じゃあみゆきの気持ちは幸世目線で想像するしかないわけです。
みゆきの取る行動は確信犯なのか、明らかに思わせぶり系女子。だって好きでもなんでもない男に水で口移しなんてしないだろ。これリアルでやってたら相当痛い女です。
しかも幸世の会社の飲み会に参加するか?もはや理解不能です。この辺でみゆきは相当図太いメンタルの持ち主であり、痛い女なのです。
でも幸世は経験値がほぼ0なのでそんなグイグイな女に心を持ってかれてしまう。この恋愛は幸世主体ではなく、みゆき主体なので気持ちが持ってかれている。
だから形勢逆転するなら幸世がみゆきを振り回す、翻弄させないとみゆきは幸世にときめかないわけです。恋愛なんて翻弄されるより、翻弄さないと。ってそれっぽく恋愛マスターっぽく言ってみる。
るみ子のセックスからわかる人間性
一方、年上のOL・桝元るみ子は、幸世の優柔不断さを受け止めながらも、彼に真っ直ぐな好意を向ける存在。
るみ子もるみ子で、自己肯定感が著しく低そうな女子。そして彼女のミニカーの仕事はなんてシュールなんだ。子供以外に需要なさそだけど。
一回幸世とやっただけで「何か朝ごはん作ろうか?」と言ってしまう重い女性。彼女気取りかと思われてしまうのも理解できるが、彼女は「何が重いのか」を理解していないように思える。
幸世にふられて幸世の会社の社長・リリーフランキーと一晩を過ごすんだけど、
「るみ子ちゃんは頑張り屋さんなんだね。これからはもっと色んな人とセックスしたほうがいんじゃない?」
というセリフに奇しくも共感してしまった。
るみ子のセックスは多分、そのまま「頑張り屋さん」なのでしょう。つまり幸世に「朝ごはん作ってあげようか」という一方的な奉仕精神で相手の気持ちまで一歩踏み込んで考えることができないのだと推測する。
つまりリリーフランキーとのセックスでも、一方的な頑張り屋さんだったのではないか。だからリリーフランキーは「もっと色んな人とセックスした方がいい」と発言し、このセリフからは「もっと色々経験して相手の気持ちを理解できるといいね」というメッセージなのではないかと考える。
本作は幸世だけでなく、るみ子の話でもあるのかな。
問題のラストシーンの意味
全体的にはテンポよく、最後まで楽しめたんだけど、ラストね。みんなもモヤモヤするシーン。
フェスで泥まみれになりがら幸世がみゆきを追いかけていってレイプまがいのキスをかますシーン。
みゆきも次第に受け入れ笑顔になって幕を閉じるラスト。多分意味わかんない人も多いのではないでしょうか。
けど、これ前述した「恋愛は翻弄されるより、翻弄させないと」理論で考えると簡単に理解できます。
みゆきは幸世のことはまんざらじゃなかったが、自分には彼氏がいるし、幸世はいまいち自分を成長させてくれない(ときめかない)存在止まり。
さっきも言ったけど相手を翻弄し続ける女・みゆきを翻弄させない限りみゆきは幸世にはときめかないわけだ。
だからあの追いかけていってキスをするシーンは唯一、幸世がみゆきを翻弄した瞬間であり、みゆきはそれにときめいたのではないだろうか?
「幸世君じゃ成長できない」という屈辱的なセリフからも、幸世はみゆきから「想定内の男認定」されていたわけで、それを裏切ったラストシーンだったというのが自分の見解です。
ラストの小沢健二の曲も懐かしく、perfumeが出てきたり音楽愛に溢れているのは伝わりました。
森山未來はキレキレダンスをみせたり器用な人ですね。
けど、やっぱりジャケットに映すならもっと仲里依紗は観たかったな。
評価・受賞歴
本作は興行収入22.2億円を記録。
2011年公開の日本映画の中でも高い成功を収めた。
さらに批評面でも高評価。
・第35回日本アカデミー賞
優秀主演女優賞(長澤まさみ)
優秀助演女優賞(麻生久美子)
優秀音楽賞(岩崎太整)
優秀編集賞(石田雄介)
・第66回毎日映画コンクール 男優主演賞(森山未來)
・キネマ旬報ベストテン入り
・ブルーリボン賞 助演女優賞(長澤まさみ)
商業的成功と批評的評価を両立した稀有な作品。






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