1999年に公開された映画『アメリカン・ビューティー』。
舞台演出家として知られていたサム・メンデスの映画監督デビュー作。脚本は「シックス・フィート・アンダー」を手掛けるアラン・ボール。
郊外の理想的なアメリカ家庭を舞台にしながら、実際には欲望、不倫、抑圧、孤独、虚栄に満ちた現代社会をブラックユーモアとして描き切った作品である。
第72回アカデミー賞では作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞を受賞。1990年代アメリカ映画を代表する一本として現在も高く評価されている。
本記事ではネタバレ全開で感想考察していきます。
基本情報
・作品名:アメリカン・ビューティー
・公開年:1999年(日本公開2000年)
・監督:サム・メンデス
・脚本:アラン・ボール
・音楽:トーマス・ニューマン
・ジャンル:ドラマ/ブラックコメディ
・上映時間:122分
・製作国:アメリカ
・主なキャスト:ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ、ウェス・ベントリー
あらすじ

シカゴ郊外で暮らす42歳の広告マン、レスター・バーナム。一見すると平凡で幸福そうな家庭だが、妻キャロラインは成功への執着に取り憑かれ、娘ジェーンとは完全に心が離れていた。
会社でも家庭でも存在感を失っていたレスターは、ある日、娘の友人アンジェラに強烈に惹かれてしまう。そこから彼は筋トレを始め、仕事を辞め、マリファナを吸い、抑え込んでいた欲望を解放していく。
しかし、彼の変化によって家族の均衡は徐々に崩壊。隣家に住む元軍人一家や、ジェーンの孤独も絡み合いながら、それぞれが抱える“偽りの幸福”が剥がされていく。
最高にキモいケビン・スペイシーの演技
ケビンスぺイシーって気持ち悪い役やらせたら右に出るものはいないってくらいキモい役がハマる役者だと思う。
いや、褒めてますよ?
『セブン』の時のサイコパスっぷりとかゾクゾクしたし、かと言って『交渉人』みたいなカッコいい役もこなせるから役者としては優秀だと思います。
プライベートでは性的暴行事件で大変でしたけど。
この映画のケビンスぺイシーがまた最高に「キモい役」で個人的にはますます好感度が上がるばかり。
要は娘の友達に一目惚れした親父がその子を抱く為に奮闘する家族の話。
ストーリーとしてはそれだけなんだけど独特なテンポとだんだん変貌を遂げていくケビンスぺイシーの怪演で最後まで一気に観せてくれる。
タイトルにもなっている「American Beauty」とは赤い薔薇の品種名であり、本作では「理想化された美」「欲望」「人工的な幸福」の象徴として繰り返し登場する。
特にアンジェラと薔薇の幻想的なイメージは、レスターの中年男性としての欲望そのものを視覚化している。
端的に結論を言うとケビンスぺイシー演じるレスターは最後に殺されます。
この映画は彼が殺されるまでを描いた内容で殺される本人が淡々とナレーションを入れるという構造。
冒頭に娘が「あんな父親死ねばいいのに」と愚痴るシーンがあってボーイフレンドが「じゃあ殺そうか?」というシーンから映画は始まる。
当然観てる側からすればこの娘のボーイフレンドがレスターを殺すんだろうなと想像しながら話は一年前に遡る。
「私はこの一年後に殺される」というこのナレーションで話は進んでいく。
つかみは最高だ。
レスターは妻や娘にすっかり「人生の敗北者」だと思われ、夫婦間、親子間はすっかり冷めたものになっている。
朝にシャワーを浴びながら自慰行為に勤しむレスター。一日のピークが朝の自慰行為でその後は急降下な日常。
悲しすぎるぜレスター…
彼自身もきっかけがあれば変わりたい、まだ自分は終わっちゃいないと思っている。
この中年のリアルをケビン・スペイシーは見事に演じ切っていました。
親父が娘の友達に惚れる
きっかけはレスターが娘の友達アンジェラに一目惚れしたことだ。
このアンジェラは金髪で妙に色気があってビッチ臭がする。
レスターはアンジェラにぞっこん。
夜な夜な寝ている妻の隣で自慰行為。
(こいつどんだけ自慰行為してんだよ)。
うん、女性ならみんなドン引きするであろうシーンにもはやニヤニヤが止まらない。
その金髪ビッチ臭アンジェラがレスターの娘に「あなたのお父さんが身体を鍛えていい身体になったらファックする」という爆弾発言を盗み聞きしたレスターは単純にも身体を鍛え始める…
そこから彼の性格は劇的に変わり、マリファナをはじめ、レスターを馬鹿にする妻にも、会社にも全く媚びない態度になる。
(上司を脅迫したりだんだんクレイジーに)。
最終的に色々あって(めんどいから割愛する)、金髪ビッチ臭アンジェラとなんとか念願のベッドイン。(まだ未成年だぞ…)
からの金髪ビッチ臭アンジェラが発した衝撃の一言。
「私、はじめてなの…」
「え?…」
固まるレスター。
なんと彼女はバージンだったのだ。
魔性の女として勝手に欲情していたレスターはその言葉を聞いて覚めてしまう。
レスターはまさに「理想化された美」に気づくのであった。
そして殺される
で、彼が殺されるのはこの後すぐ。
なんでレスターが殺されることになったかと言うと、きっかけは隣の家の親子間のトラブルだった。
自分の息子がレスターと仲良くしているシーンを見てしまった親父。
いや、「仲良く」って言ってもレスターはその息子からマリファナを買っただけなんだけど、窓越しにまるで息子がレスターにフ〇ラをしてるように見えてしまったことで親父が激怒。
(もうこのシーンは爆笑もの)
親父の勘違いで息子をボコボコに。
自分の息子がそんなことを…というのもあるんだけど問題はそこじゃなくて実は親父こそがゲイだったのだ。
そんなこんなでこの親父はレスターに近づき「慰めてほしい」とキスをする。
要は「自分も抱いてほしい」とレスターにいい寄ろうとしたのだ。
もうこのシーンもブラックジョークが過ぎるだろ…
いきなり中年のおっさんからキスされ困惑するレスター。
「いや、俺そういうんじゃないから…」
元軍人の親父は激しくプライドを傷つけられレスターを拳銃で殺すのであった…
はかなくも「本来の父親」を取り戻した直後のレスターだったが…
元軍人の親父も本来の自分を偽っていて、タイトルの「人工的な幸福」とかけてあります。
というわけでアメリカの日常をエグった作品としてアカデミー賞を受賞したわけだけど最後まで独特なリズムで飽きずに観ることができた。
確かに映画だから多少デフォルメされてる部分はあるけど一個一個の話としては、実は結構共感できるようなエピソードがあったりしてそんなに非日常でもないのかなとも思ってしまった。





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