2023年に公開された『そして僕は途方に暮れる』。
ひたすら逃げ続ける男の物語。何かあるのかなと思って最後まで観たら・・・
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
- 作品名:そして僕は途方に暮れる
- 公開年:2023年
- 監督:三浦大輔
- 脚本:三浦大輔
- 原作:三浦大輔(舞台作品)
- 音楽:内橋和久
- 上映時間:122分
- 製作国:日本
- ジャンル:人間ドラマ
あらすじ

自堕落な生活を送るフリーターの菅原裕一は、
恋人、親友、職場、そして母親との関係を次々と断ち切り、
現実から逃げるように街を彷徨っていく。
行き場を失った末、
彼はかつて家族を捨てた父と再会することになるが、
そこでも「答え」は提示されない。
未熟な大人
「電球切れてたよ。変えといて。」
このセリフに違和感。嫁はお前の家政婦じゃねぇんだよ。
嫁も「うん、わかった」じゃねぇよ。
「じゃあ自分でやれば?」の切り替えしがある関係値なら裕一をこんなに甘やかすことはなかったのかなと感じてしまいました。
この話、主人公であるクズ男の裕一はもちろんだけど、なんでもやってやろうとする妻や同じく過保護な母親、逃げ続ける父親たち周りの人間による被害とも取れなくもないのかなと最後まで観てて感じました。
話を冒頭に戻しましょう。
まず浮気がバレて裕一は妻の元から逃げ出した。まずこの心理がいまいちわからない。
とりあえず謝らないのか?逃げてもいずれにせよ現実と向き合わないといけないよ?
夏休みの宿題から逃げても結局は夏休みの宿題はあとでやらないといけないんだよ。問題を後ろ倒しして、むしろその後ろ倒ししたことで事態は悪化してしまうことをこの時の裕一は知る由もない。
この時、彼には何か事情があるのだろうか?そう感じたが、結局大きなミステリーや秘密はそこに全くありませんでした。
次は親友の伸二の家に転がり込む。そこでも「朝俺起きちゃうからうるさくしないで。あと俺の布団敷いといて」と王様発言。
なるほど、こいつはいままで何でも周りの人にやってもらってきた「ただの子供」なのだと知る。
そして次は先輩の家。
ここでも揉め事が起きて出ていくことになり、後輩を呼び出すもカッコつけるが故に頼る事ができず、ついには親族の姉、母親に頼っていく。
ここで裕一がいままで関わってきた人たちとの関係性に彼自身の人物像が浮かび上がる。彼らのセリフで裕一という人物像と問題点が浮き彫りになる仕組みだ。
どうやら相当なダメ男、クズ男だということがわかる。
裕一の鏡である親父の存在
話が大きく変わるのは親父との再会。
それは離婚して再婚し、また離婚して一人っきりになった親父との再会。
裕一は親父の元で暮らすことになり、最初は二人楽しそうだったが、母親が入院したことを知り病院へ駆けつけようとするも、親父は全く動こうとしない。
「気まずいだろ」。こんな感じで言い訳を始めるもんだから唯一は説教するも「お前に言われたくねぇよ!」と切り返されるシーンは同じこと思って気持ちよかった。
なるほど、この親父があってこの子があるんだなというシーンで、親父はまさに裕一の鏡であり、将来の姿。
裕一は親父のそんな部分をずっと嫌悪していていつしか自分が親父と重なる部分に苛立ちを覚えていたわけだ。
結果的に家族の前、妻の前で謝罪をするも、個人的にこの謝り方もなんだかスッキリしない。相手の女性のことなど詳細が全く語られず菅原自身が弱かったからみたいな謝り方だったからだ。
家に戻り、一応はこれで解決?と思いきや、妻からは裕一の親友の伸二との浮気を告白され別れを切り出されることになる。
まぁ、因果応報。逃げ続けた代償だからね。夏休みの宿題の宿題を後回しにしたら罰として宿題がたっぷり増えたみたいな。
芸人はYouTubeをやるべきか否か
裕一は親友の家にいる時に、芸人がYouTubeをやってることを「逃げ」と意気揚々と批判するシーンがある。
僕はこのシーンこそ彼の人間性を表現してる重要なシーンだと考える。
次に泊めてもらう先輩は逆に「いまの窮屈なテレビ業界にいる芸人はYouTubeでやりたいことをすべき」と主張。
確かに裕一の言ってることはわかる。芸人ならテレビで勝負しろよ。
だけどね、裕一の言ってることはあくまで理想論であり、現実をみてる発言とは思えない。苦労してもがいてる人間ならきっと裕一のように簡単にYouTubeをやる芸人を批判なんかできない。そもそも芸人の苦労を想像すらしてない発言なんだろう。
そう、彼には相手の気持ちになって寄り添う想像力が欠如している。だから転がり込んだ親友の家であのような態度になったりするのだろう。
芸人からしてみれば「お前はこっちの事情何もしらないで」と憤慨するだろう。
そもそもYouTubeやるの大変だからね?裕一、なめんなよ?と思ってしまった。
理解してないから簡単に批判する。よくいますよね、こう言う人。
まぁこれがのちの後輩に対しての虚勢を張るシーンにも繋がるわけで基本的に浅い人間なんです、裕一は。
それを先輩の意見とのコントラスで裕一のキャラクターを上手く表現したシーンだと思いました。
ツッコミどころ
本作は一応は逃げ続けた男が改心する話ではあるが、いまいちスッキリしない。
裕一はなかなか自分の素直な気持ちを話そうとせずその場のノリで誤魔化そうとするからだ。
親友の家でティッシュと洗濯のことを指摘されたことで次の先輩の家でそれを活かしてるのが少しの成長なのかと微笑ましくなる。まぁ、親からそういうことを指摘されてこなかったんだねと思うことにしよう。
原田美枝子はさすがに歳とりましたね。『北の国から』のテレビシリーズの時は綺麗でみずみずしかったのに・・・まぁ、人のこと言えませんね。
だけど白髪があった方がリアルじゃないかな。足が悪い一人暮らしの設定なんだから。
あと毎回思うけど裕一はなんでわざわざ夜に出ていく?一晩寝てから朝出ていけばいいのに。しかも苫小牧の夜は極寒ですよ?計画性がないバカなのか。
だけどこう言うやつって一定数に好かれるのもまた事実。
親友の伸二のセリフが印象的でした。
「好きな映画監督でも自分的には面白くないと思う作品ってあるじゃん?だけどそれは好きが前提だからたまたまの失敗作だと思うようになる。」
「何してもお前のことは親友だと思ってるよ」という熱いセリフなんだけど、
お前、裕一の妻と浮気しとるがな。逆に浮気しといてよくそんなこと言えたな。
こいつも意外とゲスなのかも。
そして「同じ空気も吸いたくねぇ」とか言ってたのに裕一をあっさり許す先輩も何だったんだろう?
最後のシーン、やたらと後ろを振り返る裕一。新宿のビルの上を見上げ、そのビルに向かっていく。
飛び降り自殺をはかろうかとしてるのかな?と思ったけどそんな根性ないだろコイツ。
人はそんなに簡単に変われないし、今後も逃げ続けていくのか、どうなのか?最後は結構なんとでも取れるシーンで終わります。まぁ、勝手にやってくれ。






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