2018年に公開された映画『空飛ぶタイヤ』。
池井戸潤の原作の小説を読んだ時はさほど気にはならなかったけどこの映画版はやたらとアラが気になる。
![]() |
|
新品価格 |
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
作品名:空飛ぶタイヤ
公開年:2018年
監督:本木克英
脚本:林民夫
音楽:安川午朗
ジャンル:社会派ドラマ/企業サスペンス
上映時間:120分
製作国:日本
主なキャスト:長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子、寺脇康文、小池栄子、ムロツヨシ ほか
あらすじ

中小運送会社「赤松運送」を経営する赤松徳郎は、ある日、自社トラックのタイヤが走行中に脱落し、歩行者を死傷させる重大事故を起こしたと知らされる。警察は整備不良を事故原因と断定し、赤松を「容疑者」として追及。世間の風当たりは強まり、会社は一気に信用を失い、倒産寸前に追い込まれる。
しかし赤松は、整備不良ではなく、車両そのものに構造的欠陥があったのではないかと疑念を抱く。自社の無実を信じる赤松は、家族や社員を守るため、トラックを製造・販売した大手自動車会社「ホープ自動車」の闇に迫る決意を固める。
一方、ホープ自動車内部でも、欠陥の存在を巡る葛藤が起きていた。企業体質、隠蔽体制、保身と出世欲、そして正義感。巨大組織の中で揺れる人間たちの姿が交錯する。
キャストに疑問
本作は『火喰鳥を、喰う』などで知られる本木克英監督作品。
いきなりぶっこむが、原作を読んだが社長役の長瀬智也はミスキャストとしか思えない。
この社長役はもっと泥臭くて赤井英和みたいな人をイメージしてたんだけど全然原作のイメージと違う。
うん、まぁけど原作のイメージと違ってもいいんだけどさ。
もちろんその役者の力量でカバーできれば決して原作通りのキャラにする必要はないし別の魅力を発揮することもあるから。
だけど今回の長瀬智也はどうも最後まで違和感が拭えなかったからやっぱり違ったのかな。
別に長瀬智也が嫌いなわけじゃない。彼のこれまでの作品や『俺の家の話』も最高だった。元ジャニーズだけどいい役者だと思う。
だけどそもそも長瀬智也やは男前すぎるのだ。その顔面が浮世離れしているがゆえに、中小運送会社の社長というのが違和感でしかないのだ。
他にもドラマの「半沢直樹」や「下町ロケット」に出ていた役者がそのまま使い回しされててなんか「またあんたかよ…」と思ってしまった。
池井戸潤の作品って正直言って話や設定が似てる部分が多い上に、映像化されたキャストまで被るのはいかがなものか。
これじゃあすぐに飽きられてしまうので池井戸潤や映像化された作品双方にとってあまりよくないのではないだろうか。
社員の中にもジャニーズの子がいたりしてジャニーズの力関係とか見え見えで正直覚める。
大した演技力もないくせになんでもかんでもジャニーズをもってきて台無しにするのはやめて欲しい。
自分勝手すぎる社長
まずホープ自動車から部品を返却するまでの保証金として一億円を提示されるんだけどそれを断る意味が全くもってわからない。
だって保証金でしょ?なぜもらわない?
実際銀行からも融資を断られて来月には潰れるかもしれない絶体絶命のピンチなわけで、そんな状況でなぜ断るという判断になるなるのか理解に苦しむ。
もらうものはもらってあとで不正を暴けばいいじゃない。
結果部品だって返してもらってないわけだし。
「遺族の気持ちを考えたら受け取れない」と言ってもそれとこれとは別の話で、
何十人もの社員やその家族を守らなければならない社長という立場をわかってないのではないだろうか?部下をもつ経営者としては失格だ。
幹部の笹野さんや社員だってもらうべきだと言ってるのにあまりに社長はワンマンすぎる。
「俺たち家族だろ」という長瀬智也が社員に向かって言った冒頭のセリフは一体何だったのか?都合のいい時は「家族だ」とか言いながら結局はお前が納得できないだけじゃねぇか。
しかも取引先から散々言われて精神的にも参って辞めてしまった社員も出たわけだし。
本当に社員を家族と思っているのなら社員のことを考えるべきだ。
ここで社長が意地はってても社員のケアなど他にやるべきことがあるのではないだろうか?
私の持論だけど世の中で最もいらないのはプライドとスジ。
いくら自分の中でスジが通らないと言ってそのスジを通すために意地張ったところでそのスジは自分を幸せにするのか?ということ。
プライドだって自分の問題だけで他の人からしたら何も気にならない。
自分自身をがんじがらめにして生きづらくする諸悪の根源は「プライドとスジ」だと思う。
池井戸潤は毎度同じ様な不器用な男を描いてるけど正直納得したことはない。
「下町ロケット」の佃社長だってそうだ。
彼の作品では自分の中のプライドやスジを通すことを徹底的に美徳として描いているが実際問題現実は別だと思うんだよな。
パワハラワンマン社長についていく洗脳社員たち
この映画はツッコミどころが多すぎる。
そもそも事故があってすぐに長瀬智也は裏取りもせずに社員に対して間髪入れず「お前のせいで人が死んだんだ。お前はクビだ。」って無茶苦茶でしょ…
家族なんじゃねぇのかよ?お前言ってることブレブレだぞ。
私ならそんなワンマン社長のところなんざとっとと辞めて「酷いパワハラ社長」だとSNSなんかに投稿して騒ぎ立ててやる。
さっきも言ったけど冒頭の「俺たち家族だろ」とキャッチボールをしながら言ったセリフは一体何だったんだよ…あまりに薄っぺらすぎる。
その後にその社員はきちんと仕事をしていたことがわかって会社に戻るわけだけど、会社が銀行から融資もしてもらえないせいで絶対絶命のピンチになって上司から就職先を紹介されるのにそれを断るなんて…
結婚もする予定なのに「社長についていきます」ってマジで理解できない。
お前、確認せずに自分を殺人者扱いした社長をなぜそんなにも慕う?
洗脳でもされてんじゃね?
池井戸潤はネットを知らない?
あとは「ホープ自動車のリコール隠しについての記事はネットから徹底的に消されて個人サイトまで消された」とかいうのもありえない。
まずいくら大手企業だからといってネットの一つ一つの記事を削除なんてそんなの無理だから。
「大手のリコール隠し」というネット民が最もくいつきそうな話題はサイトを消したからと言ってもコピーサイトだって出てくるだろ。
逆にサイトが消されたらネット民のハートに火がついて炎上するって…
いまはXやスレッズだってあるんだから個人サイトレベルでの消去は不可能。
あのペヤングのゴキブリ事件だっていまだにネットから消えないじゃないか。あの記事を消そうと新商品を次々と開発して記事を埋もれさせようとまでして苦労しているのにちょっとネットをなめすぎだ。
それだけ大手企業はやり方が汚いと言いたいんだろうけどちょっと幼稚すぎると思う。
あとは長瀬智也の息子についてネットの掲示板にかかれたときに時に「炎上して閉鎖しちゃった」っていうのも同様。
さらに言うとこれは池井戸潤に対してだけど「大企業に対しての偏見が多すぎる。」
中小企業が正義、大企業は悪というこのパターン何回使うの?
大企業には大企業なりの努力だってあるし中小企業だけが頑張ってるみたいな作風はどうかと思う。
とまぁ、色々と言ったけど原作はツッコミどころありながらも池井戸潤にしてはページ数が多くて結構読み応えはあった。
それに対してやっぱり映画になるとそのボリュームを映像化するには限界があって社長や社員の細かい心理描写なんかを省いたせいで全く感情移入ができなかった。
評価・受賞歴
第42回日本アカデミー賞にて優秀作品賞を受賞。
ディーン・フジオカ(優秀助演男優賞)、深田恭子(優秀助演女優賞)、本木克英(優秀監督賞)、林民夫(優秀脚本賞)、安川午朗(優秀音楽賞)など、主要部門で多数ノミネート・受賞を果たした。
社会問題を真正面から扱いながらもエンタメ性を失わず、実在のリコール隠し事件をモデルにした重厚なドラマとして高い評価を獲得。企業倫理と内部告発のリアリティが観客に強い印象を残した。








コメント