【映画】世界から猫が消えたなら|ネタバレ感想・伏線とテーマを徹底考察【あらすじ解説】

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映画『世界から猫が消えたなら』をモチーフにした、夕暮れの空を背に、マフラー姿の青年が灰色の猫を優しく抱きかかえる水彩画タッチの劇画風イラスト ファンタジー

2016年に公開された映画『世界から猫が消えたなら』。

正直このタイトルはどうだろう?自分のように「動物系お涙頂戴パターンだろう」と思う人もいるだろう。そういう意味ではちょいと損をしているが、本作を鑑賞した印象としてはこのタイトルも悪くないかも思い始めてきた。

結果から猫はメタファー的な要素であって大して重要じゃないというか(重要っちゃ重要だが)、一つ言えることは別に猫をテーマにした映画ではないのです。

簡単に言ってしまえば生きることと消えることを真正面から突きつけてくる、静かで残酷な物語でした。

本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。




基本情報

作品名:世界から猫が消えたなら

公開年:2016年

監督:永井聡

脚本:岡田恵和

音楽:小林武史

ジャンル:ヒューマンドラマ/ファンタジー

上映時間:103分

製作国:日本

主なキャスト:佐藤健、宮﨑あおい、濱田岳、奥野瑛太、石井杏奈




あらすじ

映画『世界から猫が消えたなら』をモチーフにした、夕暮れの空を背に、マフラー姿の青年が灰色の猫を優しく抱きかかえる水彩画タッチの劇画風イラスト

余命わずかと宣告された30歳の郵便配達員「僕」。

絶望の淵に立たされた彼の前に、自分そっくりの姿をした「悪魔」が現れる。

悪魔は告げる。

「この世界から何かひとつ消すなら、1日命を延ばしてやる」と。

電話、映画、時計――

彼が当たり前のように享受してきた文明や思い出が、ひとつずつ世界から消えていく。

そのたびに1日生き延びる彼。しかし同時に、自分の人生を構成してきた記憶や関係性までもが削ぎ落とされていく。

元恋人との再会、疎遠になっていた父への想い、亡き母が残した手紙。

そして、最後に残った存在――「猫」。

愛猫キャベツを消すか、自分が死ぬか。

人生最後の選択の先に、彼が辿り着いた答えとは何だったのか。




余命宣告から始まる、理不尽すぎる交渉

主人公は30歳の郵便配達員。

ある日突然、脳腫瘍で余命わずかと告げられる。

明日も来ると思っていた朝が、来ないかもしれない。

家に帰ると自分と瓜二つの悪魔がいて彼はこう告げる。

「この世界からひとつ何かを消す。その代わりに一日だけ命を延ばす」

わぉ、なんて理不尽。

電話。映画。時計。

そして、猫。

物を消す。

たったそれだけのはずなのにこの映画の恐ろしいところは、物が消えると、それにまつわる記憶や関係まで消えること。まぁ存在しなかったことになるからね。

物ってのはその人の想いや想い出が宿るんだよね。

物を消すと言うことはそう言った想いや過去の記憶を消すと言うこと。

すなわち、自分自身を消して否定してしまうと言うことに繋がるわけです。生きたいのに過去の自分を殺すことになる。ここがこの作品のミソなのです。




電話、映画、時計。

電話を消すと、間違い電話から始まった彼女との関係も消えてしまった。

昨日まで恋人だった人が、今日にはただの他人になる。

次に消えるのは映画。映画を通じて出会った親友タツヤとの関係が消える。

作中の名言がある。

「何かいい物語があって、それを語る相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない。」

映画そのものではなく、誰かと語り合う時間そのものが尊いという芯をくったセリフがやたらと刺さるし泣ける。

映画が消えるということは、人生の語り合いが消えるということ。つまり孤独になるということを意味する。

次は時計が消える。時計が消えると父の時計店も消える。

父との関係、時間、家族の歴史も消える。

時間って、ただの数字じゃない。

父と母の思い出。壊れた関係。それでも流れ続けた年月。

時間が消えると、向き合うべき過去まで消えてしまう。

「向き合わずに済む。」

でも、それって本当に救いか?嫌な過去も実は大切ないまの自分の一部なんだ。




猫。

最後は猫。

猫は主人公にとって母との思い出が詰まった存在であり、家族の象徴である。

ここまで来てようやく主人公は気づく。

延ばした一日より、失ったものの方が遥かに大きくね?

生き延びるために消してきたものは、自分を自分たらしめていたものだった。

つまり、消していたのは、世界じゃなく、自分。

作中にある言葉。

「僕が死んでも、世界は変わらない。でも僕が死んだら、誰か悲しんでくれる人はいるだろうか?」

これが、この映画の核心。

彼女とアルゼンチン旅行に行った際に知り合った日本人のトムさん。彼は二人と別れた後に交通事故で死んでしまう。

こんな旅先で会っただけの人が死んでもちゃんと宮崎あおいは悲しんでるじゃないの。

滝の前で「生きてやる!」はちょっと厨二病っぽい描写だが、メッセージは伝わる。

自分が死んでも世界は変わらないが、誰かの世界は変わるかも。

延命よりも大事なのは、誰かの記憶に残ることなのかな。そうするともっと他者と深く関わっておこうかなと思える。

この映画は「リアリティが低い」とか、「説教くさい」とか、確かにツッコミどころはあるが、これは理屈で観る映画じゃない。

自分にとって消せないものは何かを考えるきっかけになる、そんな映画。

スマホが消えたら?

映画が消えたら?

親が消えたら?

恋人が消えたら?

その時、自分はちゃんと「ありがとう」を言えているかな。

ほっこり映画と思わせておいてからの生きる責任を問うテーマでわりとそのギャップが上手くハマった映画なんじゃないかな。

ラストも余韻があっていいですね。

エンディングで流れるHARUHIの「ひずみ」がまた良くて。妙に小林武史っぽいメロディラインだなと思ったら小林武史がプロデュースしてました。




評価・受賞歴

・第36回ハワイ国際映画祭「Spotlight on Japan」部門選出

・原作小説は第4回本屋大賞ノミネート

・公開初週全国映画動員ランキング第3位

・公開2日間で動員約14万人、興行収入約1億8千万円を記録

・国内外で翻訳出版され、海外でも展開

※映画自体の主要映画賞での受賞はなし(映画祭選出が中心)

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