いやぁ、怖い映画を観ました。2020年に公開された『私というパズル』。
「怖い」ってお化けとかそういうのではなく、この現実世界で生命が生まれる話です。ちょっとこれは新婚夫婦には薦められないなぁ・・・。
ということで本記事ではネタバレ全開で感想・考察レビューしていきます。
基本情報
- 作品名:私というパズル
- 原題:Pieces of a Woman
- 公開年:2020年
- 監督:コーネル・ムンドルッツォ
- 脚本:カタ・ヴェーベル
- 上映時間:126分
- 製作国:カナダ/ハンガリー/アメリカ
- ジャンル:ドラマ
- 配信:Netflix
あらすじ

ボストン。マーサは出産を間近に控えており、自宅で出産する準備を整えていた。夫のショーンは不器用ながらも懸命にサポートしていたが、その甲斐もなく死産になってしまった。悲しみのどん底に突き落とされた2人だったが、その悲しみを思うように分かち合うことができず、夫婦の間に徐々に溝が生じ始めた。そんなマーサに追い打ちをかけたのが母親のエリザベスだった。エリザベスは「助産師(イヴ)を告訴して然るべき責任を取らせるべきだ」と強硬に主張し、マーサを強引に原告席に着かせたのである。
素晴らしき、地獄のオープニング
Netflixにて鑑賞。
結果としては物凄い良作だとは思うけど凄い疲れます。
特にオープニングタイトルが流れるまでの20分以上にも及ぶ出産から死産までのワンシーンでがっつり心掴まれました。
風呂に浸かるシーンでほんの少しだけシガーロスの音楽が使われるんだけどピアノの旋律とこの映像のシンクロ率の凄いこと。生命が誕生する期待感と不安を音楽が見事に表現している。まぁ、このために書き下ろしたわけじゃないけど選曲が素晴らしい。。
奥さんが出産の苦痛に顔を歪め、いきむシーンは立会い出産を経験してるが故にちょっと息ができなくなりそうなほどリアル。
そしてようやく出産し赤ん坊が産声をあげ感動する夫婦の姿に思わずうるっと。
わかるよ、凄いわかる。
だけど次の瞬間、助産師が子供の呼吸がおかしいことに気づき事態は急変。
救急車を呼ぶ夫の顔は青ざめ、妻はパニックに。
先ほどの幸福なシーンと打って変わって一気に緊張感が走る。感動から絶望。
ここまでをノーカットでみせ、はじめて映画のタイトルが出る。
凄いセンスなんだけどそれより恐怖感の方が強い。
妊婦が観たらトラウマになること間違いないでしょう。
なんでしょう、新婚夫婦にみせちゃいけない映画としては『ブルー・バレンタイン』が真っ先に思いつくんだけどこれもまさに同じくらいトラウマ級の映画です。
責任の所在はどこへ?法廷で争うドロドロ展開へ
そしてあの悲劇から一ヶ月後。
結果、子供は死んでしまったことが判明。
問題は、助産師の不手際か?身体の問題か?という段階に。
そしてここから怒りの矛先を助産師に向けようとし、娘を法廷に出そうとする母親、幾度となく衝突する夫など、かなり救いようがない話のオンパレード。
この一件がきっかけで彼女をめぐる周りの人達も負のスパイラルに陥り、観ていてとても暗い気持ちになってくる。
事件以来すっかりドライになってしまった主人公が街でふと他人の子供を目で追ってしまうシーンなんかは本当に心が痛む。
子供を見てなんとも言えない表情をする主人公。バネッサ・カービーが実に秀逸な演技をします。
彼女はのちに『それでも夜は訪れる』という映画にも主演しており、ここでもだいぶとち狂った役を演じてます。
こういう悲劇のヒロイン役似合うよなぁ。
驚くことに後で調べたらこの女優さん、出産経験ないみたい。
まじですか…凄い演技力。
観ていてこのままいくのはあまりに救いがないなぁと思っていたら一応最後は少し救われました。助産師さん、良かったね。
後半は失速気味
映画としてはオープニングのシーンがあまりにもいい出来が故に、それからの展開はちょっとパワー不足。
後半は想定できる内容が続くのでまぁまぁダレがちです。
正直言って助産師さんは一生懸命頑張ってたし、死産の度に「お前のせいだ」と訴えられてもかなわない職業ですね。
なんだかんだ言ってヴァネッサ・カービーの演技力のおかげで最後まで見れます。
結構子供の死産ってよくある話で、だけどこうやって映像でみせられると、まさかこんなにもツライとは…だいぶテンションの下がる内容でぐったり。
これは映画だけど、観る人が観れば本当に恐怖映画であり、改めて子供が生まれることは奇跡なんだと考えさせられる内容だった。
受賞歴
- ヴァネッサ・カービー
・ヴェネツィア国際映画祭 女優賞 受賞 - アカデミー賞
・主演女優賞 ノミネート








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