2024年公開の映画『奇跡をつむぐ夜』は、実話をもとにしたアメリカ映画。
原題は『Ordinary Angels』。
ケンタッキー州の小さな町で起きた出来事を描き、「普通の人間が起こす奇跡」に焦点を当てたヒューマンドラマだ。主演はヒラリー・スワンク、上映時間は116分。
ここから先は、この映画をネタバレ全開で考察します。
基本情報
- 原題:Ordinary Angels
- 邦題:奇跡をつむぐ夜
- 製作年:2024年
- 製作国:アメリカ
- 上映時間:116分
- ジャンル:ドラマ
- 監督:ジョン・ガン
- 製作:ジョン・バーグ、ロイ・リー ほか
- 主演:ヒラリー・スワンク
- 劇場公開/配信:2024年(日本では配信中心)
あらすじ

ケンタッキー州の小さな町で暮らすシャロンは、過去に傷を抱えながらも気性の激しい日々を送る美容師。
ある日、妻を亡くし、二人の娘を必死に育てるシングルファーザーのエドと出会う。
重い病を抱える娘の治療費、厳しい生活環境、そして周囲の無関心。
個人では到底乗り越えられない現実を前に、シャロンは思いがけず行動を起こし、やがて町全体を巻き込む支援の輪が広がっていく。
人助けは心の栄養
私事だけど、昨年仲間が一人なくなりました。
詳しい事情は伏せるけれど、その人は生きることに対してどこか自信を持てず、自己肯定感がとても低かったのです。
もちろん、それだけが理由ではない。でも振り返ると、「自分はここにいていい存在なんだ」と思えなかったことが、少しずつ追い詰めていたようにも思う。
僕は思う。
自己肯定感が低い人ほど、ぜひ他人を助けてほしい。
いや、自己肯定感が低くなくても、単純に人助けって気持ちがいいと思いません?
電車で妊婦やお年寄りに席を譲る。
落ちてた財布から金を取らずに交番に持っていく。
たったそれだけのことでも、「あ、今ちょっといいことしたな」と心が軽くなる。
人助けをして、気分が悪くなる人なんて、そうそういないと思う。いるの?そんな人。
「見知らぬ他人を助けると、心が満たされるものだ。」
この映画の最期のインタビューで語る男性の言葉がなによりの真理だと思うのです。
ギリギリのシャロンという人物
さて、映画で登場するシャロンも、まさにそんな人物で、彼女は離れ離れになった息子に嫌われていると思っており、自分の存在価値を見いだせていない。
そんな彼女が、病気の少女エイミーとその家族を助けることで、結果的に自分自身を救おうと必死に動き始める。
正直、シャロンの行動はかなりお節介だ。
いきなり3000ドル以上の現金を手渡したり、エド家の医療費の請求額を勝手に調べたり、常識的に考えれば「そこまでやる?」と思う場面も多い。というか怖いくらい。
普通なら距離を置かれてもおかしくないし、だいぶギリギリのキャラクター設定です。実話ということでどのくらいデフォルメされてるんだろうか?お節介というレベルを超えている。
でも、いいじゃないか。人助け依存症。そんな依存症なら、むしろ上等だと思う。
シャロンは、あの手この手で資金を集め始める。
美容師という職業に留まらず、その行動力と突破力は正直すごい。この才能があれば、別の仕事でも成功できたんじゃないかとすら思う。
気になる点
全体的にテーマははっきりしてるいい映画なのは間違いないんだけど、気になる点もある。
なぜエイミーの医療費が最終的にタダになったのか?
お願いしたら医療費が全額免除される、というのは現実的に考えると少し不自然だ。
そのカラクリについては映画の中で明確に語られず、少しモヤモヤが残る。
それに、エド家が受けた恩はあまりにも大きい。
命を救われたと言っても過言ではない。
それなのに、エドのリアクションは終始ぎこちなく、どこか素直じゃない。
観ていて、正直イラっとする瞬間もある。
まぁ、本当は自分でなんとかしなければならないのに、他人の力に頼らざるを得なかった。助けられることで、自分の無力さを突きつけられた気分だったのだろう。
感謝と同時に、悔しさや情けなさが入り混じっていたのだと思う。
やらない善より、やる偽善。
クライマックス、町中の人々がヘリコプターを飛ばすために雪かきをするシーン。
あれはやっぱり胸が熱くなる。
理由なんてどうでもいい。
自分のためでも、誰かのためでも、結果的に人が助かるなら、それでいい。
やらない善より、やる偽善。よく言ったもんだ。
この映画は、その言葉をまっすぐ肯定してくれる。
人を助けることは、相手のためだけじゃない。
助ける側の心も、確実に救っている。
それが、この映画が一番伝えたかったことなんじゃないかと思う。





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