映画『それでも夜は訪れる』が不快でつまらなく感じる本当の理由。【ネタバレ考察レビュー】

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映画『それでも夜は訪れる』をモチーフにした劇画タッチのイラスト Netflixオリジナル

2025年にNetflixで配信された映画『それでも夜は訪れる』。

ウィリー・ヴローティンの小説を原作に、ひと晩の出来事だけで人生の重さを描き切るクライムドラマ。

正直言って「やっちまったなぁ」という感じなのでその理由を、ネタバレ全開で感想考察してきます。




基本情報

  • 原題:Night Always Comes
  • 公開年:2025年
  • 製作国:アメリカ/イギリス
  • 上映時間:108分
  • ジャンル:ドラマ/クライム/スリラー
  • 監督:ベンジャミン・カロン
  • 脚本:サラ・コナラッド
  • 原作:ウィリー・ヴローティン
  • 主演:ヴァネッサ・カービー
  • 配信:Netflix




あらすじ

家族の未来を守るため、どうしても金が必要になった女性リネット。

彼女はたった一晩で資金を工面しようと、かつて切り離したはずの人間関係と過去に再び足を踏み入れていく。

街は眠らず、夜は容赦なく彼女を追い詰めていく。

選択肢が一つずつ消えていく中で、リネットが直面するのは「金」以上に重い現実だった。




いや、そもそもこのタイトルなんだよ。『それでも夜は明ける』って映画があったけど、紛らわしい。

映画の内容からして朝までに金を入金しないといけない設定なんだから『それでも夜は訪れる』はちょっとおかしくないか?

リネット演じるバネッサ・カービーは確かに追い詰められた女をよく演じてはいたと思う。彼女は『私というパズル』でもなかなかヘヴィな役だったけど頑張ってはいた。

だが、これはシンプルに脚本が悪い。なんでこうなったんだろう?




そもそも「形だけの家族」でしかない

要は、朝までに2万5000ドルを集めないと家族が路頭に迷う話。

設定だけ聞けば、いかにも「期限付き・金集めスリラー」、あるいはゲーム的なサバイバル映画を想像するけど、本作は、そういう分かりやすい娯楽には一切舵を切らない。

むしろ観ていて最初に湧く感情は、緊張でも焦燥でもなく、「理解できなさ」だ。

2万5000ドルの住宅ローン契約、その当日。

本来一番重要な日に、母親は契約をすっぽかし、なぜか2万5000ドルの車を買って帰ってくる。

意味がわからない。

偶発的なトラブルでもなければ、事故でもない。

ただの奇行だ。

ここで初めて気づく。

製作者はリネットが無理やり金を作らなければならない設定にするために必死だ。

まぁ、母親が当日に車を購入したのは本当はただ単にこの家に思い入れもなく売りたかったからだ。

だったらそれはそうとちゃんと契約前に娘と話すべきだし、お互いの方向性を決めてないからこんなことになる。

この母親もなかなかの毒親っぷりだし、リネットもリネットで暴走しがちで母親と全くウマがあってない。

シンプルにコミュニケーションに難あり家族で、形だけの家族感が見える。




クライムものだけどワクワクしない理由

そしてその後のリネットの行動がさらに酷い。

・金を作るために彼氏からせびる。

・友達の彼氏の金庫を開けようとする。

・挙句の果てに、職場の仲間と一緒にその金庫を持ち出す。

・揉めたから職場の仲間を車で人を轢く。

・金庫の中に入っていたコカインまで売り捌こうとする。

冷静に考えてほしい。

これはもう「必死」ではなく、普通に犯罪だ。

しかも足がつきまくるだろ。親友、BARの同僚、顔見知りだらけやん。

どう考えても短絡的過ぎるしそこに計画性がほぼないし浅い。

こんな状態で家を契約できたとして、どう考えてもその先に待っているのは生活ではなく逮捕だ。バカなのか?

リネットは「私の戦い方」とか言ってるけど全く同情できない。

こういう話って観客には「切羽詰まった主人公になんとか助かってもらいたい、犯罪は犯罪だけどなんとか逃げ切ってほしい」みたいな感情にさせないといけないと思うんだけど、「はよ捕まれよ」と思ってしまった時点でどうなんでしょう。

だからハラハラドキドキもないんです。観ていて高揚もなければ、ひたすら短絡的な行動にあきれるしかない。

これクライムものとしては失敗だと思うんですけど。




リネットが未熟過ぎる

父親が蒸発し、兄貴はダウン症、母親は放任主義。

16歳の頃に半グレの彼氏・トミーと付き合った過去があって、リネットはトミーを愛していたが、トミーは彼女を売春させる過去があることが後半明かされる。

まぁ、同情はするが、だからと言ってそれが犯罪への免罪符にはならないんだよ。なんだよ、このとってつけたような同情エピソードは。

「今度は自分のために戦う」とかぬかして最後は車で一人旅立って行ったけど、ちょい待てよ。

お前がこの一夜にしたことは窃盗、暴行、違法薬物の所持、密売じゃねぇか。

「家族を守ってる」と自分だけが思ってて、暴走して色んな人に迷惑をかける。

そもそもその家族は希薄な関係で、守る前にちゃんと向き合ってこなかったからいまこんなことになってるのでは?

どうしても一緒に住まなきゃいけないの?

終始、リネットの行動は自分勝手に思え、未熟過ぎて観ているのがまぁまぁ苦痛になるレベルだった。




ラストも中途半端

最終的に家は他に高値で買い取る客がみつかり、リネットは金は用意できたが契約は未成立。

結局この映画が言っているのはシンプルで、「追い詰められた人間は何でもする」ということ。

そして貧困は、確実に犯罪を生む。

親から十分に愛されなければ、自己肯定感は育たない。

こんな感じでしょうか。

リネットがこの先、「自分のために戦う」と言って車で旅だっていった最後のシーン。

映画って何か出来事があって心情が変化して新たな行動に出るというのが鉄則だと思うんだけど、彼女の場合、「結局家族とは離れて自分自身のために戦う」というラスト。

これってこれまでと大して変わってない気がするんだけど。

しかも戦い方が犯罪でしょ?




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