【映画】火喰鳥を、喰う|二つの世界線と「書き換え」の真相を読み解く【考察】

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映画『火喰鳥を、喰う』をイメージした水彩画タッチで描かれた、墓地でスーツ姿の男性と若者4人が向き合う緊張感ある場面 ホラー

2025年に公開された映画『火喰鳥を、喰う』。

本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。




基本情報

  • 作品名:火喰鳥を、喰う
  • 公開年:2025年10月3日
  • 監督:本木克英
  • 脚本:林民夫
  • 原作:原浩
  • 音楽:富貴晴美
  • ジャンル:ミステリー/ホラー
  • 上映時間:108分
  • 製作国:日本
  • 主なキャスト:水上恒司、山下美月、宮舘涼太、森田望智




あらすじ

映画『火喰鳥を、喰う』をイメージした水彩画タッチで描かれた、墓地でスーツ姿の男性と若者4人が向き合う緊張感ある場面

太平洋戦争で戦死した祖先・久喜貞市の日記が、大学で化学を教える久喜雄司のもとへ届く。その日記には、信州の地で体験した理解不能な怪異の記録が克明に綴られていた。

やがて雄司の周囲で不可解な出来事が連鎖的に発生。現実と過去が交錯し、日常はゆっくりと崩れていく。妻・夕里子、大学時代の先輩・北斗らを巻き込みながら、雄司は日記の真相と「火喰鳥」の正体へと迫っていく。

戦争の記憶、土地に刻まれた因縁、そして説明不能な怪異。その全てが一点で結びついたとき、物語は想像を超える結末へ向かう。




前半と後半でガラッとテンションが変わる。

長野のド田舎で自分の家族の墓へのいたずらから始まる物語。

なるほど、これはなかなか悪くない導入で物語の入りとしては静かで、不穏で、観客の興味を引くには十分な滑り出し。

完全にホラー映画かと思ったら本作の核心は怪異でも戦争の因縁でもない。

すべての元凶は、妻・夕里子の大学時代の恋人・北斗総一郎の「執着」だったというオチ

一見すると戦死した祖先の日記や、戦地ニュージーランドでの怪異体験といったオカルト的設定を前面に押し出しているため、前半と後半のテンションがガラッと変わってします。

個人的には前半のホラーテイストで進んでほしかったが、実際のテーマは霊的存在ではなく、人間の感情、とりわけ「愛」と呼ぶにはあまりにも歪んだ執着心だった。

北斗という男は、ねっとりとした語り口で理屈を並べる。まるで歌舞伎の台詞回しのように輪郭のはっきりした話し方は、どこか現実味を欠き、不自然さを覚える。

調べてみるとジャニーズらしく、テレビから遠ざかって久しい身としては、そうした背景も含めてどこか演技が浮いて見えてしまった。

完全に余談だが、顔のどこかのパーツが長いのが気になった。ファンに怒られるかな?すんません。




パラレルワールド

物語は中盤以降、急速に複雑化していく。

展開は早く、二転三転し、観客を意図的に置いていく構成だ。

鍵となるのは、二つの世界の存在である。

一つは「雄司と夕里子が結ばれた世界」。

この世界では祖父・貞市はニュージーランドで戦死しているし、夕里子と北斗はとっくに別れている。

もう一つは「北斗と夕里子が結ばれている世界」。

こちらでは貞市は戦地で火喰鳥を喰らい、生還して帰国し、孫の千弥子と共に生きる未来が存在している。雄司は科学館で働いていて夕里子とは付き合っていない。

つまり物語は、単なる怪談ではなくパラレルワールド改変劇なのだ。

どう?ついてけないでしょ?笑

自分で書いてて何を書いてるんだろう?と思ってしまった。




もはやファンタジーの世界

北斗総一郎は、貞市が生きているもう一つの世界を現実へ上書きしようとする。その動機はシンプルに夕里子を取り戻すためである。

雄司は知らぬ間に、その改変の歯車として利用されていたわけだ。

祖父の日記、火喰鳥の存在、戦地の記録。それらはすべて、世界を書き換えるための装置だった。

そして物語は北斗の思惑通りに進み、現実は書き換えられる。

なんで北斗を殺したら現実世界が書き換えられるのかは正直ファンタジーなので疑問を持たないように。筆者のそういう設定だからなのです。

だから、正直言って本作は一歩引いたところから観ないと振り回されて混乱するだけです。

北斗と夕里子は夫婦となり、大学で研究と講義に励んでいた雄司は、書き換えられた世界になる。この世界では科学館の一般職員として働いている。立場も未来も、人生そのものが静かに奪われてしまったわけだ。

怖いのは人間の欲望だ。

だが本作が完全な絶望で終わるかと言えば、そうでもない。

ラストシーンですれ違う雄司と夕里子。

その瞬間、夕里子の目から涙がこぼれる。

これは完全に『君の名は。』意識してるでしょ?確信犯でしょ?

書き換えられた世界の奥底に、元の記憶が微かに残っている二人のこれからは?はい、そのでエンドロール。




ハイテンポで説明不足。

この映画は、恐怖よりも「喪失」と「執着」を描いた物語。

だが展開の速さ、設定の多さ、説明不足が重なり、観客に十分な咀嚼の時間を与えない。その結果、感情の整理がつかないまま終幕を迎えてしまう。

面白いかと問われれば、答えに迷う。

怖いかと問われれば、首を傾げる。

だがモヤモヤは確実に残る。なんとも中途半端な印象です。

前述したようにもっとホラー映画に寄った方が個人的には良かったんだけど。あの田舎の妙に大きなセミの鳴き声とか、90年代の「あなたの知らない世界」を彷彿とさせるような地方の鬱蒼とした感じもたまりませんでした。

どこか作者のハチャメチャで強引な展開で押し切られてしまった印象でした。




評価・受賞歴

  • 原作小説:第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞
  • 映画賞:公開直後のため主要映画賞受賞歴は未発表

ミステリー映画3選

コメント

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