2017年公開の映画『ジーサンズ はじめての強盗』。
原題は『Going in Style』なのにこの邦題の『はじめての強盗』ってタイトルのセンスはどうなのよ。まるではじめてのおつかいみたいなニュアンスじゃないか。
とは言えこのタイトルのままの映画であり、ダサいなりにも端的に本作を現してはいると思う。
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
作品名:ジーサンズ はじめての強盗
原題:Going in Style
公開年:2017年
監督:ザック・ブラフ
脚本:セオドア・メルフィ
音楽:ロブ・シモンセン
ジャンル:コメディ/クライム
上映時間:96分
製作国:アメリカ合衆国
主なキャスト:モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン
あらすじ

ニューヨークに暮らすシニア世代のジョー、ウィリー、アルバートは長年の親友同士。だが勤めていた鉄鋼会社が買収され、年金が凍結されるという理不尽な事態に直面する。
住宅ローンに追われるジョー。重い病を抱えるウィリー。孤独な日々を送るアルバート。それぞれが人生の終盤で経済的不安と向き合わざるを得なくなる。
ある日、銀行強盗の現場を偶然目撃した3人は思いつく。
「自分たちの金を取り戻すだけだ」
若者のような無謀さではない。老いを自覚した上での決断。彼らは“肝試し”と称して小さな犯罪を試みるが失敗。だがやがて本気で銀行強盗を計画する。
意外とあり得るかも
きっとこの世の中貧困がなければ犯罪は極端になくなるだろう。逆に言えば貧困が犯罪を生む。誰しも生まれながら犯罪を犯したい人間なんていないだろう。
本作は追い詰められた主人公の老人3人が銀行強盗をするという話。
長年まじめに働いてきた男たちが、ある日突然、人生の土台を奪われる。工場は閉鎖され、積み立ててきた年金は銀行に回収され、住宅ローンの金利は跳ね上がる。真面目に働いてきたことが、何一つ報われない。そんな理不尽の中に放り込まれたのが、ジョー、ウィリー、アルバートの3人だ。
彼らは決して無法者ではない。むしろその逆で、社会のルールを信じ、コツコツと労働を重ねてきた側の人間である。しかし高齢というだけで冷遇され、金融機関や企業の論理に切り捨てられていく。
ウィリーは腎臓を患い、ドナーが現れなければ命の期限が迫っている。ジョーは自宅の差し押さえ通知を受け取り、アルバートもまた将来の見通しを完全に失っている。三人に残されたのは、誇りとわずかな友情だけだ。
そんな中、ジョーはふと銀行強盗を思いつく。若者の専売特許だと思っていた行為を、自分たちがやってみてはどうか、と。もちろん軽い気持ちではない。
だが彼らの未来はすでに追い詰められている。安全圏にいる銀行が平然と市民から金を吸い上げるなら、自分たちもその金を取り返して何が悪いのか。そこには単なる金銭欲ではなく、「自分たちの未来は自分たちで取り戻す」という切実な思いがある。
という、側から見れば犯罪の正当化。だが、犯罪をしないと生きていけない人間も存在するわけで、本作はかなりポップに描かれた作品だが、コメディにしなくてもこれから先どんどんこう言った追い詰められた人たちの犯罪は増えていくだろう。そういう意味でも意外とあり得るかもなと思って観てました。
もし自分が同じ立場だったら?
物語の根底には、高齢者が社会から見放される現実への批評が流れている。
もちろん銀行強盗は正当化されるべき行為ではないしどんな理由があろうと犯罪は犯罪だよね。そんなことはわかりきってるのよ。
「犯罪をポップに描くのはけしからん」と割り切ってしまっては問題に向き合ってないことになる。
本作は、善悪の単純な線引きを超えて、「なぜ彼らがそこまで追い込まれたのか」を問いかける作品だ。
もし自分が同じ立場に立たされたらどうするのか。福祉や法制度に頼る時間もなく、明日家を失うとしたら?
観客は笑いながらも、その問いを突きつけられる。
老後の不安、年金問題、金融資本への不信、高齢者の孤立といった現代的テーマを包み込みながら、それでも軽やかに笑わせてくれる。
彼らの犯罪は決して美談ではない。それでも、何十年もかけて積み上げてきた人生への敬意を取り戻すための反撃だったとも言える。
人生の終盤に差しかかったとき、人は守りに入るのか、それとも攻めに出るのか。本作はその選択をユーモアと共に描き出す。
映画ファンにはニヤリ
作品的には90分くらいで非常に観やすかったですね。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のクリストファー・ロイドが主演していたり、映画ファンならニヤリとさせられる。
しかし、ウィリー役のモーガン・フリーマンも歳取ったなぁ。『セブン』の時で58歳くらいだったそうで、この人はかなりの遅咲き俳優なんですね。90年代から売れっ子になってずっと観てる気がする。
アルバートは女に迫られたり謎にモテキャラ。ベッドシーンは必要あったのか。肝心な時に立たないとかそういったハプニングを期待するも別にそういうのはなかったですね。
あの女の子が嘘をつかなければ彼らはブタ箱入りだったことを考えると結構ギリギリの作戦だったね。
ウィリーを悪い人とは思わなかったんだろうけど、嘘までつくかな?とそんなことを言ってしまって元も子もなくなるのでこの辺で。
評価・受賞歴
本作は批評家評価では賛否が分かれた。
批評集積サイトでは高評価とは言い難い数字が並ぶ一方で、観客評価は比較的安定。CinemaScoreではB+を獲得している。
興行収入は約8,400万ドル。製作費約2,500万ドルを大きく上回り、商業的には成功を収めた。
つまり――
批評家より観客に支持された作品。
これはこの映画の本質を示している。
技巧や社会的批評性よりも、「名優3人の存在感」と「安心して笑える物語」が評価軸なのだ。





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