【映画】フリーダムランド|なぜ社会派ドラマになりきれなかったのか【考察】

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白人女性と黒人刑事が病室で向かい合い、緊張した表情で手を取り合う場面を水彩画タッチで描いた映画「フリーダムランド」のワンシーン アメリカ映画

2006年公開の映画『フリーダムランド』。

本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。

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基本情報

  • 作品名:フリーダムランド
  • 原題:Freedomland
  • 公開年:2006年
  • 監督:ジョー・ロス
  • 脚本:リチャード・プライス
  • 原作:リチャード・プライス「フリーダムランド」
  • 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
  • ジャンル:クライム/ミステリー/社会派ドラマ
  • 上映時間:112分
  • 製作国:アメリカ
  • 主なキャスト:サミュエル・L・ジャクソン、ジュリアン・ムーア




あらすじ

白人女性と黒人刑事が病室で向かい合い、緊張した表情で手を取り合う場面を水彩画タッチで描いた映画「フリーダムランド」のワンシーン

ある夜、手から血を流した白人女性ブレンダが病院に駆け込んでくる。

彼女は「黒人の男に襲われ、4歳の息子を乗せたまま車を奪われた」と証言する。

事件現場は黒人住民が多く暮らす団地。

この証言をきっかけに、警察と住民の間に張り詰めた空気が広がり、街は次第に暴力と疑念に支配されていく。

捜査を担当するのは、息子を失った過去を持つ刑事ロレンゾ。

彼は行方不明の子どもを救うため、必死に真実を追うが、証言の矛盾、群衆心理、メディアの煽動が絡み合い、事態は思わぬ方向へ転がっていく。

やがて明らかになる「真相」は、誰か一人を断罪して終われるようなものではなかった。




大まかなオチ

扱っているテーマはまぁまぁ重く、4歳の子供の誘拐、人種問題、警察と住民の分断。

社会派サスペンスとして、ありきたりだけど題材だけ見れば強い。

物語は、ジュリアン・ムーア演じる白人女性が、血まみれの状態で病院にやってきたところから始まる。

車を奪われ、その後部座席には4歳の息子が眠っていたという。この彼女が住むエリアは黒人が多い地域。

彼女は黒人刑事(サミュエル・L・ジャクソン)と対面するがそこで普通に手を差し出し、握手をするも一切怯えない。

そのことを刑事は指摘する。

本当に恐怖体験をした人間は、無意識に距離を取るし、身体が先に反応するということ。しかも黒人にひどい目にあったのにも関わらず、彼女は黒人と普通に握手をする。

なるほど、これは日本人だとなかなか浮かばない発想かもしれない。

「何かを隠している」「語っていない事実がある」そう疑われても不思議じゃない。

結果から言えば、実際は子供に風邪薬を飲ませたら量を間違えて死亡。いわゆる彼女の過失で、さらに自分の子供の死体を遺棄し、襲われたと嘘の供述をしていた。

黒人たちはこの件で暴動になるシンプルに人種間による対立を描いた作品。

このタイトルにもある「フリーダムランド」はいくつもの命が奪われてしまった場所であり、ただのメタファーとして使われただけで、実際には彼女の子供はそこにはいないので関係ないっちゃ関係ないわけです。




ジュリアン・ムーアがひたすら未熟

ちょっと前に『レイクビュー・テラス 危険な隣人』を観ていたからサミュエル・L・ジャクソンの刑事役も本当にいいやつなのか疑ってしまったけど、結果的にはちゃんと仕事をしようとしてましたね。

ジュリアン・ムーアは頑張ってたけど、感情が昂ると、自傷するし、叫ぶ。

なかなか観ていてストレスのたまるキャラクターでした。ブラインドネス』でもすっぴんだったけどすっぴんばっか見させてる気がする。

彼女は自分で子供を殺めてしまったショックからまともな精神状態じゃなくなったようだが、そこからは自分を守ろうと嘘をつき続ける。

ここがひっかかるし、ちょっと理解ができない。

さらに街のみんなを巻き込み、暴動まで起きてしまう。一方で子供を見つけようと捜索まで協力してくれようとする住民たちもいる。

そう考えると彼女の嘘によってこれだけの事態になってるわけで、息子の死がショックだったからという免罪符にはならない。

ちょっといくらなんでも迷惑をかけすぎているし、自己中心的なキャラクターだと感じた。

同じ子供が死んでしまっていて錯乱した主人公が銀行に立てこもる『ストロー 絶望の淵で』も似たような感じだけど、こちらの主人公の方が全然同情できる。




社会派っぽい映画にしたかった。

住民たちは疑われ、封鎖され、住民が追い詰められ、怒りが爆発し、暴動が起きる。

だがそれは、物語上の必然というより単に「対立を描きたいから起こした」感が強すぎる。

暴動までの流れがかなり強引であり「社会派っぽい構図」だけが残るが、リアリティは置き去りになっているように思えます。

とあるキャラクターのセリフも「男は逃げるが、女は諦めない」とか言う偏見でこれも違和感。そんな価値観が、どこか正解のように置かれることも違和感。

多分このような人種間の問題はもっと根深くて単純なもので本作ではただ表面だけをなぞってる感覚が残りました。

社会派ドラマにしては弱いし、サスペンスものとしてはまぁまぁ想定内なのでいずれにせよ中途半端。

映画の本質やテーマ性は理解したが、非常にすっきりとせず、深い問題にメスを入れようとしてるけど、全然入れられてないような印象。




評価・受賞歴

本作は公開当時から評価が大きく割れた作品として知られている。

  • Rotten Tomatoes:批評家支持率 約23%
  • Metacritic:43点(賛否混在)

批評では

「社会問題への切り込み方が過剰」

「メッセージが露骨すぎる」

といった否定的意見が多い一方で、

「不快さを含めて、これは現実だ」

「正義が簡単に暴走する過程を正確に描いている」

と再評価する声も根強い。

大きな映画賞の受賞歴こそないが、21世紀初頭のアメリカ社会の歪みを封じ込めた一本として、今なお語られ続けている。




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