2010年に公開された映画『小悪魔はなぜモテる?!』。
『ラ・ラ・ランド』でも大活躍だったエマ・ストーン主演の映画。彼女は時にチャーミングだけど、時にブス感が出る不思議な顔面です。美人なのか、ブスなのか、いや、ブスではない。美人なのかわからなくなるという意味だ。まぁ、そんなことはどうでもいい。
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
- 作品名:小悪魔はなぜモテる?!
- 公開年:2010年
- 監督:ウィル・グラック
- 脚本:バート・V・ロイヤル
- 音楽:クリストフ・ベック
- ジャンル:青春/コメディ/ロマンス
- 上映時間:92分
- 製作国:アメリカ合衆国
- 主なキャスト:エマ・ストーン/ペン・バッジリー/アマンダ・バインズ/ダン・バード/トーマス・ヘイデン・チャーチ/パトリシア・クラークソン/リサ・クドロー/マルコム・マクダウェル/アリソン・ミシャルカ/スタンリー・トゥッチ
あらすじ

真面目で目立たない高校生オリーヴは、週末の出来事を取り繕うため、親友に「それっぽい嘘」をつく。だがその嘘は尾ひれをつけて拡散し、いつしか彼女は「奔放な女」というレッテルで学校中の注目の的に。
軽い気持ちで始まった「噂の役」を、彼女は半分自衛として、半分は友人の救済として引き受けていく。けれど評判はコントロールできない。善意も冗談も、他人の欲望と正義感に回収され、オリーヴの現実だけが削れていく。
やがて彼女は、自分の言葉で真実を語り直す決意をする。嘘が作った物語を、自分の手で終わらせるために。
邦題への疑問
そもそもタイトルの『小悪魔はなぜモテる?!』に疑問だ。だって彼女は決してモテているわけではないから。
モテるとは、異性や周囲から好かれ、人気があり、居心地の良さや魅力を感じさせる状態を指します。
つまり本作の主人公を演じるエマ・ストーンって別に周囲から好かれてないし、むしろ「ビッチ」と蔑まれ、ただ単に非モテ男から利用されるだけ。
原題は『Easy A』。Aは「簡単にAを取れる」、つまり「簡単にやれる」という意味であり、この邦題は映画の内容を観てつけたのか疑問だ。
そもそも映画の邦題ってなんでこんなにセンスがないのでしょう?このタイトルのせいで毛嫌いする人が出ると思います。
悪い噂こそ速くまわる
本作はコメディタッチではあるが、怖いのはちょっとした噂は異常に広がるスピードが速いということ。さらに当事者の声が最初から聞かれない空気。
しかもそれっていい噂ではなく、悪い噂の方が速くまわるから皮肉だ。しかも中学生、高校生って多感な時期でそういう噂が独り歩きするには恰好の設定だ。
オリーヴは最初ただの見栄で嘘をついてしまう。誰にでもある小さな虚勢だ。
でもその小さな嘘があっという間に広がり本人の手を離れていく過程を、笑いで包みながらも描いている。これって結構世の中あるある。
完全に余談ですけど、なぜか一時期、僕は「電通の社員」ということになってそれが独り歩きしてネットに出回っていた時期があります。僕はその時代は医療関係の仕事をしており、まったく身に覚えがない。
多分YouTubeで高級店ばかり行ってる動画をアップしていたから誰かが適当に金回りがよさそうな職業だと思い込んで書き込んだことでそれが拡散したのでしょう。
完全に嘘ですので皆さん信用しないように笑。(いまは株式会社とんかつの代表取締役で神戸ビーフや抹茶の食材を卸す仕事をしてますヨ)

と言う感じで主人公のオリーブの場合は悪い方の噂によってどんどんキャラ化されていってしまいます。
学校という閉じた環境では一度キャラ化されてしまうと情報はすべて都合よく編集されてしまう。本人が否定しても「照れてる」「隠してる」と上書きされ、沈黙すれば「図星」と解釈される。
つまりどっちへ転んでも逃げ道がない。これが本作のいちばん苦い笑いだ。
歌番組に出たアーティスト
これ観てるとテレビに出てる人気アーティストとかを連想します。かつて歌番組の「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」ってダウンタウンが司会してた番組があって、反町隆史がゲスト出演してたんだけどめちゃめちゃクールなキャラを作ってました。演じてた?
当時は「反町隆史よ、ずいぶんすかしてるなぁ」と思った記憶があって、あれから時が過ぎてたまーにバラエティで反町隆史が出てるのを観た時に全然キャラ違うんです。
いまの反町隆史はもっと素の感じで笑いもとったり、とても好感が持てました。
あの当時のキャラって多分ファンが勝手に作ったキャラなんだろうなぁ。「周りから作られたキャラ」でいることが楽だったり、ファンの期待もあるから辺に壊せなかったり。
本来の自分と他人が自分に抱く自分へのイメージのギャップがあるとこの主人公のオリーブのようにたちまわることになるんだろうと想像してみたりします。
告白
さらに興味深いのはオリーヴが途中から噂を利用する側に回る点。
ここが「小悪魔」っぽく見えるところだが、実態は防衛に近い。
周囲が勝手に作った像に傷つけられるくらいなら、その像を自分で操作してしまえという苦肉の策。
オリーヴが嘘を重ねるのは、軽薄だからというより空気の圧に耐えるためで、しかもその空気はみんなで作っている。誰か一人が悪いというより、面白がる視線が束になって一人を押しつぶしているわけだ。
嘘から始まったので映画とはラストはこうなるよね。と言った感じ。
終盤の告白は贖罪というより、主導権の奪還だ。噂は他人が語る物語だから強い。ならば物語の語り手を自分に戻すしかない。
オリーヴは最後に、自分の過去を説明し直すのではなく、自分の言葉で再定義する。
本作の軽快なテンポの裏で、「噂は誰のものか」「イメージに殺されないためにどうするか」を考えさせられた。
評価・受賞歴
- 批評傾向:概ね好評。特に主演エマ・ストーンのコメディ演技が評価されやすい
- 受賞歴:ゴールデングローブ賞(主演女優賞:ミュージカル/コメディ部門)ノミネート(エマ・ストーン)




