2021年に公開された映画『AWAKE/アウェイク』。
同じタイトルの映画が結構あるがこちらはNetflixオリジナル映画。
本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
- 作品名:AWAKE/アウェイク
- 公開年:2021年
- 監督:マーク・ラソ
- 脚本:マーク・ラソ、ジョセフ・ラソ
- 音楽:アントニオ・ピント
- ジャンル:SF/スリラー
- 上映時間:97分
- 製作国:アメリカ
- 主なキャスト:
ジーナ・ロドリゲス、ジェニファー・ジェイソン・リー、シャミア・アンダーソン
あらすじ

突如として発生した世界規模の異変により、人類は「眠る能力」を失ってしまう。
社会は急速に崩壊し、暴動や事故が各地で多発。人々は理性を保てないまま、覚醒状態での限界を迎えつつあった。
元米軍衛生兵のジルは、偶然にも眠ることができる少女・マチルダが「人類最後の希望」である可能性に気づく。
軍や研究機関が彼女を狙う中、ジルは母として、そして一人の人間として、娘を守るための逃避行を選ぶ。
全人類が眠れなくなる世界。その原因は「また太陽フレア」だった
全人類が突如として眠れなくなる。電気も使えなくなる。
これだけを聞けば、思わず身を乗り出してしまう設定だ。もしも人類から「眠る」という行為が奪われたら、文明はどこまで保てるのか。その問い自体は、十分にスリリングで、社会派にも転び得る。
まるで全世界が盲目になったら話の『ブラインドネス』みたいだ。
だが、原因はどうやら太陽フレアらしい。
磁気嵐による通信障害、電力インフラの崩壊、自律神経の乱れからの睡眠障害。一応それっぽい理屈は並べられるが、正直この手の説明は聞き飽きた。『サバイバルファミリー』でも通った道だし、便利すぎる設定でもある。
しかも太陽フレアの放射線は大気圏でほぼ遮断され、地上の人体に直接的な健康被害は起こらないのでは?確かに自律神経の乱れはあって不眠は考えられるが、それでも全人類が不眠に陥るような・・・
もちろん本作は「もしもシリーズ」なので、そこに厳密な科学考証を求めるのは野暮だろう。だが、あまりにも安直だ。
世界は瞬く間に混乱し、通信は断絶、停電が起こり、人々は次第に正気を失っていく。その流れはテンポよく描かれるものの、どこかで見た光景の寄せ集めに見えてしまう。
既視感満載の展開
本作が決定的に既視感を強めるのは、「眠れる存在」が一人だけ現れる点だ。(厳密には二人)
主人公の娘だけが眠れる。この設定を見た瞬間、どうしても『ブラインドネス』が頭をよぎる。全員が盲目になる世界で、一人だけ視力を失わない女性。構図はほぼ同じだ。
当然、その秘密は長くは保たれない。やがて人々に知られ、娘は「希望」から「獲物」へと変わる。眠れない人間たちがゾンビのように群がってくる展開は、もはやB級スリラーの定番ルート。
「見せ場」としては分かりやすいが、意外性は皆無で観ている側の感情は、恐怖よりも「またこの展開か」という諦めに近い。
アイディアこそいいが、そのあとの展開は既視感満載なのだ。
都合の良さが積み重なっていくサバイバル
主人公は二人の息子と娘を守るオラウータン顔の野性味あるシングルマザー。道中、囚人に襲われそうになったところを、黒人男性ダックに助けられたりこの辺りもいかにもそれっぽい出会いだ。
一時は行動を共にするかと思いきや、あっさり別れるし都合いいな。最後に出てくるかと思ったら結局それっきり。
その後も裸の集団、宗教じみた集団、意味深な軍関係者など、終末映画で見覚えのある要素が次々に登場する。だが、それぞれが浅く、物語に深く関わる前に消えていく。
特に気になるのは、軍の集団が一斉に狂い出すタイミングの早さだ。眠れない影響が出るにしても、全員が同じ速度で壊れていくのは不自然に感じる。
極めつけは、兄が倒れた場面での行動だ。
咄嗟に10歳前後の子供が電気ショックを取りに走る。いや、無理があるだろ。判断力、体力、状況認識、どれを取っても現実味がない。
さらに、「一度死んだように見えて復活する」という謎の設定も投げっぱなしだ。伏線回収も説明もない。感動させたいのか、驚かせたいのか、その狙いすら曖昧に感じられる。
結果として物語は、緊張感よりも「都合の良さ」が目立ってしまう。
ラストの残尿感
一度死なせてからショックを与えると生き返る謎理論によって子供たち2人は母親を海に沈めるわけだけど、なんでわざわざ水没させる?めちゃ苦しい殺し方やん。
ほっとけば死ぬんだからそれじゃダメだったのか?などラストに関しては疑問だらけで明確な回答が得られないままエンドロール。残尿感が酷い。
物語は一応の決着を迎える。だが、正直に言えば、そこから先の方が気になった。
この世界で、彼女たちはどう生きていくのか。
『AWAKE/アウェイク』は、「眠れなくなったらどうなるか」という問いだけを提示し、その答えを過去作品の焼き直しで済ませてしまった映画だ。
眠れないのは登場人物だけで十分。観客まで既視感で目を閉じたくなる必要はなかった。
評価・受賞歴
- 批評家評価は全体的に賛否両論
- 設定の強さに対して物語展開のシンプルさを指摘する声が多い
- 一方で、
- ジーナ・ロドリゲスの存在感
- 母性を軸にしたサバイバル描写
- 90分台に収めたテンポ感
これらを評価するレビューも一定数存在
大きな受賞歴はないものの、NetflixオリジナルSFスリラーの一作としては記憶に残る題材であり、
「設定映画」「アイデア先行型SF」が好きな層には刺さりやすい一本。







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