【映画】Cloud クラウド|正直つまらない?違和感だらけの集団狂気はなぜ刺さらなかったのか【考察】

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転売の闇に追い詰められ、銃を構えて正面を睨みつける男の姿を描いた映画「Cloud クラウド」の印象的な一場面(劇画・水彩画タッチ、緊張感のある暗色トーン) サスペンス

2024年公開の映画『Cloud クラウド』。

黒沢清監督、菅田将暉主演で話題を集めたが評価は二分。

本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。




基本情報

  • 作品名:Cloud クラウド
  • 公開年:2024年
  • 監督:黒沢清
  • 脚本:黒沢清
  • 音楽:渡邊琢磨
  • ジャンル:サスペンス/スリラー
  • 上映時間:123分
  • 製作国:日本
  • 主なキャスト:
    • 菅田将暉
    • 古川琴音
    • 奥平大兼




あらすじ

転売の闇に追い詰められ、銃を構えて正面を睨みつける男の姿を描いた映画「Cloud クラウド」の印象的な一場面(劇画・水彩画タッチ、緊張感のある暗色トーン)

町工場で働きながら、ネット上での転売を副業として生きる男・吉井。

彼は他人と深く関わらず、善悪の判断も曖昧なまま、ただ「稼げるかどうか」だけを基準に日々を過ごしていた。

しかし、ある時から彼の周囲で不可解な出来事が起こり始める。

正体の見えない敵意、説明のつかない視線、ネットの向こうから滲み出てくる集団的な悪意。

それは誰か一人の怒りではない。

匿名性に守られ、増殖し、結束していく「空気」としての暴力だった。

やがて吉井の日常は、取り返しのつかない形で破壊されていく。




強引な展開に違和感

正直に言う。

この映画を観ているあいだ、ずっと首をかしげていた。

『Cloud クラウド』が描こうとしているのは、「転売」という極めて現代的で、しかも誰の身近にもある行為が、いつの間にか憎悪へと変質していく恐怖。

設定自体は、悪くないがそこは黒沢清監督。

後半、だいぶストーリーが暴走してるしキャラクターの描き方がなんだか90年代の古臭い感じ。脚本も黒沢清監督がされてるようで納得。

菅田将暉さん、あなた『CUBE 一度入ったら、最後』でも思ったけど、ちょっとは作品選んだら?

町工場で働く菅田将暉が、ネット上では「ラーテル」と名乗り、安く仕入れて高く売る副業をしている。

資本主義においては、いまやわりと日常的に行われている転売。しかも彼は、法を犯しているわけでもなく法の中でうまくやり過ごしている。

確かに作り手によって命を吹き込まれた商品を買い占め利益を乗せて販売する行為は正直褒められたものではないとは思うし恨みを買うのも理解はできるが、それが後半の銃撃戦まで発展するという展開が無理あり過ぎて全くついていけない。

嫌なら断ればいいし、買う側にも選択権はあるからだ。

にもかかわらず、物語は人生に絶望した集団から、なぜか命を狙われる展開に切り替わってしまう。

WHY?




集団が主人公を襲う理由が弱い

本作で描かれる主人公の行為は、コンサートチケットを数十倍で売りつけるような、あからさまな悪意の転売ではない。

誰かの人生を決定的に壊した描写もほとんどない。自分の生活に絶望してなんとか生きるためにやってることだ。

それなのに話は謎に一気に銃撃戦へと飛躍する。

彼がターゲットにされる理由がめちゃめちゃ不明確なんです。

元会社の上司の滝本(荒川良々)も目にかけてた部下(吉井)が辞めて心を踏みにじらされたから?

先輩の村岡(窪田正孝)だって「俺のこと見下したから」って菅田将暉の暗殺に加わってるし。

そんな日常生活でわりとよくあることで彼らは暗殺を企てるんです。これってめちゃめちゃ動機としては弱いでしょ。

ただ単に監督が銃撃戦やりたかっただけでは?一般人が集団狂気で銃撃戦に発展するっていう設定一本なだけな気がします。




もしも井之頭五郎が犯罪の手引きをしていたら

さらに混乱するのが、登場人物たちの行動原理。

部下が勝手に上司のパソコンをいじるとかなんなの?

彼女の秋子も吉井との田舎生活がつまらないとか言って勝手に出て行ったくせに銃撃戦をただ見ていてクレジットカードを奪おうとする浅はかさ。

そして一番の問題は元アシスタントが謎に拳銃の扱いが上手いということ。

説明もなく始まる銃撃戦。

「何を見せられているんだ?」

この感覚がずっと消えない。

映画は終始、重苦しく、不穏で、陰鬱なトーンを保っていて、だが雰囲気が物語の粗さを覆い隠すクッションにはなっておらず、逆に荒唐無稽さを際立たせてしまっている。

もしこの映画が、「転売という行為そのものが、無自覚な暴力になり得る」という一点に集中していたなら、あるいはもっと違う場所に着地できたかもしれない。

だが実際に描かれたのは、転売の恐怖ではなく、

「善意や尊厳を踏みつけられた人間は、突然殺意に変わる」という、あまりにも雑で危うい図式。

それは現代社会の分析でもなければ、群衆心理の解剖でもない。ただの感情の短絡だ。

結果として残るのは、不愉快な登場人物たちと、納得できない動機と、緩慢で退屈な展開。

元アシスタントが松重豊さんから何やら情報を貰ってたけど、完全に『孤独のグルメ』の井之頭五郎やん。

「もしも井之頭五郎が犯罪の手引きをしていたら」

そんなブラックユーモア的な発想のほうが、まだ面白かったのに。

テーマ自体には、確かに可能性があったがだからこそ肩透かし感が強く、お世辞にも面白いとは言えない作品でした。




評価・受賞歴

  • 第81回 ヴェネツィア国際映画祭
    アウト・オブ・コンペティション部門 ワールドプレミア上映
  • 第49回 トロント国際映画祭
    センターピース部門 北米プレミア上映
  • 第97回 アカデミー賞
    国際長編映画賞 日本代表作品




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