【映画】今度は愛妻家|伏線とネタバレ考察。喪失と向き合う物語

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映画「今度は愛妻家」のワンシーンをモチーフにした、水彩画タッチのイラスト ラブストーリー

2010年に公開された映画『今度は愛妻家』。

設定としては非常に王道でありながらも多くの観客に感動を与えた本作。

何気なく観始めたら最後は号泣してしまった私。

さて、本記事でもいつものようにネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。




基本情報

  • 作品名:今度は愛妻家
  • 公開年:2010年
  • 監督:行定勲
  • 原作:中谷まゆみ(舞台「世界の中心で、愛をさけぶ」)
  • 脚本:伊藤ちひろ
  • 上映時間:131分
  • 製作国:日本
  • 主なキャスト:豊川悦司、薬師丸ひろ子




あらすじ

映画「今度は愛妻家」のワンシーンをモチーフにした、水彩画タッチのイラスト

かつては人気カメラマンだった北見俊介は、今では仕事もせず、家で酒を飲んでは無気力な日々を送っている。

そんな彼を支えていた妻・さくらは、ある日突然、姿を消す。

一人になった俊介は、妻の不在に戸惑いながらも、どこか彼女がまだそばにいるような感覚の中で生活を続けていく。

しかし、日常の違和感が積み重なるにつれ、彼は「妻がいなくなった理由」と「自分が見てこなかったもの」に直面していくことになる。

これは事件の物語ではない。

夫婦のあいだに確かに存在していた、沈黙とすれ違いの記録だ。




いきなりオチから

伊豆に行くと行ったきり家から姿を消した妻・さくら。

二週間後に戻ってきたと思ったら「沖縄に亡くした指輪を探しに行ってたの」と告げる。

この辺がめちゃめちゃ布石になってるわけで、

タネ明かしをすれば『シックスセンス』的な展開で、実はもうさくらは死んでいたという話。

『シックスセンス』では物語の最後の最後にブルースウィリスが自分が死んだことを認めて成仏するエンディングだが、本作ではさくらの死が明らかになるのは物語の中盤。

そこから夫である俊介の彼女のへの本当の想いを再確認するパートが後半となる。

前半の俊介はまさに結婚していながら「自分のためだけに生きていた男」。仕事もせず、日々飲んだくれて、浮気もすれば、献身的なさくらに向き合おうとすらしない。このダメ男っぷりが後半、非常に効いてくる。

確かに関係が近くなればなるほど当たり前の存在になっていって「大事なもの」って普段なかなか気づかないんだよね。

人はいつ死ぬかわからないからね。生きてるうちに想いは伝えないと。




伏線回収が見事

事故でさくらが死んでから俊介は記憶に蓋をするように、一年間さくらの幽霊と一緒に過ごしてきたことになる。

大きなショックで一時期的に記憶がなくなる解離性健忘を引き起こしている状態だ。

さくらは箱根に行くと行って家を出ていったり、家に戻ってきたと思えば突然好きな人ができたから離婚してと俊介に告白し別れを切り出す。

次第に彼はさくらが不在の日々に退屈していくが、その感情をなかなかさくらに打ちあけられない。

「離婚する前に写真撮ってよ」彼女の申し出に俊介はさくらの写真を撮る。しかし現像した写真にはさくらは映っていなかった。

そこで俊介が蓋をしていたさくらが事故死したきっかけの沖縄旅行の思い出が蘇り、さくらがあの時に死んだことを認める。もはや完璧な伏線回収です。

なにげなくさくらが言った「指輪を探してたの」というセリフ。ちょっと違和感があった。だって無くした指輪なんてどうやって見つけるんだよ。

しかしこの「指輪」がこんなにも二人にとって重要なものだったとは。




逆『アウトレイジ』

本作、本当に万人受けする作品だと思います。物語の見せ方にトリックがあるにせよ、ダメな夫が妻への本当の気持ちに気づくと言いう、実は超王道なストーリー。

王道だけど「生きてるうちに大切にしましょう、感謝をしましょう」という非常に不変的なメッセージ性で誰しもに響く内容となっている。

そしてこの映画を盛り上げるのは豊川悦司と薬師丸ひろ子だけじゃない。

並行して弟子の若手カメラマンの古田誠と若手タレントの吉沢蘭子と恋模様や、さくらのオカマの親父が実にいい。

誠は自分の子供じゃないと知りながらも妊娠した蘭子に結婚を申し込んだり、オカマの文ちゃんは誠に俊介と一緒に居てくれと月々20万円も渡していたり、登場人物全員優しい。もはや逆『アウトレイジ』だ。

なんで20万円も?と思ったら後にさくらの親父だったという布石。

特に響いたのは文ちゃんの一言。

「この人の娘で良かったと誇れる生き方しようと思ったんだ」

亡くなった人は二度と戻らない。

だけど亡くなった人間に恥じないような生き方をして前を進んでいくことが大事なんだという、彼のセリフにすべてが詰まっているように思えた。

最初、さくらが死んだ事実がわかった中盤パートから話が少し団長だなと感じたが、それは俊介がさくらへの気持ちに向き合うための大事な長さだったのね。

確かにすぐにコロッと変わられても薄っぺらく感じてしまうもんね。

控えめに言っても素晴らしい作品じゃないでしょうか。久々に心が洗われました。




受賞歴

  • 第34回日本アカデミー賞:優秀主演男優賞(豊川悦司)
  • 第34回日本アカデミー賞:優秀主演女優賞(薬師丸ひろ子)
  • 第65回毎日映画コンクール:男優主演賞(豊川悦司)
  • 第84回キネマ旬報ベスト・テン:日本映画ベスト・テン選出




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