2024年に公開された鳥飼茜原作の漫画を実写化した『先生の白い嘘』。
奈緒主演でちょっとこの作品公開時に炎上したのが記憶に新しいですが、本記事ではネタバレ全開で感想考察レビューしていきます。
基本情報
- 作品名:先生の白い嘘
- 原作:鳥飼茜(同名漫画)
- 公開年:2024年
- 監督:三木康一郎
- 脚本:安達奈緒子
- 音楽:コトリンゴ
- 上映時間:117分
- 製作国:日本
- レイティング:R15+
- 主なキャスト:奈緒、猪狩蒼弥、三浦透子 ほか
あらすじ

24歳の高校教師・原美鈴は、物静かで真面目な国語教師として学校に勤めている。
しかし彼女は、過去に受けた性暴力の記憶を誰にも打ち明けられず、「なかったこと」として心の奥に封じ込めて生きていた。
一方で、彼女の周囲では恋人、友人、生徒たちの間で、無自覚な支配や歪んだ関係性が静かに連鎖していく。
美鈴は被害者でありながら、沈黙を選ぶことで加害構造を温存する側にも立ってしまう。
「声を上げないこと」は自己防衛なのか、それとも新たな暴力なのか。
この映画は、正義も救済も与えないまま、観る者にその問いを突きつけ続ける。
炎上騒動について
さて、本作を観るうえで通らずにはいられない話題が、炎上騒動である。
内容は、近年ハリウッドを中心に普及し、性的描写やヌードシーンでの俳優と制作側の意思疎通や環境調整を行う役割を担う「インティマシー・コーディネーター(IC)」を奈緒が希望したが、監督がそれを断ったという内容。
つまり濡れ場で「好き勝手演じろ!いつものようにやれ!」みたいな昭和の風潮はセクハラとされ、濡れ場もちゃんと俳優同士が不快にならないように円滑行われるようにするのか「IC」なんだと。
これもねーなんだかね・・・。という感じ。
ドラマ『不適切にもほどがある』でも揶揄されてたけど、欲情シーンは欲情しないと演じられないし、ロボットとやってるんじゃないんだから。という気持ちもあるんだけど、俳優からしたら好きでもない相手にやられるのはメンタル的にもキツイというのも理解できるし非常に難しい問題ではあります。
今回に関しては映画のテーマである「性暴力」と、奇しくも監督の「配慮不足」が結びついちゃって批判が出ちゃったのね。
むしろ男性蔑視な思想
しかしなんなんでしょうね、この作品。
なんだか随分と説教くさくて自分には合わなかったのが第一印象。
奈緒と言えば木梨憲武と共演した『春になったら』でめちゃめちゃ泣かされていい役者さんだなぁと思ってたけど今回「こんな役もやるんだ」と少し意外な感じと女優魂を感じました。
教師の美鈴が早藤にレイプさてしまう。彼女は声をあげられないタイプの女性で早藤もそれにつけ込み数年もレイプが続いていく。
そのなかで女性として感じてしまう自分が許せない。
その「感じてしまう」の部分も炎上してしまいましたね、「嫌だと思ってるのに快楽に溺れる」みたいな文言をホームページから削除した部分。
これって観た人の感覚だからねぇ。僕は「早藤に嫌悪しながらも、感じてしまい、そんな自分を憎んでる」って受け取ったんだけど、この感想もアウトなのかな?
セリフ一つ一つが正直哲学っぽくて製作者の自己満足を強く感じます。
「私が女だから男にこんなことをさせてしまう。」
「今後もあなたはたくさんの女を醜く汚していくの。」
性差別してるのは美鈴自身ではないか?
美鈴が早藤に「女性の膣は全部飲み込んでしまう。そんな得体の知れない場所を女は持っている。」みたいな語るシーンも、結局は女はいつも男の尻ぬぐいみたいな言い方で男性蔑視とすら感じさせる。
うーん、でも女の役割、男の役割があって別に女は男の被害者みたいな思想が全体を通して出てるのが気に食わない。
もちろん女性の権利を主張するのは否定しないが、だからと言ってそこまで言う?みたいな過剰な表現が説教臭さと自己満感で気持ち悪かったというのが自分の感想です。
男子高校の存在は?
男子高校生の新妻は花屋の人妻とホテルにいった。未成年なので結果的に人妻からのレイプとなるのかな。
ここが難しくてホテルに行ってる時点でレイプなのかという問題がある。
自分が望んでホテルに行ってる時点で、「本当は怖かった」とかそんなの後だしジャンケンじゃないかと思ってしまうが。女性も同じ。
まぁ、彼がその話をした時に、「女性へのレイプ」と「男性へのレイプ」は本質的に同じか異なるかみたいなのを話していて凄く深いテーマだと思ったんだけど、意外とそのあとの「男性へのレイプ」の話はフェードアウトして言って結局美鈴の話に集約されてしまったのが肩透かしを食らった。
むしろ「結局は男は力があるから」「自分の欲望を満たすために行ったんでしょ?」という、逆の立場で言われたらキレるだろうことを美鈴が言っちゃう辺り、しらけてしまいました。一番差別してるのお前だろ。
じゃあ美鈴だって別に断ろうと思えば断れたよね?早藤は美鈴の家知らないんだから連絡無視すればいいだけの話。学校知られてるとは言え警察に連絡するのも手ではない?この時代、女が声をあげれば男は立場が弱くなるよね?
なんでもかんでも「女性は立場が弱いから」というメッセージしか受け取れず、男性への目線が欠如している作品だと感じました。
そしていまいちこの男子高校生の役割が単に美鈴が男性克服するための道具として描かれておらず、「彼のレイプ問題はどこ行った?」感が最後までぬぐえない。
共感できないキャラクターたち
なぜモヤモヤするかと思えば早藤があたかも恐怖の男性象みたいな描かれ方してるのが嫌。
彼は処女や怯えてる女性じゃないと興奮しないヤバい奴です。だいぶ極端だなぁ。
彼に関しては全く1ミリも共感できないですね。
女性が怖いから女性に暴力をふるう?
???意味わかりません。
美鈴がズバーっと言ってやった感のホテルのシーンも理解が追い付かない。
女性のあそこが怖い?だから暴力をふるうという心理が結びつかないんです。
たとえば、僕はゴキブリが怖い。気持ち悪いし。だからもしも家で見かけたら殺虫剤をかける。
こんな感覚なの?
いや、やっぱり理解できません。人とゴキブリは違うからね。
そのあと自己嫌悪か何かわからないけど自宅で首を吊ろうとしてたり、なんなの?
「俺は生きる価値がない。」もはやメンヘラの気持ちはわかりません。
お前それ以前に暴力に匹敵することやってたのになんでいきなり?
彼の感情の振れ幅が大き過ぎて全くついていけない。
だから物語は僕の理解できないまま勝手に進んでいく。
美鈴が早藤を許すのも理解できない。犯罪でしょう。
早藤の妻が何年も美鈴がレイプされていたことを知っていたのにも関わらず知らないふりしてたのも理解できない。
さらにそんな狂気的な早藤の子供を授かろうとする心理も理解できない。
キャラクターたちの心理を理解しようとしても現実味が全くなくて、さらに彼らは思考が極端なので何見せられんだかという気持ちにしかならなかった。
原作はもっと登場人物たちの気持ちが丁寧に描かれているのでしょうか。本作を観て原作を全く読む気にならなかったので知る由もないけど、実写化って原作をしょってるわけだから結構責任大きいと思います。
これってシンプルに「女だろうが、男だろうが不本意な性行為はレイプである」というテーマでよくない?
なんだか作者の自己満足が鼻について途中から観るのがしんどかった作品でした。







コメント