ジョン・ウー監督がハリウッドに本格進出し、アクション映画の常識を一段階引き上げた作品『フェイス/オフ』。
ニコラス・ケイジとジョン・トラヴォルタの顔を入れ替えるという荒唐無稽な設定を成立させてしまうこの映画は、いま観てもなお勢いと狂気に満ちている。
単なるアクションの快楽にとどまらず、「人は顔なのか、それとも中身なのか」というテーマまで踏み込んでくるあたりが、本作を唯一無二の存在にしている理由だ。
本稿ではネタバレ全開で感想を述べていきます。
基本情報
作品名:フェイス/オフ(原題:Face/Off)
公開:1997年(アメリカ)
監督:ジョン・ウー
脚本:マイク・ワーブ、マイケル・コラリー
音楽:ジョン・パウエル
ジャンル:アクション/スリラー
上映時間:138分
製作国:アメリカ
主なキャスト
- ジョン・トラボルタ:ショーン・アーチャー(FBI捜査官)
- ニコラス・ケイジ:キャスター・トロイ(凶悪テロリスト)
- ジョーン・アレン:イヴ・アーチャー
- ジーナ・ガーション:サーシャ・ハスラー
- アレッサンドロ・ニヴォラ:ポラックス・トロイ
あらすじ

FBI捜査官ショーン・アーチャーは、宿敵であるテロリスト、キャスター・トロイによって息子を殺されていた。
ある任務中、アーチャーはトロイを追い詰めるが、激しい銃撃戦の末にトロイは昏睡状態に陥る。しかしトロイは、すでにロサンゼルスに強力な爆弾を仕掛けており、その解除方法を知るのは弟ポラックスのみ。
アーチャーは極秘手術によってトロイと顔を入れ替える「フェイス/オフ」作戦を実行し、刑務所へ潜入する。だがその隙にトロイが目を覚まし、逆にアーチャーの顔を奪って逃走。
二人は互いの「顔」「人生」「家族」を背負ったまま、完全に立場を入れ替えた死闘へと突入していく。正義と狂気が反転するなか、最後に“自分自身”を取り戻すのはどちらなのか――。
もしも敵と顔を交換したならば…
息子を殺されたFBI捜査官のジョン・トラボルタとテロリストのニコラス・ケイジの因縁の対決物語。
結構序盤の激し目の銃撃戦であっさりニコラス・ケイジはジョン・トラボルタに捕まってしまうんだけど物語の核はここから。
実はニコラス・ケイジが捕まる前、ロスに爆弾を仕掛けていてその情報をテロリストの仲間から聞き出す為、特殊なオペでニコラス・ケイジの顔を剥がし自分の顔にくっつけてニコラス・ケイジに成りすますというめちゃくちゃな作戦にでる。
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そうです、まるで漫画。
「なんで顔の傷跡すぐ消えるんだよ」とか「なんで声帯も同じなんだよ」とか細かいことはツッコまないように。
これは「もしもシリーズ」の一環として観ましょう。
言うなればドラえもんのアイディアをハリウッド映画にしたらというテーマか。
顔の交換は極秘で行われ、最新の科学技術を駆使してオペで皮を剥がすところから。
これが結構グロいシーン。
で、手術が見事成功しジョン・トラボルタはニコラス・ケイジの顔になり爆弾の事を聞き出すためニコラス・ケイジの弟が収容されている刑務所へ。
そこでタイミング悪く顔を剥がされたニコラス・ケイジが目覚めて(これも結構ホラーテイスト)医者を脅し、今度はジョン・トラボルタの顔を自分の顔につけさせ完全にトレードオフ状態に。
立場が完全に逆転した二人の戦いが始まると言った話。
ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジはこの映画の中で一人二役を演じることになるが、観ている者からするとあまり混合せずにすんなり入ってくるのは二人の演技力の賜物か。
見所はニコラス・ケイジの顔芸
しかし冒頭からのニコラス・ケイジの顔芸には笑わせられる。
『天使がくれた時間』の冒頭でもそうだけど彼の顔芸は素晴らしい。絶妙な顔の造りだからなのか。
刑務所からの脱走など結構アクションも見所がある。
己が脱走する為に罪もない刑務所の人達をぶっ殺しまくるというエゴはこの際スルーするとする。
2時間20分くらいの長めの映画だけどジョン・ウー監督ならではのスタイリッシュな映像とテンポ感で全く飽きさせることがない。
『コン・エアー』なんかよりよっぽど楽しめます。
ラストの教会からのバトルシーンは映画のテンションも最高潮に達し、ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの迫真の演技に目が離せなくなる。
顔を変えた当初は二人の演技してる感があるんだけどラストのバトルは本当に二人入れ替わってるように感じるから凄い。
ジョン・ウー監督の演出は映画公開当時はカッコいいと思ったんだけど今観ると少々クサく感じるのは20数年前の作品だから仕方ない。
この映画もあまり頭使わずに楽しめるタイプの映画なのでおススメです。
受賞歴・評価
本作はアクション映画として高く評価され、以下のような実績を残している。
- 第70回アカデミー賞
音響編集賞 ノミネート - サターン賞(1998年)
最優秀アクション/アドベンチャー映画賞 ノミネート
最優秀主演男優賞(ニコラス・ケイジ)ノミネート - 全米興行成績
1997年公開作品の中でも高い興行収入を記録し、
ジョン・ウーのハリウッド代表作として評価が定着。







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