多分、誰もが幼い頃に一度は観たことがある。
世界初の長編カラーアニメーション映画にして、ディズニーの伝説を作った作品。
それがこの『白雪姫』だ。
……が。
大人になって観ると、これがなかなかヤバい。
1937年当時には夢と希望の象徴だったこの映画、いま観ると「ただの人殺しと図々しい女の話」である。
本稿も完全ネタバレ感想でつっこんでいくとする。
基本情報
- 作品名:白雪姫(原題:Snow White and the Seven Dwarfs)
- 製作:ウォルト・ディズニー・プロダクション(現・ウォルト・ディズニー・スタジオ)
- 公開:1937年12月21日(アメリカ)/日本公開は1950年9月26日
- 監督:デヴィッド・ハンド(監修)、他アニメーション監督多数
- 製作総指揮:ウォルト・ディズニー
- 原作:グリム兄弟『白雪姫(Schneewittchen)』
- 音楽:フランク・チャーチル、ポール・スミス
- 上映時間:83分
- 制作費:当時約150万ドル(大恐慌期では異例の高額)
- ジャンル:ファンタジー/ミュージカル/ロマンス
あらすじ

美しく心優しい王女・白雪姫は、義母である女王の嫉妬により命を狙われる。
「この世で一番美しいのは誰?」と鏡に問う女王は、魔法の鏡から「白雪姫の方が美しい」と告げられ激怒。
狩人に白雪姫の殺害を命じるが、心優しい狩人は殺せず逃がしてしまう。
森を彷徨う白雪姫は、七人の小人たち(ドック、グランピー、ハッピー、スリーピー、スニージー、バッシュフル、ドーピー)の家にたどり着き、彼らと共に暮らし始める。
しかし、女王は魔法で老婆に姿を変え、毒リンゴを持って再び白雪姫のもとへ。
一口かじった白雪姫は深い眠りにつくが、彼女を想う王子の“真実の愛のキス”によって目を覚ます。
やがて悪の女王は崖から落ち、白雪姫と王子は幸せに暮らす——。
ただの人殺しの話
多分凄い小さい頃に一回観たと思う。
今回娘のためにディズニーのDVDボックスをノリで購入してしまった。
どうせなら感想をブログにしていこうと思う。
前もって言っとくと私はディズニーが好きではない。
突然のミュージカルにご都合主義のオンパレード。小さい頃からディズニーに関しては疑問だらけであった。
時が経ち、子供が生まれ、親としてこの映画を再度観賞。
女王は「自分より美しいから」という理由だけで白雪姫を殺そうとする。
この女王より綺麗な人なんて白雪姫に限らずいくらでもいると思うけど。
「白雪姫の心臓をとってこい」と部下に命令。
こうして白雪姫は特に何も悪いことをしてないのにターゲットとされてしまうわけです。
自分の方が劣ってるから相手を消すって考えは自己中の最たるものだ。でもわかりやすい。
で、さらにここからおかしな展開に。
不法侵入+占拠+動物酷使
白雪姫は追われて小人の家を見つけいきなり不法侵入。
子供の教育に悪い。
この時、小人は不在なんだけど白雪姫は勝手に家に入り、さらには動物たちに掃除までさせる始末。
あのさ、せめて人の家に上がり込んでるんだから百歩譲って自分で掃除しなさいよ。
動物達に全部やらせるんじゃないよ。
しまいには自分は「なんだか眠くなって来ちゃったわ」とかぬかして無断で小人たちのベッドで眠る悪行。
とてもじゃないけど子供の教育によくないシーンである。
小人たちとのダルい絡み
そこへ小人たちが登場。
なんで全員歳を取った男なのか?
なぜ小人は彼らだけなのか?他に仲間はいないのか?
けど女がいないと繁栄できないよな?
生殖器はあるんだろうか?
その疑問にはこの映画一切答えてくれない。
まぁいい、話を戻そう。
勝手に小人の家で爆睡しときながら起きたら起きたで「あら小人さん」って。
まずは勝手に上がってしまったことを詫びるべきではないか?
そもそも自分の行動に対して悪いと思っていないことが問題だ。
自分は可愛いから、綺麗だからで何でも許されると思うなよ?世の中そんなに甘くねぇ。
恐らく何が悪いのかもわかってないんだろう。
こういう女が一番嫌いだ。
小人の1人が言う「図々しい女だ」
まさにその通り。あんたが一番まともだよ。
しかもこの女「外で手を洗わないと食事はなしよ」とか一体なんの権限があって言ってるのだろうか?ここは小人の家だろ?
それから小人が手を洗うことをごまかすシーンだとか、
「わしは絶対手を洗わないからな」だとか色々揉めたりして、
この手を洗うのくだり、一体どんくらい尺とるんだよ。
明らかに時間調整の匂いがプンプンする。
少しは疑えよ。
いよいよ王女が老婆に姿を変えて毒リンゴを作るシーン。
あ、知ってる。これを白雪姫に食わせるんだよな。
老婆は毒リンゴを完成させて高揚して「生き埋めじゃぁぁ!!!」ってハイテンションな独り言。
そのセリフも小さい子には聞かせられないな。
ようやく白雪姫に毒リンゴを食わせて白雪姫は死んでしまう。
少しは疑うことを覚えた方がいいよ。
いきなりやってきた怪しいババァの果物なんて誰が食いたいんだよ。白雪姫も危険察知能力が働けば危険を回避できたのに。
「考える前に食べる」「信じる前に信じる」
教育的には最悪だ。
何の脈絡もなく、王子登場
死んだ後でも白雪姫のあまりの美しさに小人たちは土に埋めることができずに棺の中に入れて観賞用にする。季節は冬から春に。
いや、腐るだろ。腐敗するよ。臭くなるし。
そこへフラッとやってきた王子様が白雪姫に接吻をぶちかまして白雪姫は目が覚める。
いやいや、死姦でもする気かよ。
白雪姫、1クール経て完全復活。
一言言っていい?
白雪姫絶対臭いよ?
ディズニーの恐ろしさと時代のギャップ
当時、ディズニーが描こうとしたのは「美しさは正義」「純真は報われる」という普遍的テーマ。
でも今の時代とギャップを感じまくる。
白雪姫の受け身な生き方、女性像の理想化、年上女性(女王)を嫉妬深い悪として描く構造など、いまなら間違いなくSNSで議論が巻き起こるだろう。
ただし、だからこそこの映画は価値がある。
社会が進化した今、
「当時の正義や純愛がどれだけ偏っていたか」を照らし出す鏡になっている。
もしウォルト・ディズニーが現代に生きていたら、この作品は間違いなく再編集・再構成されていたはず。
でも、だからこそこの狂ったオリジナル版の価値は永遠なのかもしれない。知らんけど。


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