【映画レビュー】『ボス・ベイビー』赤ちゃんvs子犬!? 家族愛とテンポ感が光るファミリー映画の真髄

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アニメ

基本情報

  • タイトル:ボス・ベイビー(原題:The Boss Baby)
  • 公開年:2017年(日本公開:2018年3月21日)
  • 製作国:アメリカ合衆国
  • ジャンル:アニメ/コメディ/ファミリー
  • 上映時間:97分
  • 製作会社:ドリームワークス・アニメーション
  • 配給:20世紀フォックス(日本では東宝東和)

あらすじ

7歳の少年・ティムの平穏な日々は、ある日突然現れた弟によって一変する。スーツにネクタイ姿、ブリーフケースを持ち、妙に大人びた赤ちゃん──その名も「ボス・ベイビー」。

ただの赤ちゃんかと思いきや、彼は“ベイビー株式会社”から派遣された秘密のエージェントだった。彼の任務は、ペット業界の急成長を阻止し、赤ちゃんの人気を取り戻すこと。兄・ティムとボス・ベイビーは最初こそ衝突するが、やがて世界を巻き込む陰謀を暴くため、奇妙な兄弟タッグを組むことに──。

赤ちゃんとペットの「愛の奪い合い」という秀逸な設定

確かに赤ちゃんは家の誰よりもボスだ。大人は従順にならざるを得ない。

子どもにとって「親の愛」は絶対的な存在であり、それを他者(今回は子犬)に奪われる不安というテーマは、多くの兄弟姉妹が抱く感情のリアルだ。

一人っ子の時間が長かったティムにとって、新たな弟は侵略者であり、自分の居場所を脅かす存在

しかし、その“嫉妬”や“孤独”こそが、成長の第一歩なのだと、この映画は優しく教えてくれる。

自分の座を奪われた長男が主人公という非常に絶妙な設定にセンスを感じます。

子犬が優勢、ベイビーは劣勢。

なるほど、「赤ちゃんは無双」かと思ってたけど子犬は確かに脅威だ。

親から向けられる自分への愛が他にいってしまう恐怖。子供にとって親の愛って絶対ですもんね。

親が全力で我が子を愛せれば、子供にとってこれ以上ない精神安定剤になるんだな。

キュートなキャラ&映像表現がとにかく優秀

肝心の映像だけどビジュアルの完成度が高くてイチイチ可愛い。

憎らしい表情をしてくれる。かなり優秀ですよ、

とにかくボス・ベイビーの表情のバリエーションが豊富で可愛い。ちょっとムカつくけど、なんか憎めない絶妙なキャラ設定。子どもから大人まで惹きつけるビジュアルデザインだ。

また、夢と現実の切り替えや、ティムの妄想世界の描写など、アニメーションならではの表現も多く、映画としての「遊び心」に溢れている。

驚異のテンポ感で“飽きさせない”構成力

この作品、とにかくテンポがいい。

一つのギャグが終わる前に次の展開へ、会話の間も非常に短く、考える隙すら作らせないスピードで物語が進んでいく。これは完全に子どもを飽きさせないことを徹底した設計だ。

この映画に限らず子供向け映画はたいていこうだ。

だがこれは裏を返すと、現代の映像コンテンツ全体に言えることでもある。

TikTok、YouTube、Netflixの短尺動画が流行する時代、人々は待つことに耐えられなくなっている。

テンポテンポテンポ。

テンポが良くないとすぐに離脱してしまう。

現代人はいつしかじっくり考えて作品を鑑賞することができなくなってしまったようだ。

テンポが良くないと苛ついて仕方がない。だからこの作品に限らずテンポはいいが内容が薄かったり、全体的にポップになりがちだ。

そんな視聴者ファースト時代の映像文法が、この映画には端的に表れている。

いまの時代、小津安二郎の映画をじっくり鑑賞できる人はどれくらいいるだろう?

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